この度学園を卒業するために婚約しなければならなくなりまして

はなまる

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25襲われて

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 いきなり扉が開いたと思ったら学園の男子生徒がぞろぞろ入って来た。

 「おい、こいつ」

 「えっ?まじ?ひとりでやってたのか?」

 「クッ。まぐわったみたいな匂いが充満してるぜ」

 「さすが水晶の効果はすげぇな。やっぱ誰でも興奮するんだ」



 私の意識はまだ朦朧としたままで何が起きているのかさえも認識できないままだった。

 「誰?」やっとそう尋ねる。

 男子生徒が一人私に顔を近づけて言った。

 「気にすんな。それより俺達と続きしよっか。いいことしてたんだろう?ひとりじゃ足りないよな?俺達もう準備出来てっからさっ」

 「な、にを…?」

 私は上掛をぐっと上までたくり上げた。そして生徒の顔をよく見る。

 あっ、この人たちって薬やってたあの時の…名前は確か。ドンとアルバートともう一人は…名前は思い出せないけど確かにこの人達だったと脳が認識した。

 ドンがズボンのベルトを緩めてそこから滾った物を晒した。

 私はその一物を見てぎょっとする。あっ、あれってもしかして…嘘だ。あんな…驚きと恐怖が押し寄せて声も出ない。


 「俺もう我慢できない。お前ら手を押さえてろ」

 ドンがそう言うが早いかふたりはベッドの両サイドに行くと上掛を一気に引き落とされた。そして私の腕を片方ずつ持って上げるとその手を抑えつけられた。

 「おい、早くしてくれよ。俺達も我慢出来ねぇ」


 「いやぁ!やめて。いや、放して。誰かーやだ…」

 「隣のふたりはぐっすり眠ってる。叫んでも無駄だ。大人しくやらせろよ。なぁ、すぐに気持ちよくしてやるから…なっ」

 ドンは手加減なしで私のガウンを無造作に引きはがす。

 ボタンが宙に舞う。

 「きゃー!」

 私はその下には薄いシュミーズと下履きだけで、彼は下履きを引きちぎるとあっという間にベッドの上に上がり私の股の間に入り込んだ。


 「いや!やめて、お願い。どうしてこんな事?あなたドンよね?どうしてこんなこと?」

 「はっ?まだわかんねぇの?あいつに頼まれたんだよ。お前を3人で傷もんにしたらもうこれ以上余計なことを言わなくなるだろうって。わかってんのか?俺達の事あれこれ他の奴にしゃべるんじゃないぞ。もし誰かにしゃべってみろ、お前が俺達と楽しんだこと言いふらすからな。そうは言ってももうあと数日の間だけだ。卒業したらお前ともかかわることもないからな。だから最後にいい思い出作ろうぜ…」


