シャロンはまたまた気づいていなかったジェリーが永遠の愛を誓っていたことに

はなまる

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  その頃アイリーンはジェリーたちが帰って来るのを待っていた。

 ドアのチャイムが鳴ってアイリーンは思わずドアを開けてしまった。

 いきなりレックスが入って来た。

 「お前っていうやつはよりによってこんな男の子供を身ごもるなんて、絶対に許さないからな!さあ、帰るんだ。来いアイリーン!」レックスはいきなりアイリーンの手を捕まえると部屋から引きずり出そうとした。

 「兄さん何言ってるの?ジェリーの子供じゃないわ。相手はケビンという人で兄さんは知らない人よ」アイリーンはレックスの手を振り払って言った。

 「そんな嘘はどうでもいい。早くここから出るんだ。お前まで疑われるじゃないか!」レックスはロンから連絡をもらってジェリーの傷を負わせたことを知っていた。だからアイリーンがここにいては困るのだ。



 「疑われるって?まさか兄さん…何かしたの?彼は何も関係ないのよ。何をしたのか言って!」

 「いいからお前が心配しなくていい、早く来るんだ!」レックスはその時やっと何かがおかしいと気づいた。

 「何をしたの?話すまで動かないわ」アイリーンはレックスを睨み見つけた。



 「ジェリーがお前の相手じゃないのか。てっきり…だからあいつを襲わせた。今頃死んでるかもしれない。ロンはナイフで腹を刺したらしいから…」レックスは間違いだったとわかって動揺した。

 「なんてことを…すぐ警察に、ジェリーがどうなったか確かめないと…」アイリーンの手は震えていた。ジェリーの携帯番号を押す。




 何度目かの発信音の後…「はい、どなた?」シャロンが出た。

 「あの…この電話はジェリーの?」

 「あなたは誰?」

 「わたし彼の友達でアイリーン・コッパーと言いますが、彼は今どこに?」

 「あなたがアイリーン?彼は今病院です。手術をしているところなんです。彼わたしの家の前で襲われてお腹を刺されて…あなたたちのせいよ!」シャロンはジェリーが死んでしまうのではないかとひどくパニックになっていた。彼をこんな目に合わせたのはふたりのせいだわ。

 「ごめんなさい。あの…それで彼は大丈夫なんでしょうか?」アイリーンはとにかくジェリーが無事か知りたかった。

 「今、手術中でそんなの分かるわけないじゃない!ここには来ないであなたを許さないから…」電話を途中で切った。アイリーンのことなど構ってはいられなかった。今はジェリーが助かることしか考えれない。




 アイリーンは、シャロンの気持ちがよく分かった。無理もないわ…

 「兄さん警察に行って、行かないならわたしが警察に行って話すわ」

 「何を言ってるんだ!そんな事をしたらコッパーカンパニーコーポレーションの名誉はどうなる?会社だってただでは済まなくなるんだ。アイリーンそんなことくらいわかるだろう?」

 「誰せいよ?兄さんのせいじゃない。そんなの知るもんですか」アイリーンはすぐにジェリーのマンションを出た。レックスはアイリーンを追いかける力もなかった。

 僕はもう終わりだ…レックスは肩を落として自分のマンションに帰るしかなかった。




 ジェリーの手術は真夜中に終わりICUに入った。幸い命に別状はなかった。

 シャロンはICUの中に入れてもらうと、彼のそばに座った。ジェリーはうわごとのようにシャロンの名前を呼んでいた。

 シャロンは彼の手をずっと握って励ました。

 「ジェリーばかよ。外に出たら危険だって言ってたのに…どうしてわたしのところになんか来たのよ…」

 ジェリーはうわ言のようにシャロンの名前を呼んでいる。

 ”待ってくれシャロン…行かないで…誤解だ…シャロン…シャロン…”

 とりとめのない彼のうわ言なのに…

 でも今更どうしようもない事なのよ。シャロンの気持ちは難破船のように揺れ動いた。



 アイリーンは警察に行って事情を説明した。

 兄がジェリーを襲わせたことは確かなのだから…

 「あなたも一緒に病院に来てください」警官がアイリーンに言った。

 「はい、あの…シャロンと話をさせてもらえませんか。それに彼の容体も心配で…」

 「では廊下でお願いします」警官が言った。




 アイリーンはシャロンの会うのは初めてだった。なんて説明したらいいのかしら?

 シャロンはアイリーンを見ると逃げ出したくなった。顔を下に向ける。着ているのはみすぼらしいよれよれのガウンで、髪は洗いっぱなしのまま出て来たのでキャラメル色の髪はもつれたままだ。



 「あの…わたしアイリーン・コッパーといいます。レックスの妹なんです。ジェリーの容体はいかがでしょうか?」シャロンのアイリーンを見る顔は、怯えた狐のように強張っている。

 話なんかしたくなかった。事実をはっきり付きつけられたら彼のそばにさえいられないかもしれない。

 「ええ、何とか命は無事ですけど…」喉の奥から無理やり声を引きずり出した。

 「今回の事はわたしのせいなんです。わたしがジェリーの所に行かなければ兄は勘違いすることもなかったのに…」

 

 「勘違いって?でもあなたのお腹には赤ちゃんがいるんでしょう?」自分でも驚いた。言葉が独り歩きした。

 「ええ、そうですけど…」

 「悪いけど帰ってもらえませんか。レックスにはすごく嫌な思いをさせられて、今回も彼の仕業なんて…もう私達の事は放って置いて下さい」シャロンはそれだけ言うとICUの中に入った。




 ジェリーは朦朧としていた。握られた手だけが唯一の命綱のように彼はシャロンが握ってくれている手を離さなかった。

 シャロンもそんな気持ちが伝わったかのように彼の手を決して離さなかった。



 どれくらいの時間が流れただろう。

 シャロンはいつの間にかジェリーのベッドにうなだれたまま眠っていた。



 「シャロン?」ジェリーは意識が戻った。目を向けるとシャロンが眠っていた。彼は夢を見ているのかと思った。

 ジェリーは独り言のように話をした。

 「シャロン愛してるよ。心から君を、今度は何があっても絶対に放さないって神に誓ったんだ。君と離婚なんかしないよ。絶対に…」



 突然シャロンが起き上がった。

 「ジェリー今なんて?離婚しないって?でもどうするのよ。アイリーンはどうするの。あなたには責任があるわ」シャロンはまだ寝ぼけていた。

 「責任って何のことだ?」ジェリーはアイリーンを家に入れたことを怒っているのかと思った。

 「シャロン?アイリーンとは何でもない。彼女と会ったのは本当に久しぶりで…彼女は妊娠してちょっと面倒なことになったと言っていた。レックスともめたらくて」ジェリーは起き上がろうとしたが、いくつもの管につながれていて動けなかった。




 そこに看護師が入って来た。

 「シャロン、ああ、ご主人も目が覚めたのね。ちょうど良かったわ。奥様は妊娠されていますよ。まだ7週目に入ったばかりですけど、おめでとうございます」

 「シャロンが妊娠?僕たちの赤ちゃんが…ああ、すばらしいよシャロン」ジェリーは満々の笑顔でシャロンを見つめた。沈んだ顔が一気にばら色のように輝いている。

 一方シャロンは、絶望でもしたかのような気持ちになった。妊娠したなんて…どうすればいいの。アイリーンも妊娠してるのよ。わたしたち同時に彼の子供を?






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