26 / 47
第五章【愚者の時逆流】
第五幕『ハウ・メニー・タイムズ』
住宅街からアーケード街の出口付近に到着した村山は無線機で反応を再確認した。
「おっ!反応が近いな!赤い丸印だから、アーカイブ・ホリックじゃない普通の侵入者《アウター》ってことだな。さっさと元の世界に戻してやるか」
などと言っているうちに対象はまたゆっくり移動を始めた。
「おいおい、じっとしてろよなぁ……。入ってきた場所から動かないでくれよ!」
まだ高校生ぐらいの少年だ。十五歳から十七歳といったところだろう。
アーケード街の出口から小走りでやってくる村山を見て、驚きと困惑の表情をしている。
「こらぁっ!こっち来て歩き回ったら駄目じゃないか!」
少年は軽いパニック状態のようだ。こんな時は説明するより、早く元に戻す方がいい。
「いいからいいから!今から元へ戻すから!早くこっち来て!」
村山は作業着から無線機を取り出してタワーの一階で監視をしているサリーへ連絡した。
「こちら△△地区、村山です。侵入者《アウター》を確認、接触しました。サリーさん?」
サリーは無線を取っているはずだが反応がない。
「サリーさん、どうしたんだ? 侵入者《アウター》を確認した。これから戻したいんだが……」
「――ごっ、ごめんねぇ!村さん!ちょっとボーっとしてたよぉ!こちらで確認したけど、大丈夫だよ。その子はタイムリーパーじゃないね。ただの……迷子さんだね……戻してあげないとね!」
無線越しのサリーの様子がおかしい。村山は感付いていたが訊くのを躊躇《ためら》った。
面倒な事態が起きた。この少年、抵抗はしてこないタイプだが質問が多い奴だ。
まず、わしが何者なのか、ここがどういう場所なのかの説明を求めてきやがる。
「いいか、よく聞け。ここはお前のいた世界とは違う。見りゃ解んだろ!動いていない世界だって。この世界の色彩が正常に見えるか? ええ? お前ら侵入者《アウター》からは正常な色で見えないようになってるんだよ」
こうやって説明すると、
「私がアウターなら、おじさんはインナーなの?」
などとダジャレじみた問いを返してくる始末だ。
さて、そろそろ本当にお帰り願おうか……。
「△△地区の村山です。サリーさん、対象はこちらでかなり移動してるけど、このままブルーライト照射して戻しても大丈夫なのか?」
村山は再び無線機を取り出して、タワーで監視中のサリーに連絡している。
「――その子が迷い込んだと思われるバス停のベンチに移動してねぇ。ベンチに座らせてからブルーライトの照射を許可しまーす!」
「了解!今から対象が迷い込んだ場所へ行って、そこでブルーライト照射します!」
通話が終わった村山は少年にいくつか注意事項を言って聞かせた。
「おい、このライトを見てくれ!これでお前は元に戻れるから――それじゃあな」
村山は少年の顔にブルーライトを照射した。
「――おじさん、名前は?」
霞がかった姿の少年が問い掛けてきた。
「わしは管理局の△△地区担当の村山だ。他の者からは村さんって呼ばれて……ってもう聞こえてねえよな? とりあえず、もう迷い込んでくるなよ。質問多いのも面倒なんだからな!」
どのぐらいの時間が経っただろうか?現実世界では十年は経過したかもしれない。
現実世界での二十四時間はタワー内部の一時間と同じぐらいの長さだ。言ってしまえば、十年などあっという間というわけだ。
「また反応があるな……。やれやれ、最近迷い込む奴増えてねえか?」
巡回中の村山は無線機の赤い反応を確認した。その時だった、サリーから緊急の無線連絡が入ったのは。
「タワー管理局事務所からサリーです。村さん!大変だよぉ!反応確認したかな?」
「どうした? そんなに慌てて、タイムリーパーか!?」
「……そうみたい!近付いて確認してくれないかな? アーカイブ・ホリックでなければ……止めてあげないとねぇ……。と、とにかく急いで確認後、再連絡してくださいー!」
村山は無線が切れた後、暫し思考が停止していた。これほど動揺した話し方のサリーは初めてだ。
場所は町の中心部、閑静な住宅街だった。侵入者《アウター》の年齢は二十代半ばから後半といったところだろう。
「こちら△△地点の村山です。サリーさん、ギリギリだ!対象は空中で時間の壁を破りつつある!初回リーパーなら、衝撃銃《ショックガン》の使用許可を頼む!」