 ドンはそんな事を言いながらも私の秘密を暴くように指を伸ばした。

 「ぐちゅ…」

 卑猥な音がして。

 「くぅ…お前相当激しくやったんだな。ほら…」

 ドンは指を私の目の前に突き出す。その指先はねっとり濡れている。

 「もう、びちょびちょじゃないか。これならすぐに挿れてもいいかもな」

 ドンの唇は弧を描くと遠慮なく私の中にクプリと指を差し入れた。

 「ひゃぁ」

 私は腰を跳ね上げる。

 「おいおい、煽るなって、ほらこれは?まじ、旨そう」

 彼が舌なめずりしてうれしそうに目を細めた。

 「いや!そんなとこ触らないで!」

 「ここはそうは言ってるように思わないけど…」

 上ずった声で否定されると同時にドンの指が中でぐるりと回されて襞を擦る。

 「…あっ、んっ…」

 思わずすごく気持ちいいところを擦られて声が漏れた。私は唇を噛みしめる。


 「いいぜ。声出せよ。もっと。その方が興奮する」

 ドンが覆いかぶさって来て私の耳元に唇を寄せて囁く。

 耳朶を舌先で舐め上げられて悪寒が沸き上がる。

 なのに、下半身はまるで別人みたいに快感を拾っている。

 ドンの指はおかまいなしに襞を掻きまわして来るから始末が悪い。

 声なんか出すつもりもないのに…

 「やっ…あん、んっ…はぁ……」

 敏感なところを擦り建てられてもうどうしようもなく快感が押し寄せて来て私は甘い声を漏らしてしまう。

 そのうち全身がトロとっろになって行くみたいな気分になって何も考えられなくなっていった。


 「そろそろいいだろう」

 ドンがそう呟いた。

 ぐっと私の脚が押し上げられ私は捻挫している所に激しい痛みを感じた。

 その瞬間はっと正気に引き戻された。

 「きゃー痛い。いやっ。やめて。いやだ。放してよ。この変態。放せ。くそ野郎!!」

 「やめろ。おばれると痛い目見るぞ。手を押さえられてどうやったって無理だろう?諦めろって」

 確かに手を押さえつけた力に半端なく力が込められている。私は背中をぐいぐい動かすけどドンには両脚を持たれていて、それも秘所はあられもなくさらけ出されていて…

 声を荒げてもどうにもできない。

 ぐっとドンが腰を落として、その硬い分身が秘所にあてがわれる。

 もうだめだ。ああ…私は唇を噛みしめてその瞬間、目を閉じた。



 「何してる。クッソ!バイオレット。降りろ。このくそ野郎。お前ら許さないからな!!」

 私はぱっと目を開いた。

 「ヴィル…」

 現れたのはヴィルフリートだった。

 そうだ。彼は買い物に行ったんだった。

 私はふっと身体中の力が向けた。ヴィルが来てくれた。もう安心だって…


 ヴィルは3人をなぎ倒すように続けざまにパンチを食らわせた。

 ドンが一番にアッパーカットを食らって床に倒れた。

 後のふたりも逃げようとしてアルバートは腕を掴まれそのまま床に投げ飛ばされ、もうひとりにはヴィルがタックルをしてそのまま床に倒した。

 すぐに3人を医務室にあった包帯で手首と足首を縛り上げた。


 「バイオレット大丈夫か?怪我は?何をされた?」

 ヴィルはベッドで震えている私のそばに来て様子を伺う。

 私は破れたガウンを身体に巻き付け上掛をその上に被ってベッドで猫のように丸まっていた。

 「恐かった。あと一歩ヴィルが遅かったら…私…私…ヒック。ヒック…ック…」

 後は言葉にならなかった。ほっとしたせいか涙があふれて来てしゃっくりまでも止まらない。

 「でも、ヒック。何も、ヒッ。されてないから…」

 「屋かった。間に合って、帰ったらマーリン先生とヨハンが眠ってて、おかしな声が聞こえて…もう、心臓止まるところだった」

 ヴィルは私に近づくとそっと額に唇を寄せた。それから優しく髪をさすってくれた。

 ふたりの間には上掛があったがヴィルはそれごと私を抱き起こして抱きしめてくれた。


 しばらくしてやっと落ち着いてくるとヴィルが私の顔を見た。

 「バイオレットすまんが少し離れても大丈夫か?あいつらを連行するように手配してくる」

 「えっ?今から警務部まで行って来るって事?あの人たちをここに残して?」

 私の喉はごくりと鳴った。恐い。そう思うと私はヴィルの腕にぐっと力を込めた。

 「大丈夫だ。さっき買い物に行った時に警ら隊に話をしておいたんだ。もうこっちに向かっている頃だ。ボルガータ商会の事もあったし多分今晩何か仕掛けてくると思ってたからな」

 「そうだ。私、アマリがティーホイップを持って来てそれを飲んでから…」

 そこまで言って言葉が止まる。

 だって、身体が熱くなって自分で…なんて言えるはずがない。

 「アマリが飲み物だって?バイオレット身体は?おかしくないか。気分はどうだ?もし毒でも盛られてたら…?」

 ヴィルの様子は半端でなく心配しているらしく、私の目を見たり手に何か出ていないか調べたりあちこち触りまくっている。

 だから上掛はすっかり滑り落ちて破れたガウンが露わになった。


 「バイオレット…それ…クッソ。おいつら殺す!」

 ヴィルの琥珀色の瞳が燃え上がったように金色に燃えたぎる。

 「まさか?ほんとに大丈夫だったのか?何をされたか言ってみろ。バイオレット言うんだ!」

 「…手をふたりの男子に持たれてドンがガウンを引きちぎったの、それで下履きを破られて指であそこを…もう、やだ…」

 「それで?感じた?」

 ヴィルはそっと私の頬を撫ぜつける。さっき荒げた声を抑えるように静かに聞いて来る。

 「だ、だって…アマリが持って来たティーホイップを飲んだら身体が熱くなって…その…中が疼いて…で、でも、それ以上はなかったわ。本当よ!ヴィルが来てくれてほんとに助かったの。そうでなかったら…」

 「あいつらに奪われてた?」

 「怒ったの?」

 「怒るもんか。バイオレットのせいじゃないだろう?ティーホイップには水晶が入ってたんだと思う。あれは一種の媚薬みたいな症状が出るんだ。身体が熱くなってハイな気分になる。何度も使えば常習になる厄介な代物だからな」

 「そんな…私、大丈夫なの?」

 「ああ、一回くらいなら薬が抜けさえすれば心配ない」

 「良かった…」

 「もう、落ち着いたか?ちょっと行って来る。そうだ」

 ヴィルは私に上掛をしっかりかけると、買って来たラムサンドを持って来てくれた。

 「マーリン先生とヨハンは多分薬を盛られたんだろう。よく眠ってるから心配ない。すぐに戻る。医務室には鍵をかけておくから心配するな」

 ヴィルは男子生徒3人を廊下に引きずりだして出て行った。



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