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16支度は整いました
しおりを挟む夕方になってミーシャはやっと畑から引き揚げた。
汗まみれになった身体を風呂できれいにする。
時間になったのだろうカティが離れにやって来た。
カティは入って来るなり私を叱った。
「ミーシャ様。あれから畑にいらっしゃるなんて…もう、こんなに。そこに横になって下さい」
「なぁに?」
「疲れが出てます。少しマッサージさせて頂きます」
私はベッドに横にさせてカティが腕や足をマッサージしてくれた。
あまりの気持ち良さにうっとりとなる。
それから顔のマッサージを受け肌に良いというパックをされきれいに化粧を施された。
最初に着て来た薄紫色のドレスに着替え髪をハーフアップに結ってもらった。
アクセサリーは控えめな小粒のピンクサファイアのイヤリング。
これは成人のお祝いにと両親がくれたものだった。
私の唯一のぜいたく品だ。
鏡の前で驚いた。
「カティやりすぎじゃ…」
「何をおっしゃってるんです。私は何もしておりません。ミーシャ様はお顔立ちがとてもお綺麗ですから」
「そんな事言われたこともないわ…」
「もっと自信を持って下さい。奥様よりミーシャ様の方がずっと素敵です。ネイト様もミーシャ様のことが…あっ、余計なことを言ったら叱られますので」
「待ってカティ。どういう事?」
「でも…」
「お願い」
「若奥様と喧嘩されたいたんです。若奥様と何とかうまく行くようにとネイト様はお考えになったみたいですが、若奥様は拒絶されたみたいで泣きながらネイト様のお部屋から出て行かれて…すみません。この話は内緒にして下さい」
「ええ、もちろんよ。それは私のせい?」
「いえ、違います。もともとおふたりは不仲でしたから」
「そう、だといいけど…」
「ミーシャ様が気になさる必要はありません。だってそういう約束でここに来られたんですから…さあ、もうそろそろ時間です。料理長も今夜は張り切っていましたので嫌なことは考えず夕食を楽しんでください」
「ええ、そうね。カティの言う通りだわ」
私はカティに微笑んだ。
(いい事ミーシャ。これはただの夕食なの。
若奥様がお出かけになったのも前からの予定だったんだし。
それに私は妾として契約してここにきているんだもの。
いわゆるあれよ。
今夜こそ息子に子作りに励まそうと仕組まれたに違いない夕食のお誘いってやつ。
であるとしてもこれは仕事なのだから…
それじゃもっと色っぽいドレスが…ううん、そもそもそんなドレスを持っていない)
私はカティの後ろを歩きながら苦笑した。
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