6 / 13
6
それから毎日のようにレックスは夕食に間に合うように来てくれた。わたしは腕の痛みもなくなって1週間後には病院に行って完治を言い渡された。
明日から仕事という前の夜には、レックスの為に自慢のローストチキンを作った。
小さなキッチンにキャンドルを灯して彼が買ってきたシャンパンを開けた。
「このチキンすごくおいしいよ。大変だったんじゃない?」
「ううん、今は家にいて時間がいくらでもあるから、今日は朝から買い出しに行って支度を始めたの。まだデザートもあるわよ」わたしは得意のアップルパイを焼いた。
これはジェリーが大好きだった。いつも作っている途中でリンゴをかすめ取っていくジュリーとふざけ合いながらパイを作った。オーブンに入れると決まってジェリーがわたしを求めて来た。おいしいリンゴがここにもあるなんて…
わたしの乳首に吸い付いて、わたしはすぐに気持ちよくなって彼に身を任せたわ…ジェリーの舌はわたしの膨らんだ突起を舐め上げる。わたしはすぐに快感の渦に放り込まれて体はわななきあっという間に絶頂の叫び声を上げてたわ…
シャロンは喉をごくりと鳴らした。
もしレックスに抱かれたらわたしはあんな風に彼の前で淫らな反応をするのだろうか?
そんなことを思い出したせいで、秘めやかな部分が熱を持ちうずく。
「シャロン?」
「シャロン?疲れたのか?」
「えっ?ああ、何でもない。そうね、久しぶりに張り切ったから疲れたわ」
「そうだろう。君の料理はすごくおいしい。君が手抜きをせずにきちんと料理したってわかるよ」
「それはどうも。お褒めに預かり光栄ですわレックス」わたしは何もなかったかのように、お姫様みたいにスカートを広げて挨拶をした。今日は彼がプレゼントしてくれたブルーのワンピースを着ていた。
レックスが噴き出した。
「シャロンは可愛いね。ますます君を食べてしまいたくなるよ」
レックスの瞳にはキャンドルの炎が揺らめいている。まるでお伽話みたいな展開じゃない。なんてロマンティックなの…
「さあ、わたしがお皿に乗る前にデザートにしましょうか」わたしはふざけながらアップルパイを取り出した。デザートナイフでカットしようと…
レックスはお行儀よく座って待っている。
ジェリーなら…
もう…またなの。
だって…ジェリーならデザートナイフなんかいらないと言ってパイを丸ごとリビングに持って行く。それをフォークでとりわけて口にほおばる。わたしにも食べろと言って口に放り込んでくる。そしてすぐにキスしてくるのだ。アップルパイと彼の味が混じり合って、それはすごくおいしいスイーツに変身するから不思議だった。
またしても体が疼く…わたしって興奮してるの?
「シャロン?僕が変わろうか?」レックスが立ちあがってアップルパイの前に来た。
「ええ、そうね。お願いできる?」
「ああ、任せて、君も紅茶にするんだろう?」レックスはカップを取り出すとやかんに火をかけた。何もかもがうまく出来過ぎている。それほど彼は完璧だった。
シャロンはしばらくレックスの手元を見つめていた。でも脳に湧きあがるのは、ジュリーが教えてくれた目くるめく喜びの事ばかりだった。
わたしはジェリーを恋しがってるわけじゃないわ。ただ…
もういい加減にしなさい!
アップルパイはデザート皿に乗って、紅茶もカップに注がれた。アールグレイのいい香りが部屋に立ち込めるとシャロンはふっとレックスを見た。
「さあ、どうぞ。プリンセス」
「あら、ありがとうプリンス」わたしは頬が熱くなった。わざとレックスに合わせてふざけた。
「うーん。すごくおいしいよ。シャロンはいいママになれるね」
レックスの言葉はわたしをつんのめらせた。いきなり?わたしがママに?
そう思った瞬間わたしはもしもジェリーとの間に子供が出来ていたらと思ってしまった。そしたら彼はあんな事をするのをやめたのだろうか?
いえ、あれは天性の…いくつになってもやめれないって言うやつよ!