「――こちらサリー。村さん、その人は初回のタイムリープを成功させようとしているんだぁ……。絶対に止めてあげないとね!衝撃銃《ショックガン》で撃ち落としてください!」
なにがなんでも止めるというサリーの強い意志が無線の向こうから伝わってくる。
「ありゃ、やべーな!壁割ってやがる……。衝撃銃《ショックガン》構えて、二重ロック解除オッケー!照準合わせて……目標、空中でもがいている変な青年!」
「――――衝撃銃《ショックガン》発射!!」
たぶん、自分がこのセリフを言いたかっただけなんだろうと撃った後少し後悔した。
しかし、効果はあったようだ。タイムリープに失敗した青年は地べたに真っ逆さまに落っこちた。
「サリーさん、村山です。初回タイムリープ阻止成功、タイムリーパーを捕捉した。今から一名連行します」
「了解ー!了解ー!よかったぁ阻止できて!丁重にお連れしてくださいな!お待ちしてますよん」
「はい、それじゃお願いしますね」
先程の動揺とは打って変わって、今度はものすごいご機嫌な様子だ。
撃ち落とされた青年の顔を見ると以前アーケード街に迷い込んだ質問の多い奴だった。
「お前、またこっち来たな!しかも今度は禁則犯してるじゃねえか!!」
まったく、何を考えているんだこいつは。村山は怒り任せに言葉を吐いた。
「すみません、タイムリープに失敗したみたいです……」
青年は申し訳なさそうにうつむいた。
「タイムリープ!?お前っ!!」
最初が肝心なのだ。厳しく叱って言い聞かせないと自分のようなアーカイブ・ホリックを増やしてしまう。
「とにかく立て!わしについて来い!逃げようとしてもこっから出れんからな!」
タワーに到着後、村山は青年を連行して来たことをサリーに報告することにした。
「はいはーい!村さん、お勤めご苦労様ぁー!君かぁ、やってくれたねぇ!」
相変わらず甲高く頭の芯に響く声だ。それになんだかやけにご機嫌だな。
「あの青年見覚えあるよな? 前にアーケード街のバス停で迷い込んだ奴だろ」
「しぃっ!村さん、タイムリーパー連行して来た時点でこの中はstabの上から監視されてるんだよぉ……今だけでいいから敬語使って!村さんの刑期長くなっちゃうかもよ?」
「こ、これは失礼しました!初回タイムリープ未遂、及び時間の壁を破損、禁則を犯したと思われる人物を連行しました!」
咄嗟に村山は大声で敬語に変えた。
「――なーるほどねぇ……。ふむ、ふむ……」
サリーも管理局の上司らしく、村山の猿芝居に乗る気満々らしい。
「それじゃあ、あとの処置はあたしがするねぇ。村さん、ご足労だけど壁の修復を頼むよぉー」
「了解!それでは、失礼します!」
ビシッとワザとらしい敬礼を決めて村山はタワーの外へ出た。
「ふぅ……やれやれだ。しかし……サリーのあの動揺とあの青年を見た時のご機嫌さは妙だな……」
「そういえば、亜空間《ここ》は誰かが入ると誰かが抜ける方式なんだよな……あの青年、使えるかもな……」
その後、村山はタイムリーパーの青年と違反者講習及び、亜空間奉仕活動で行動を共にした。
サリーの監視を外れたエリアへ連れ出して、一応の信頼は得たつもりである。サリーのことを信用するなと釘を刺しておいた。亜空間奉仕活動中、現界での時間で一か月半、サリーとの接触を避けるように行動させた。
「そういえば……昔、親方が言っていたな。玉成《たまなり》の友人で龍顔の少年。今のあいつも龍顔って人相してたけど……まさかな」
タワーへ帰ろうとした村山はある異変に気が付いた。
自分の着用している作業服のポケットが妙に膨れているのだ……。
ホックを開けて深めのポケットの中を手で探ってみると……。
「――これは!? いつの間に……? あいつ、気付いてたって言うのか!?」
「おっ!反応が近いな!赤い丸印だから、アーカイブ・ホリックじゃない普通の侵入者《アウター》ってことだな。さっさと元の世界に戻してやるか」
などと言っているうちに対象はまたゆっくり移動を始めた。
「おいおい、じっとしてろよなぁ……。入ってきた場所から動かないでくれよ!」
まだ高校生ぐらいの少年だ。十五歳から十七歳といったところだろう。
アーケード街の出口から小走りでやってくる村山を見て、驚きと困惑の表情をしている。
「こらぁっ!こっち来て歩き回ったら駄目じゃないか!」
少年は軽いパニック状態のようだ。こんな時は説明するより、早く元に戻す方がいい。
「いいからいいから!今から元へ戻すから!早くこっち来て!」
村山は作業着から無線機を取り出してタワーの一階で監視をしているサリーへ連絡した。
