【神託】で選ばれた<真実の愛>の相手がくそなんですけど

はなまる

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93イエンス殿下の計画

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 私はすさまじく苛立っていた。

 確かにアーネを聖女をして押したのに肝心のアーネがいなくなって月喰いの呪いが危うくなったことは認める。

 だから私は素直にカイヤートとセリに浄化をさせたやったじゃないか!

 そしたら、カイヤートを皇太子にするだなんて、何を馬鹿な事を言ってるんだくそ親父!!

 何が、究極の愛のカップルの誕生だ。そんなもの空前の絵空事に決まっている。

 ちょっとうまくいったからってそうはさせるか。

 それなのに、父上はカイヤートの奴に執務を引き継がせろだなんて、私が今までどれだけ頑張って来たか父上だって知ってるいるはずなのに!! 

 カイヤートには最初からそんな気はないんだ。あいつはやる気もないくせに出しゃばるからこんな事になったじゃないか。

 それでもしばらくすれば父上の気もわかると思っていたのに、あいつら今度はシェルビ国の魔粒毒の浄化に行くと言って出て行った。

 どうしてそんな事を知ってるかって、私だって一国の王太子なんだ。いくらでも諜報部員を使って調べさせることが出来る。

 

 私は焦った。どうすればいい?

 思いついたのがドラゴン。カイヤート達は契約竜の乗って辺境に向かった。きっとそこからシェルビ国入りするつもりだろう。

 浄化を終えればドラゴンに乗って帰って来るに違いない。

 ドラゴン達は、互いの意思の疎通が出来ると聞いた。

 ならば私の契約竜のペッカルを使ってドラゴンの王に指示を出してもらえばいいのではと。

 急いでペッカルを呼び出して騎士隊員にペッカルを捕らえさせた。

 「イエンス殿下、いいんですかこんな事をして?ドラゴンを痛めつけるなんて」

 狼獣人で王都第一騎士隊長のトビスが心配そうに聞いた。

 「トビス、今は緊急事態なんだ。何もペッカルを殺そうと言うんじゃない。カイヤートの抹殺するためだ。このままでは父上なあの男を皇太子にしてしまうんだぞ。お前だってあいつが皇太子になんかなるのを許せるか?」

 「そんなの許せるわけないじゃないですか!あいつの母親は身分の低い女でそんな女の子供が王にななるなんて!」

 トビスの両親も皇族の親戚筋に当たり、私と同じように皇族は純血種の狼獣人がなるべきと思っているのだ。



 第一騎士隊はほとんどが高位貴族の子供で私を皇太子として認めているものばかりなのだ。

 私の言う事ならどんな事でも聞いてくれる。



 ペッカルを王都のはずれの商家の廃屋に監禁するため最初からその場所にペッカルを呼び出した。

 その屋敷には裏に広い倉庫があってそこにペッカルを隠しておくつもりだった。

 「クルゥゥ~(来ましたよイエンス)」

 まったく無防備のペッカルを捕らえるのは簡単だった。

 「おお、ペッカル。いつもありがとう。さあ、これを食べてくれ」

 まず、おやつだと言って干し肉を差し出した。干し肉にはたぷっり睡眠効果のある薬草が入っていた。

 「ギュルルゥ(うわっ、大好きなやつ)」

 ペッカルはバクバク干し肉を頬張った。

 そしてすぐに眠りに落ちたが倉庫に運び込むのが大変だった。



 騎士隊員十数人がかりでペッカルを荷台に乗せて倉庫まで運ばせた。

 倉庫に入れるとペッカルが逃げられないように首輪をつけ太い鎖でつないだ。それだけではまだ足りないと足の甲にくさびを打ち付けそれも鎖で頑丈につないだ。

 さすがにくさびを打ち付けられた時には甲高い悲鳴を上げて可哀想ではあったが逃がすわけには行かないからな。

 「グファァァァ~(どうして~?)」

 口が開かず声が出せない。

 「すまんなペッカル。お前は悪くないがどうしてもお前の王に頼みたいことがあってな。すぐに話をつけてお前を開放する。だから少しの間辛抱してくれ」

 「ガフゥ、グフ!グブボボ~ブブ~ブグゥゥ~(ひど!おま‥しん、てた、に!!ころ、て、やる~)」言葉にならない。

 さらにペッカルは怒りで口を開こうとしたが口輪ががっしりとはまっていて得意の火をはく事が出来ない。

 「ボフゥ~(く、そ~)」

 ペッカルは相当暴れたが、どうにもならないと諦めたらしく大人しくなった。

 騎士隊員を数名見張りに付けておくことにする。



 すぐに私は父のドラゴンであるシルバにドラゴンの王に手紙を届けさせた。

 「シルバ、悪いが大急ぎでヴァニタス王に手紙を届けて欲しい」

 「キュル(了解)」

 シルバは皇王だある父の契約竜だが、皇太子である私にはすごく懐いていて言うことを良く聞くのだ。



 手紙にはカイヤートを殺さなければペッカルの命は保証できないと書いた。

 ドラゴンの数は少ない。例え一頭でも殺すわけには行かないはず。

 まあ、今度プロシスタン国に契約竜を貸してくれるかは疑問ではあるが、ドラゴンがいなくても特に問題もないだろう。

 強いて言えば辺境に出向くのが少し不便になる程度の事だろう。

 俺はこうしてカイヤート暗殺計画を立てたのだった。

 そして少し前、カイヤートを魔の森に落としたと連絡があったのだ。

 私はついにやった。これで邪魔者はいなくなった。

 すぐにでも父上に報告をと思う、はやる気持ちを何とか抑え込んだ。

 

 だが、事態は一変する。

 スヴェーレのアンティ辺境伯がドラゴンで王都にやって来て父上と面会した。

 「皇王陛下。お喜び下さい、ついにカイヤート殿下と大聖女セリ殿がやりました。シェルビ国の浄化と共にプロシスタン国の魔呪光の呪いも解けたようでう。カイヤート殿下のお話によりますと、呪いに寄って両国を隔てていた壁が取り払われ昔のようにオロール光が戻って来たと報告を受けております。直に魔呪獣になったものも元の身体に戻るものと思われます。但し年老いた者は寿命によって亡くなっている場合もあるとの事です」

 アンティ辺境伯は吉報を届けに来たのだ。

 そんなバカな!!

 私は腰が抜けるほど驚いた。

 そんなところに、魔呪獣になった獣人たちが戻ってき始めたと報告が。

 王都は大騒ぎになった。

 獣人は次々に自分の家に帰ったり城にやって来たものもいた。

 中には貴族の息子や騎士だったが城に戻って来た。

 元騎士隊員だった一人の獣人が言った。

 「実は魔の森でカイヤート殿下の匂いがした気がしたのですがカイヤート殿下はご無事で?」

 「それは本当か?」

 私は驚くふりをするのが辛かった。と言うよりもおかしいのを我慢する方が辛いと言う方が正解か。

 だが、もう遅い。あいつは死んだ。と言いたかった。





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