妾に恋をした

はなまる

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10初めての夜(2)

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  ご主人が私から身体を離したせいでベッドの敷布に液体が流れ出た。

 今度はご主人様の顔が強張った。

 「ミーシャ!まさか…はっ?どういう事なんだ?君は結婚していたんだろう?これは…ミーシャ本当のことを言うんだ。君は純潔だったのか?」

 その声はかなり焦っている。

 私はこれはまずいと思った。騙していたと言われたら追い出されるかもしれない。

 ここは誠心誠意謝らなくてはとぐっと起き上がって頭を下げる。

 「申し訳ありません。その通りです。でも、もう純潔ではなくなりましたから…」

 「ばか。誰がそんな事を…いいから事情を話すんだ」

 「実は前夫は前の奥様を愛するあまり出来なかったんです。でも、私達も色々努力はしたんです。ですが…半年余りで亡くなってしまいましたので…あっ「だったら、こんな事するべきじゃなかっただろう!」…」

 ネイト様は怒っているのか後悔しているのかわからなかった。

 (追い出される)


 でも、ここで引き下がるわけには…

 「で、でも。閨の知識だけは無駄にありますから、気にしないで下さい」

 「そ、そういう問題ではない!」

 ご主人様は怒りに唇を震わせた。きっと…

 (ああ~火に油を注いでしまったか…)

 私はもう一度ネイト様の顔をしっかり見据える。

 「ご主人様。それは私の決める事です。私はこれで良かったんです。事情は説明しました。お願いです。ここに置いて下さい」

 ネイト様は考え込んだ。

 しばしの沈黙……


 「ミーシャはそれでいいのか?」

 「はい」

 「だったら今度は時間をかけよう」

 「へっ?」

 そう言った唇はご主人様に食いつかれた。

 何度もキスをしてゆっくり身体に触られる。

 こんな経験はある。トーマスも何度か試したから…

 でも、こんな気持ち良かったかな?それに甘い気もする。

 次第にうっとり心地よい感覚になって… 

 ご主人様にされるままあちこち愛撫されて解されて勃かまったものを受け入れた。

 なぜか身体の奥が熱くなって感じたことのない快感に襲われた。

 彼のものを感じてナカが震えた。

 うごめくそれが。

 膨張していくそれに。

 例えようのない充足感が埋め尽くす。

 そして吐精が終わると彼に優しく抱きつかれた。

 「痛くなかったか?」

 「はい、き、気持ちよくなって…」

 思わず私も彼にしがみ付いた。

 (こんな事いけないのに。こんなことをすればおかしな気持ちになるかもしれない。すぐにやめるべきなのに…)

 それでもほんのひと時でいい。温もりが欲しいと願ってしまった。

 「俺もすごく気持ちよかった。ミーシャありがとう」

 「そんな…」

 彼の吐息が耳元にかかり私は彼の胸に顔を埋めた。

 どれくらいそうしていたかもわからない。



 ご主人様が優しいキスをしてゆっくり離れた。

 「そろそろ帰る。明日からしばらく忙しい。ミーシャはゆっくり休め、いいな?」

 「はい。ご主人様」

 彼は服を着るとそのまま出て行った。

 鍵を外からかける音がして彼が最初から帰るつもりだったと思った。

 (当たり前じゃない。私は妾。子供を産むためだけの道具。それを忘れちゃだめ!)

 私はそう心に言い聞かせた。


 彼が去った冷たいベッドに横になる。

 そして知った。

 身体を繋ぐことがこんなに心を満たしてくれる行為だということを。

 そして温もりが離れた時こんなに寂しいと感じることも…


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