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8剣術大会
しおりを挟む数日後、ついに剣術大会の日が訪れた。
この日の体育館には、来賓客や校長なども列席するため一階の観客席中央にはそのための席が設けられている。
学生の応援の席はその左右と反対側の二階席にあった。
フェリオ様のファンクラブは事前に観客席を確保するために生徒会に話をつけてあった。
クララ様は生徒会で副会長もしているのでその関係で融通がきくらしい。
ファンクラブ会員50名のための観客席は二階席の中央あたりだった。
その日はクララ様は生徒会としての仕事がありファンクラブ会員の席にはつけないらしいが試合をすぐそばで見れると言う美味みがあったがタオルを振っての応援が出来ない事を残念がっていた。
ナージャ様がクラブの会長なのでファンクラブ会員を体育館の外で集めシルベスタが用意したタオルと扇子をそれぞれ全員に配りみんなで二階の観客席に入った。
もちろんクララ様の分は先に渡してあった。
席は3列になっていて前の席にはナージャ様やキャロリーナ様、パメラ様そしてシルベスタも前列に座らされた。
「いいんですか?」
「「「シルベスタさんは特別ですよ!」」」
タオルや扇子がシルベスタの寄付だった事もあり全員からそう言われた。
「私、新米なのに皆さん申し訳ないわ~でも、お言葉に甘えちゃいます。うれしい~」などと舞い上がった。
何しろずっと見たかったフェリオ様の勇ましい姿が見れるのだ。
全員が期待と興奮で気持ちは高ぶっていた。
剣術大会の参加者は大体2年生と3年生だ。この学園では男子生徒には剣術の授業があってこれも授業の一環とされている。
1年生の参加者は入学前に剣術の訓練を積んで来たものは認められるが今回はいなかった。
試合はトーナメント方式で行われ剣はもちろん模擬剣で相手の身体に当てるか剣を落としたらそこで終わり。
会場は3区画に仕切られていて、3年生、2年生と別れて行われる。
フェリオ様は5番目に出場予定だ。
いよいよ試合開始。
シルベスタたちはその時を今か今かと待ちわびた。
その手には<フェリオ>と金糸で刺しゅうされたタオルが握りしめてある。
もちろん扇子は彼の色で会員は待っている間もそれを見せびらかすように扇ぐ。
いよいよフェリオ様の番が来た。
フェリオ様は中央で同じく2年生のロザリオと言う男子生徒が相手だ。
フェリオ様がちらりと二階席の観客席を見た。
「きゃ~フェリオ様頑張って!「フェリオ様すてきです!」「頑張ってください!」」
黄色い歓声が飛ぶ。もちろんタオルをここぞとばかりにはためかす。
フェリオ様は唇を引き結び軽く頷いた。「きゃ~」
審判が手を挙げて試合開始の合図とした。
ロザリオが先に模造剣を振りかぶった。
「フェリオ覚悟!…ブン!」模造剣が宙を切る。
そこをすかさずフェリオが前かがみになりロザリオの腹を模造剣で「バスッ!」と一撃をくらわした。
ロザリオは「グフッ!」と一声あげてその場に膝をついた。
「勝負あり!」
審判の声が響くと観客席から黄色い歓声があがった。タオルを大きく振ってフェリオの文字を掲げる。
「「「フェリオ様~」」」まるで合図したように全員の声が揃う。
かなりの大音量である。
周りからは侮蔑の色が見えて一階席の来賓たちは眉を寄せてその光景を見ている。
だが、ファンクラブ会員たちにはそんな周りの雰囲気など構う余裕はない。
シルベスタはつい興奮して立ち上がってタオルを振る「フェリオ様~」と声を上げてナージャ様に「危ないわよ!」と注意を受けた。
「すみません」会員のみんなに振り向いて謝るとミーナさんが「お気持ちわかりますぅ~気にしないで」と温かい言葉を貰ったのでほっと胸を撫ぜ下ろした。
フェリオ様はそんな様子を見てやりすぎだとばかりに眉を寄せていたがそんな事に気づくようなシルベスタではなかった。
憧れの君の姿を見れることに嬉々として顔をほころばせていた。
生徒会員が各試合結果をまとめ試合結果をボードに書いていく。
クララ様はフェリオ様にタオルを手渡しして会員に手を振った。
みんなもそれに合わせて手を振り返した。
さらに試合は進んで行きフェリオは次々に試合に勝ち進んだ。その度に会員は黄色い声援を送りタオルをはためかせた。
他にも第2王子のアルナンド様も順調に勝ち進み、レックス様も勝ち上がっていた。
そして準決勝ではレックス様とフェリオ様の試合が行われ見事にフェリオ様が勝ち進んだ。
いよいよ決勝戦。
相手は第2王子のアルナンド様だが、ここは一歩も引けない所だ。
フェリオ様がアルナンド様に声をかける。
「殿下と言えどこれは試合ですので手加減はなしです」
「もちろんだ。フェリオ。さっきからきゃぁきゃぁと外野が騒がしいがそんな歓声もねじ伏せてやるからな。覚悟しろよ」
ふたりは真剣な眼差しで見合う。
「始め!」審判が声を上げた。
ふたりはしばらく間を取り合いながら互いを牽制していたが、最初に仕掛けたのはフェリオ様だった。
アルナンド様が正面から来る剣を斜めに受け止める。はっと半歩下がり今度はアルナンド様が右斜め上から剣を振り下ろす。
「カッチーン!」フェリオ様がそれを受け止める。
互いに力を込めて押し合う。
息もつけない緊迫感の中「「「フェリオ様がんばってぇ~!!!」」」の声援が湧き起こる。
アルナンド様が「チッ!」と舌打ちして二階席の黄色い声援に目を向けた。その時!
フェリオ様が剣を払ってアルナンド様の横腹に剣を振った「バスッ!」「ゥクッ!」アルナンド様が膝をついた。
「勝負あり!」審判の声が響いた。
フェリオは最初の位置に下がる。
アルナンドは納得いかない様子で「フェリオ卑怯だぞ!」声を荒げる。
「殿下。勝負は勝負ですよ」
「お前のあの応援はなんだ?気色の悪い声でお前の声援をして、そのせいで俺は気が散ったんだ。お前はあんなものに頼ってでも勝負に勝ちたいのか?」
「俺が頼んだわけではありません。あれは彼女たちが勝手にやっている事です。それとももう一度勝負しますか?」
そこに審判が割って入った。
「ふたりとも見苦しいですよ。この剣術試合では勝負は一回限りと決まっています。やるなら別の場所で改めて勝負しなさい」
アルナンドはぎりぎり歯ぎしりが聞こえるほど悔しがったが、審判に言われた手前これ以上何か言うことは出来ないと判断したらしく、そのまま体育館を出て行った。
フェリオは優勝して表彰台に上がり1位の栄冠を手に入れた。
観客席から割れんばかりの拍手と<フェリオ>のタオルがはためいたのは言うまでもない。
ファンクラブ会員は観客席から出て表でフェリオが出てくるのを待った。
これからいよいよレストラン<コルドバ・ランテ>で彼のバースディパーティーがあるのだ。
みんなの気持ちは最高潮に盛り上がっていた。
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