22 / 59
21アランの様子が気になる
しおりを挟む私たちは騎士隊長の屋敷を訪ねた。
「すみません。ああ、ネクノさん。あの、アラン君の容体はいかがですか?」
「アリーシアさん、ちょうど良かった。坊ちゃんはかなり良くなっていたと思っていたんですが今度はお腹の具合が悪くて」
「ああ、よくあるんですよ。ブリド病は熱が下がるとお腹を下すことが多いんです。きっと病原菌が強いせいなんでしょうね」
ロベルト神官が説明してくれた。
「こちらです」
アランの部屋に入ると顔色の悪いアランがベッドでぐったりしていた。
すぐそばにはスーザンさんがいてアランのお腹をさすってやっていた。
「アリーシアさん?坊ちゃんが‥良くなったと思ってたんです。でも、また具合が悪くなってしまって…」
「ええ、聞きました。もう、大丈夫です。アラン?辛かったね。もう大丈夫だよ。やっぱり一回の治癒魔法では治しきれなかったんだね。さあ、ゆっくり息を吸って…」
「すぅぅぅう~」
私はアランの身体の上に手をかざす。
(神様どうか力をお貸しください。アランの病気が良くなりますように…)
淡い光がアランの身体を包み込む。
「今度はゆっくりはいて~」
「ふぅぅぅぅう~」
「アラン?どうお腹は?」
「…あれ?さっきまで痛くてたまらなかったのに…うん、もう痛くないよ。すごいねお姉ちゃん」
「私はアリーシアって言います。アランよろしくね」
「うん、アリーシア。今度一緒に遊んでくれない?僕友達がいないんだ。パパはいつもお仕事で忙しいし、スーザンはとっても優しいけど…僕はもっと外で遊んだり剣術の稽古だってしたいんだ。パパみたいに強くなるんだ」
アランはスーザンをちらりと見て言う。きっと遠慮してるのだろう。
(なんて可愛い。でも、私は女らしくないって事?)
「アランはどうして私だとお外で遊べるって思ったのかな?」
「だって、アリーシア、騎士隊の人と出かけたよね?僕、窓から見えたんだ。魔獣が出たってみんなが大慌てで‥パパはガロンに乗って飛んでいった。ガロンと行く時はたいてい魔獣が出た時なんだ。時々違うときもあるけど今回は魔獣でしょう?だから…」
(ああ、それで私はおてんばな女だと思われたって事。まあ、そういう事なら…)
「アラン。では、今度お外でかけっこしたり、そうだ!ピクニックなんていいかもね」
「ピクニック?なぁにそれ?僕そんな事したことないんだ。絶対そのピクニックやりたい!」
「まあ、坊ちゃん。まだ寝てなくちゃだめですよ。また痛くなっても知りませんよ」
「は~い。スーザン。いいでしょう?アリーシアとピクニック。そうだ。パパも一緒に!」
アランの瞳はキラキラ宝石のように輝く。
(あのパパと一緒にはどうかと…)
「パパは都合を聞かなくちゃわからないけど。そうだ。今度バスケットにランチを入れて庭でピクニックしましょう。外で食事をするのがピクニックなのよ」
「ふぅん、ランチをお庭で食べるんだね。わかった。約束だからね」
「ええ、アランがすっかり良くなったらやりましょうね」
私は楽しそうに話すアランについそんな約束をした。
帰り際にスーザンが声をかけた。
「アリーシアさん申し訳ありません。坊ちゃんを治していただいてありがとうございました。坊ちゃんはお母様がいらっしゃらないので寂しいのでしょう。ピクニックは無理ならこちらでやりますので、どうか気になさらず」
「いいえ、子供と約束をたがえるのはいけません。近いうちにまたお邪魔させて頂きますので、その時はご連絡してまいりますから」
「ありがとうございます。では、また。失礼します」
「失礼します。どうかお大事に、もしまた何かあったらいつでも教会の方にご連絡下さい」
「ああ、教会に帰られるんですね。神官様もアリーシアさんもどうかお気を付けて」
そうやってさあ、帰ろうとした時ガロンの声が聞こえた。
15
あなたにおすすめの小説
全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。
彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。
義妹がやらかして申し訳ありません!
荒瀬ヤヒロ
恋愛
公爵令息エリオットはある日、男爵家の義姉妹の会話を耳にする。
何かを企んでいるらしい義妹。義妹をたしなめる義姉。
何をやらかすつもりか知らないが、泳がせてみて楽しもうと考えるが、男爵家の義妹は誰も予想できなかった行動に出て―――
義妹の脅迫!義姉の土下座!そして冴え渡るタックル!
果たしてエリオットは王太子とその婚約者、そして義妹を諫めようとする男爵令嬢を守ることができるのか?
石女を理由に離縁されましたが、実家に出戻って幸せになりました
お好み焼き
恋愛
ゼネラル侯爵家に嫁いで三年、私は子が出来ないことを理由に冷遇されていて、とうとう離縁されてしまいました。なのにその後、ゼネラル家に嫁として戻って来いと手紙と書類が届きました。息子は種無しだったと、だから石女として私に叩き付けた離縁状は無効だと。
その他にも色々ありましたが、今となっては心は落ち着いています。私には優しい弟がいて、頼れるお祖父様がいて、可愛い妹もいるのですから。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
二度目の人生は離脱を目指します
橋本彩里(Ayari)
恋愛
エレナは一度死に戻り、二度目の人生を生きることになった。
一度目は親友のマリアンヌにあらゆるものを奪われ、はめられた人生。
今回は関わらずにいこうと、マリアンヌとの初めての顔合わせで倒れたのを機に病弱と偽り王都から身を遠ざけることにする。
人生二度目だから自身が快適に過ごすために、マリアンヌと距離を取りながらあちこちに顔を出していたら、なぜかマリアンヌの取り巻き男性、死に戻り前は髪色で呼んでいた五人、特に黒いのがしつこっ、……男たちが懐いてきて。
一度目の人生は何が起っていたのか。
今度こそ平穏にいきたいエレナだがいつの間にか渦中に巻き込まれ――。
契約結婚の相手が優しすぎて困ります
みみぢあん
恋愛
ペルサル伯爵の婚外子リアンナは、学園に通い淑女の教育を受けているが、帰宅すれば使用人のような生活をおくっていた。 学園の卒業が近くなったある日、リアンナは父親と変わらない年齢の男爵との婚約が決まる。 そんなリアンナにフラッドリー公爵家の後継者アルベールと契約結婚をしないかと持ちかけられた。
【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる