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63こんな事している場合じゃなかったわ
しおりを挟む私は六人の子供たちと一緒に朝ご飯を食べる。
イルもすっかりみんなに溶け込んで床に置いてもらったミルクを美味しそうに飲んでいる。
カイヤートに執事のトロンドさん。ミーナさんや料理長のマッソンさん。他にもメイドの女性が数人で侍女らしい事が出来るのはヨールさんだけ。
「あの‥他に侍女はいないんですか?」
ミーナさんが驚く。
「侍女?あれは高位貴族のお婦人のお世話をする女性の事ですよね?ここにはそんな女性もいませんし、何しろ子供たちの世話で忙しくて‥ああ、家庭教師ならいますけど」
「ああ、そうですよね。子供のお世話は大変ですから。もし良ければ私もお手伝いしますよ。こう見えて子供と遊ぶの得意なんです」
「お嬢様がですか?」
ミーナさん他メイドが驚く。
「みんな、セリはスヴェーレで子供の世話をしてたんだ。おやつを作ったり一緒に外で泥団子を作ったりして。なっ!」
カイヤートの馴れ馴れしい態度にむかつきながらもにっこり笑って「そうなんです」と言う。
「まあ、人間の世界って獣人とは違うんですね。貴族の方はそんな事はしないのかと思ってましたよ」
「セリが特別なんだ。だってセリは俺の番「いえ、違うんです。それは彼の勝手な思い込みで!」セリ!」
みんなは聞かなかったふりをしていたので私もそのままスルーする。
子供たちとしゃべりながらスープやパン。オムレツやソーセージを平らげて行く。
すっかりお腹が膨らんでほぅと息を吐いたら、思い出した。
しまった!こんなことしてる場合じゃなかったんだわ。
「カイヤート!昨日頼んだことは?」
彼はすでに食事を終えていてトロンドさんに指示を出していた。
「ああ、すっかり準備は出来ている。ビーサンは朝一番に呼び出した。すでに大まかな領地、辺境にも手紙を届けさせている。次期にみなザンクの花の処理にかかると思う。これから王都の周辺を調べるつもりだ。セリはここで休んでいればいい」
何だか彼がすごく出来る男に見えるんだけど。
でも、私に休んでろって言うのは余計なお世話よ。
「そんな訳に行くはずないでしょう?王都以外は何とかなりそうならあなたについて行くわ」
だって王都の事は何もわからないから仕方ないじゃない。
「身体は?無理するな」
すっと細められる瞳。瞳孔が濃い赤色になって私の様子を見定めようとしてるみたいな?
何だか胸がざわついた。彼に心配されてうれしい?ち、違うから!
「平気よ。私が言い出した事よ。ちゃんと責任が取りたいの!」
「ったく。お前言い出したら聞かないよな。じゃあ、俺と一緒に馬に乗るんだ。いいか?」
「なんであなたとなんか馬に?ビーサンは?」
「王都をドラゴンで飛び回る訳に行かないだろう?無理ならここで留守番だ!」
「わかったわよ」
まあ、ドラゴンでも馬でもあまり変わりはない気もするが。
いやな気持ではなかった。ただ、一晩中カイヤートと一緒に眠っていたことを思い出して恥ずかしさが沸き上がった。
もう、やだ。私きっと彼に抱きついたわよね。だって、お兄様だと思ったから。
もう、今はこんな事してる場合じゃないのよ。一刻も早くザンクの花を処理しなくては。
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