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24ゾラ様の嫉妬
しおりを挟むその週ヴィントは学園を休んだ。
シルフィの姿も見ない。
ふたりとも休みなんて‥
心にまたもやがかかる。
私はヴィントへの気持ちに蓋をした。
だってもう明らかだもの。
彼が私に優しくしたのは私が婚約者になったから、マリー様も婚約に反対ならもう私に気を使う必要もないじゃない。
ええ、好きな人とお幸せにって事よ!
今まではロニオさえいれば心は満たされていた。
でも、何だろう?この気持ちは。
私の心にぽっかり穴が開いたようなこの気持ちは?
明日は学園が休みという前日。
「アマリエッタ。ランチを一緒に取ろう」
相変わらずエディオ殿下が度々私に構って来ていた。
その度にゾラ様が嫌な顔をされる。
「いえ、殿下。ゾラ様が待っておられますよ。ランチはおふたりでどうぞ」
くさくさした気分の毎日だった。
この不毛な会話はなに?そんな事を思いながら殿下の相手をする。
「ばか、お前だけじゃない。みんなと一緒にどうだと聞いたんだ?ゾラいい加減にしろよ。俺は友人をランチに誘っているんだ。それくらいで見苦しい嫉妬をするな!お前との婚約は政略なんだからな!」
エディオ殿下はゾラ様の嫉妬に辟易しているのか、強い口調でゾラ様をいさめた。
「そんなひどい!私はあなたの事が大好きなのに!」
ゾラ様はバーラ国の王女として蝶よ花よと育てられたに違いない。何でも自分の思い通りになるのは当たり前の中で育てばこんなになっても仕方がない。
それに彼女は殿下をそれほど好きという事でもあるんだから。
エディオ殿下そこまで言わなくても‥もう少しゾラ様にやさしくしてもいいんじゃ?
それに私じゃなくてほら、ローザンヌもいるしリスティだっているじゃない。
ゾラ様は涙をポロリとこぼすと私に向かって来た。
「あなたなんか!」
いきなり片腕をぐっと掴まれ反対の手が私の頬を打った。
「きゃっ!」
頬に鋭利な痛みが走って思わず顔を背ける。
「何よ!あなたなんか」
それも気に入らなかったのかゾラ様は両手で私の身体を強く押した。
「あっ!」
私はその場に尻もちをついた。
「ふん!」
ゾラ様はいい気味だと言わんばかりにつんと顔を上げる。
エディオ殿下が私に走り寄って来て「アマリエッタ大丈夫か?ゾラいい加減にしないか!護衛。ゾラを王宮に連れて帰れ!」
ゾラ様は王宮に滞在して学園に通っている。
婚約も決まったんだし当然だろう。
「エディオ。こんなつもりじゃなかったの。エディオ私を嫌いにならないで、ねぇ、聞いてる?」
謝りながらもその口調は上目線。仕方ないよね。王女なんだから。
「いいから、今日はもう帰れ!話は後だ」
エディオは振り返りもせずそう告げた。
ゾラ様は無理やり教室から連れ出された。
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