大嫌いなんて言ってごめんと今さら言われても

はなまる

文字の大きさ
3 / 29

3フェリオ様ファンクラブに勧誘されました

しおりを挟む

 
 翌日シルベスタはいつものように学園の一角でフェリオ様の登校を待った。

 そこにはフェリオ様親衛隊らしい令嬢方が20人ほどいた。

 シルベスタは控えめにすぐ後ろで一緒にフェリオ様を待つ。

 ひとりの令嬢がシルベスタに声をかけた。

 「あら、新顔ね。あなたもフェリオ様を?」

 彼女はナージャ・セレスカ侯爵令嬢だったはず。彼女は波打つ金色の髪が美しい見惚れるほどの女性で1学年上だったはず。

 「はい、入学してフェリオ様を拝見して一目で心を奪われたんです。あの…もしかしてセレスカ様はフェリオ様のファンクラブの?」

 「あなたファンクラブに入りたいの?」

 彼女がぐっと背筋を伸ばして威嚇するようにこちらを見据える。

 (うわっ、行けないことを言ってしまったのか?ど、どうしよう…)

 「…すみません。私のようなものがフェリオ様のファンクラブに入りたいなどと…」

 「あら、フェリオ様の魅力に心を奪われた方とご一緒出来るなんて光栄ですわ。私はファンクラブの会長をしているの。あなたも会員登録したいんでしょ?」

 「いいんですか?」

 「もちろんよ。素晴らしいフェリオ様を独占しないためにも、これは絶対に必要なクラブだと思ってるわ。後で申し込み用紙を持って行かせるから必要事項を書いてちょうだい。それから、規約はよく読んでね。フェリオ様への単独接触は禁止。もちろん勝手にプレゼントなんて論外よ」

 (あっ、と思ったが、そこはおくびにも出さず)

 「はい、もちろんです。でも、ルヴィオス公爵令嬢はフェリオ様と特に親しいのはいいんでしょうか?」

 「まあ、良くはないけれど、あの方はフェリオ様とは幼なじみで学園に入る前から仲が良いらしいの。あっ、でも、もう一人は日替わりで交代することに決まってるから…あなた」

 「シルベスタ・オリヴィエです」

 シルベスタはびしっと背筋を伸ばして直立不動体勢になった。


 「オリヴィエと言えばあの伯爵家ですの?」

 「はい、私は次女で学園に通うためこちらのタウンハウスで暮らしております」

 「そう。ご両親は?」

 「両親は領地で忙しくしておりまして、姉が結婚して入り婿を迎えましたのでますます忙しくて、こちらには侍女と執事とで」

 「そうなの。いえ、お噂はかねがねお聞きしているわ。王都にも宝石商や服飾店、それに今人気のカフェやレストランも経営されているとか」

 わが家が結構なお金持ちと分かったからなのか?彼女は柔らかな声色で色々聞いて来る。


 「はぁ、領地で取れる鉱石を有効活用しただけみたいです。それに王都にカフェやレストランを出すと言うのは私のアイディアで経営はまだ両親ですがある程度の融通は利きますので会員の方たちの会合など引き受けらると思いますが」

 「まあ…」

 セレスカ様は感極まったような声を上げた。

 「今日、シルベスタ。あなたのような方とご一緒出来たことはすごくラッキーでしたわ。実は今度の剣術大会が終わったらフェリオ様とファンクラブの皆さんとご一緒にバースデーパーティーを企画しているの。あなたの家のカフェかレストランを貸し切ることが出来ればとっても助かるんですけど…」

 セレスカ様は少し目を伏せられて両手をぎゅっと組んでそれは庇護欲をそそられる姿だ。

 女性らしい姿だったが、シルベスタの脳内にはフェリオ様と一緒にバースデーパーティーを楽しんでいる光景が浮かんでいた。

 (すてき!)