彼の子供なんて…ほんと。妊娠なんかしなくてよかった。
レックスはわたしがぼーとしている間に自分の皿を片付け始めた。そしてわたしの分まで洗うと言って…
「そう言えばシャロン明日から仕事だろう?地下鉄とか大丈夫そう?迎えに来ようか?」
「ううん、あなただって仕事でしょう。それに朝はラッシュで地下鉄の方が早いもの」
「まあね。そうだ今度両親がニューヨークに来るんだ。良かったら一緒に食事しないか?」
「ええ、そうね…」わたしに断る理由はなかった。
「今度の休みに、いいねシャロン」レックスはわたしを引き寄せ甘いキスをした。唇を開かれ舌を滑り込ませてくる激しさが増すと彼は我慢できないみたいで、わたしの太腿の間に脚を割り込ませた。熱く高まった股間を押し付けて来た。
さっきから疼いていた秘所は、マッチを擦ったように燃え上がる。
こんなの…
「レックス…お願い…」わたしはまだ迷っていた。
でも彼は勘違いした。すぐにわたしのワンピースの裾に手を入れて来た。太腿を這いあがる彼の手は震えていて熱く燃えている。
わたしは燃え上がり始めた体をもてあましている。いっそこのまま彼のものになってしまえばいいのよ。わたしだってずいぶんご無沙汰なんだもの…
体はいつでも受け入れる準備が出来ている。女にだって欲望はあるわ。
ジェリーはあんなに好き勝手に女とよろしくやっているのよ。まるで盛りのついた犬みたいに…
そこではっと理性がよみがえった。
「レックスやめて!今はまだそんな気分になれないの。ごめんなさい。もう帰って…」わたしは彼の胸を押してふたりの間に空間を作った。
こんなの間違っているわ。
「シャロン…いいか。ジェリーはもう君の事なんかなんとも思っていないんだ。早く吹っ切るには僕と関係を持つのが一番いい方法かもしれないじゃないか…考えてくれる?僕だって男なんだ。こんなふうにお預けばかりじゃ…」レックスは手を伸ばして何度も自分の髪をすいた。そしてようやく一歩下がった。
「いいんだ。もう忘れてくれ。じゃあ帰るから、ごちそうさまおいしかったよ」レックスは頬にキスをすると帰って行った。
わたしはしばらくその場に立ち尽くしていた。
ああ…いつになったら彼を忘れられる日が来るのかしら?レックスの言う通りかもしれない。
でも彼のご両親に会うなんていきすぎじゃない?
その夜いろいろ考えているうちにわたしの頭の中には、まるでダイエットグラフか何かみたいに、ジェリーとレックス比較表が出来上がって行った。
わたしはおかしくなった。
どう見てもジェリーはレックスに勝ち目はなかった。こんな素晴らしい男性にはきっともう二度とお目にかかれないわ。
シャロンは改めてレックスのすばらしさを思い知らせれると同時にジェリーのしょぼさを教えられた。
あなたにおすすめの小説
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
偽りの愛の終焉〜サレ妻アイナの冷徹な断罪〜
紅葉山参
恋愛
貧しいけれど、愛と笑顔に満ちた生活。それが、私(アイナ)が夫と築き上げた全てだと思っていた。築40年のボロアパートの一室。安いスーパーの食材。それでも、あの人の「愛してる」の言葉一つで、アイナは満たされていた。
しかし、些細な変化が、穏やかな日々にヒビを入れる。
私の配偶者の帰宅時間が遅くなった。仕事のメールだと誤魔化す、頻繁に確認されるスマートフォン。その違和感の正体が、アイナのすぐそばにいた。
近所に住むシンママのユリエ。彼女の愛らしい笑顔の裏に、私の全てを奪う魔女の顔が隠されていた。夫とユリエの、不貞の証拠を握ったアイナの心は、凍てつく怒りに支配される。
泣き崩れるだけの弱々しい妻は、もういない。
私は、彼と彼女が築いた「偽りの愛」を、社会的な地獄へと突き落とす、冷徹な復讐を誓う。一歩ずつ、緻密に、二人からすべてを奪い尽くす、断罪の物語。
侯爵様の懺悔
宇野 肇
恋愛
女好きの侯爵様は一年ごとにうら若き貴族の女性を妻に迎えている。
そのどれもが困窮した家へ援助する条件で迫るという手法で、実際に縁づいてから領地経営も上手く回っていくため誰も苦言を呈せない。
侯爵様は一年ごとにとっかえひっかえするだけで、侯爵様は決して貴族法に違反する行為はしていないからだ。
その上、離縁をする際にも夫人となった女性の希望を可能な限り聞いたうえで、新たな縁を取り持ったり、寄付金とともに修道院へ出家させたりするそうなのだ。
おかげで不気味がっているのは娘を差し出さねばならない困窮した貴族の家々ばかりで、平民たちは呑気にも次に来る奥さんは何を希望して次の場所へ行くのか賭けるほどだった。
――では、侯爵様の次の奥様は一体誰になるのだろうか。