いきなり騎士隊長の前にアナザーダイブなんて…これって病んでるの?もしかして運命とか言わないですよね?

はなまる

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  レオナルドに口腔内を隅々まで探られ、舌を絡めとられて行くうちにもう何も考えられなくなっていく。

 ちゅぅちゅぅと何度も唇を吸われ、瑠衣は我を忘れて行く。

 思わずレオナルドの背中に腕を巻き付けその背中の硬い筋肉に手を這わせてしまう。

 探るように彼を求めていると、もっと激しい口づけをされて舌を吸い上げられる。

 「はっ、ふぁ……んぁ…」

 思わず悩ましい声が漏れる。

 「ああ‥瑠衣、可愛い人…」

 レオナルドは甘い言葉でささやく。

 それだけで瑠衣の乳首は硬く尖り、彼の愛撫を待ち受けている。


 レオナルドの指が瑠衣の乳房をシャツの上からすっぽりと包み込むとそのままやわやわと揉みはじめた。

 レオナルドの指が動くたびに、乳房は形を変えて彼の手の中で悶えるようにプルプル揺れる。

 「はぁっ‥‥ぁあん‥‥」

 瑠衣の口からは甘い吐息がこぼれる。

 乳房から伝わる熱に浮かされるように彼に体を押し付けてしまう。

 次第に全身から力が抜けていき、彼にもたれるように身を任せてしまう。

 こんなはずではなかった。わたしは彼を止めようとしてたはずで…



 その時ジャックが執務室に入って来たらしく大きな声がした。

 「隊長、国王から命令書が来ました。隊長どこです?」

 レオナルドが瑠衣からぱっと離れた。

 「ああ、今行く」

 レオナルドは渋々体を起こすと隊服をぴんと引っ張ってしわを直した。

 「瑠衣、食べれるようなら少しでも頑張って食べるんだ。気分が良くなったらシャワーも使うといい。着替えはバスルームに用意してあるから…でも無理はしないでくれ」

 「ええ、ありがとうレオナルド」

 レオナルドは尻尾をぶんぶんと振るとすぐに執務室に入って行った。


 「ジャック何事だ?」

 「さっき早馬がこれを届けました。国王からの命令書です」

 ジャックが手紙を差しだした。

 レオナルドはすぐにそれを開いてみる。

 「すぐに迎えの馬車をやるからすぐに王宮に聖女を連れてくるようにと、書いてある。それだけか?」

 「そりゃそうですよ。聖女が現れたとなれば国王が直々に会いたいと言いますよ」

 「ああ、ジャック。もちろん俺も行くつもりだ。瑠衣を一人で国王に会わせるわけにはいかない。国王が何をお考えなのかもさっぱりわからないんだからな」

 レオナルドは一人でうなずく。

 ジャックはそんなレオナルドを見て困った。何とか隊長を止めないと…

 そうでなくても隊員たちは彼女が隊長の恋人ではないかと噂している。不思議な力があるからといって自分だけ女を連れ込んでいるのは規律違反じゃないのか。という声も上がり始めているというのに…


 「ですが隊長ヘッセンの守りはどうするつもりですか?隊員はまだ完全に回復していません。今何かがあれば、万が一と言うことも考えられます。それに隊員たちの中には、病原菌とかを井戸に入れたのも人間の仕業だと思っている者もいるようですし…勝手なことをする隊員が出るかも知れません。今は隊員たちの気持ちを引き締めるためにもここを離れない方がいいと思いますが…」

 「ああ、それはわかっている。だからこの争いをしないための策を考えている。それを国王に提言したいと思っている…だからジャックここを頼みたい」

 「ですがそれは無理です」

 レオナルドはどうすれば争いをやめることが出来るのか、ずっと考えていた。

 もともとプリンツ王国は山間の国で、金やダイアモンド。鉄鉱石などの資源が多くあった。300年前は獣人が働いてその鉱山の採掘をしていた。今は人間が採掘をしている。一方アディドラ国は平地が広がり農業や酪農、放牧も行われ、食料や織物などが盛んにおこなわれている国だった。