 「まあ、そんな計画が。もちろんお任せください。学園の方との交流会をすると言えば家族は喜んで貸し切りでも何でもしてくれると思います」

 「そう?助かるわ。では早速今後の予定を立てるためにも放課後集まりましょうか」

 「はい、では学園近くのカフェ<ロールロール>でいかがでしょうか?あっ、どうしてロールロールって言うかと言うとお店で出すロールケーキがそれはもう絶品なので…」

 セレスカ様の瞳がキラッと輝いた。周りにいた令嬢たちも一緒にごくりと唾を飲み込む音が聞こえたような…

 「まあ、私もずっと行ってみたいって思っていたのよ。そんなにロールケーキが絶品なんですの?今から放課後が楽しみですわ。ねぇ皆さま」

 「「「はい!セレスカ様!!」」」

 「でも、ここにいる全員は無理ですわよ。そうね。会長の私と他2人ほどご一緒してもよろしいかしら?オリヴィエ様」

 「セレスカ様、私の事はシルベスタと」

 「そう?では私の事はナージャと呼んで頂戴。皆さま今日から新しい仲間が出来ました。シルベスタ・オリヴィエ伯爵令嬢よ。よろしくね」

 「新しくフェリオ様のファンクラブに入りましたシルベスタ・オリヴィエと申します。どうぞよろしくお願いします」

 シルベスタはそこにいた令嬢たちに挨拶をした。

 令嬢たちが拍手で迎えてくれた。


 そこにフェリオ様が通りかかった。

 「「「おはようございます。フェリオ様!」」」

 令嬢がフェリオ様に一斉に挨拶をする。

 フェリオ様はいつもの恒例とばかりにしれっと「おはようみんな。今日も早くからありがとう」さらりと挨拶をした。

 今日も朝から美しい金色の髪がさらさら風になびいてその場にいた令嬢たちからうっとりしたため息がこぼれた。

 「あっ、もしやそこにいるのはシルベスタ・オリヴィエ嬢か?」

 (えっ?いきなり名指し呼び。どうして?)と思いながらも返事をする。

 「はい、そうですが」

 「君に話がある。すこしいいか」

 シルベスタはフェリオ様についてくるよう言われてすごすご後をついて行った。

 20人の令嬢たちの鋭い視線に痛いほど背中を突きさされながら…



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

《完結》戦利品にされた公爵令嬢

ヴァンドール
恋愛
戦いの《戦利品》として公爵邸に連れて行かれた公爵令嬢の運命は?

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

図書館の堕天司書 ―私達も図書館から禁帯出です―

ふわふわ
恋愛
有能司書レリアンは、蔵書管理ログ不整合の責任を押し付けられ、王太子の判断で解任されてしまう。 だがその不祥事の原因は、無能な同僚テラシーの入力ミスだった。 解任されたレリアンが向かったのは、誰も使っていない最下層。 そこに山積みになっていた禁帯出蔵書を、一冊ずつ、ただ静かに確認し始める。 ――それだけだった。 だが、図書館の安定率は上昇する。 揺れは消え、事故はなくなり、百年ぶりの大拡張すら収束する。 やがて図書館は彼女を“常駐司書”として自動登録。 王太子が気づいたときには、 図書館はすでに「彼女を基準に」最適化されていた。 これは、追放でも復讐でもない。 有能な現場が、静かに世界の基準になる物語。 《常駐司書:最適》 --- もしアルファポリス向けにもう少し分かりやすくするなら、やや説明を足したバージョンも作れます。 煽り強めにしますか? それとも今の静かな完成形で行きますか?

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

王宮勤めにも色々ありまして

あとさん♪
恋愛
スカーレット・フォン・ファルケは王太子の婚約者の専属護衛の近衛騎士だ。 そんな彼女の元婚約者が、園遊会で見知らぬ女性に絡んでる·····? おいおい、と思っていたら彼女の護衛対象である公爵令嬢が自らあの馬鹿野郎に近づいて····· 危険です!私の後ろに! ·····あ、あれぇ? ※シャティエル王国シリーズ2作目! ※拙作『相互理解は難しい(略)』の2人が出ます。 ※小説家になろうにも投稿しております。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

処理中です...