 互いの国は必要なものを交換することで、プリンツ王国は食料や織物をアディドラ国は機械や道具を手に入れてきた。

 だが天候不順で不作が続きアディドラ国は自国の食料を優先しているためプリンツ王国分の食料が不足しているのだった。そのため両国の間のバランスも危うくなっている。


 特にこの辺りでは食料の略奪や、獣人を奴隷として採掘現場で働かせる目的で連れて行く場合が多い。

 プリンツ王国の住人たちも生き延びる手立てを失っているため、統率が乱れているのだろう。

 それにアディドラ国の王はプリンツ王国を助ける気はなく、今回ヘッセンに騎士隊が派遣されたのもアディドラ国を人間に侵略されないためだった。自分の国さえが良ければいいと言う王の考え方は始末が悪かった。

 何とか王にプリンツの国王と話し合いをしてもらい、プリンツ王国の食糧危機を援助するかわりに、アディドラ国には必要な石炭や機械などをいれてもらうようにすればうまく行かないだろうか。

 アディドラ国には非常用にたくさんの麦や食料が備蓄してあるんだから…

 レオナルドはそれを王に提言して話し合いには自分が行ってもいいと思っていた。



 「隊長、表に王の迎えの馬車が着きましたが…」

 隊員の一人が報告に来た。

 「なんだって!もう迎えの馬車が来たのか…」クッソ!早すぎる。

 レオナルドは眉をひそめた。

 「隊長!大変です、一部に隊員が人間に仕返しをすると言って出て行きました。彼らはこの前の井戸の件で腹を立てていて…どうすれば?」

 「ジャックすぐに小隊を連れて追ってくれ。とにかく今勝手なことをするのはまずい。井戸の件ははっきりした証拠があるわけじゃない。確かな証拠がない限りうかつなことをすればそれこそ向こうの思うつぼだ!」

 レオナルドがジャックに命令を出す。

 「では、隊長わたしはすぐに彼らを追います。その代り聖女と一緒に王宮に行くのは今はやめてもらえますよね?今隊長がいなくなれば隊のまとまりがなくなります。隊長約束してもらえますよね?」

 

 執務室の会話は瑠衣の耳にも聞こえてきた。

 瑠衣は起き上がると急いで執務室に行った。

 まだ食事の途中で着替えもしていない瑠衣はレオナルドのシャツを着ただけの姿だった。

 「皆さん安心してください。王の所にはわたしひとりで行きますから、大丈夫ですから、早く彼らを追って下さい」

 「隊長」ジャックが声を荒げる。

 「ああ、わかった。ジャック約束する。では頼んだぞ」

 「はい、わかっています。任せてください」

 ジャックと隊員は急いで走り去った。


 レオナルドは瑠衣の方に向くと彼の瞳が刃のように鋭く光っていた。

 「どうしてあんな無茶なことを言った?わかっているのか瑠衣。王は冷酷な人間だ。瑠衣を利用してプリンツ王国との取引も自分の利益を優先するかもしれないんだぞ。それがどんなに危険なことか…まるでわかってない!」

 「レオナルド、わたしには力があるのよ。もし王がそんな取引を持ち掛けて来たら、わたしがそんな勝手なことはさせないから、きっとプリンツ王国と和解して争いをやめさせる」

 レオナルドは飽きれたように首を振った。

 「瑠衣、君が国の争いに巻き込まれる必要はないんだ。その力はみんなのために使ってくれるだけでいいんだ。瑠衣いいから俺が一緒に行けるまで待ってくれ」

 「あら、優しいのねレオナルドって…心配ないわ。わたしだって少しは役に立ちたいの。お願い。あなたの考えを聞かせてちょうだい!」

 「もう…君って人は、言い出したら聞かない人だってことを忘れていた」

 レオナルドは太腿を丸出しにした瑠衣に近づく。

 「おまけに俺を煽ろうともしているよな?瑠衣?」

 「こ、これは…違うわ!」

 レオナルドは容赦なく唇を奪う。嵐のように激しい口づけは瑠衣の気持ちを引きずり出していく。

 「あっ、…レ、オ……」

 そう言いかけて言葉を飲み込む。

 ああ…彼が好き。でもレオナルドはそうじゃない。彼が一緒に行きたがるのはわたしを利用するためかも。彼から逃げるのよ…




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