「こちら△△地区、村山です。侵入者《アウター》を確認、接触しました。サリーさん?」
サリーは無線を取っているはずだが反応がない。
「サリーさん、どうしたんだ? 侵入者《アウター》を確認した。これから戻したいんだが……」
「――ごっ、ごめんねぇ!村さん!ちょっとボーっとしてたよぉ!こちらで確認したけど、大丈夫だよ。その子はタイムリーパーじゃないね。ただの……迷子さんだね……戻してあげないとね!」
無線越しのサリーの様子がおかしい。村山は感付いていたが訊くのを躊躇《ためら》った。
面倒な事態が起きた。この少年、抵抗はしてこないタイプだが質問が多い奴だ。
まず、わしが何者なのか、ここがどういう場所なのかの説明を求めてきやがる。
「いいか、よく聞け。ここはお前のいた世界とは違う。見りゃ解んだろ!動いていない世界だって。この世界の色彩が正常に見えるか? ええ? お前ら侵入者《アウター》からは正常な色で見えないようになってるんだよ」
こうやって説明すると、
「私がアウターなら、おじさんはインナーなの?」
などとダジャレじみた問いを返してくる始末だ。
さて、そろそろ本当にお帰り願おうか……。
「△△地区の村山です。サリーさん、対象はこちらでかなり移動してるけど、このままブルーライト照射して戻しても大丈夫なのか?」
村山は再び無線機を取り出して、タワーで監視中のサリーに連絡している。
「――その子が迷い込んだと思われるバス停のベンチに移動してねぇ。ベンチに座らせてからブルーライトの照射を許可しまーす!」
「了解!今から対象が迷い込んだ場所へ行って、そこでブルーライト照射します!」
通話が終わった村山は少年にいくつか注意事項を言って聞かせた。
「おい、このライトを見てくれ!これでお前は元に戻れるから――それじゃあな」
村山は少年の顔にブルーライトを照射した。
「――おじさん、名前は?」
霞がかった姿の少年が問い掛けてきた。
「わしは管理局の△△地区担当の村山だ。他の者からは村さんって呼ばれて……ってもう聞こえてねえよな? とりあえず、もう迷い込んでくるなよ。質問多いのも面倒なんだからな!」
どのぐらいの時間が経っただろうか?現実世界では十年は経過したかもしれない。
現実世界での二十四時間はタワー内部の一時間と同じぐらいの長さだ。言ってしまえば、十年などあっという間というわけだ。
「また反応があるな……。やれやれ、最近迷い込む奴増えてねえか?」
巡回中の村山は無線機の赤い反応を確認した。その時だった、サリーから緊急の無線連絡が入ったのは。
「タワー管理局事務所からサリーです。村さん!大変だよぉ!反応確認したかな?」
「どうした? そんなに慌てて、タイムリーパーか!?」
「……そうみたい!近付いて確認してくれないかな? アーカイブ・ホリックでなければ……止めてあげないとねぇ……。と、とにかく急いで確認後、再連絡してくださいー!」
村山は無線が切れた後、暫し思考が停止していた。これほど動揺した話し方のサリーは初めてだ。
場所は町の中心部、閑静な住宅街だった。侵入者《アウター》の年齢は二十代半ばから後半といったところだろう。
「こちら△△地点の村山です。サリーさん、ギリギリだ!対象は空中で時間の壁を破りつつある!初回リーパーなら、衝撃銃《ショックガン》の使用許可を頼む!」
「――こちらサリー。村さん、その人は初回のタイムリープを成功させようとしているんだぁ……。絶対に止めてあげないとね!衝撃銃《ショックガン》で撃ち落としてください!」
なにがなんでも止めるというサリーの強い意志が無線の向こうから伝わってくる。
「ありゃ、やべーな!壁割ってやがる……。衝撃銃《ショックガン》構えて、二重ロック解除オッケー!照準合わせて……目標、空中でもがいている変な青年!」
「――――衝撃銃《ショックガン》発射!!」
たぶん、自分がこのセリフを言いたかっただけなんだろうと撃った後少し後悔した。
しかし、効果はあったようだ。タイムリープに失敗した青年は地べたに真っ逆さまに落っこちた。
「サリーさん、村山です。初回タイムリープ阻止成功、タイムリーパーを捕捉した。今から一名連行します」
「了解ー!了解ー!よかったぁ阻止できて!丁重にお連れしてくださいな!お待ちしてますよん」
「はい、それじゃお願いしますね」
先程の動揺とは打って変わって、今度はものすごいご機嫌な様子だ。
撃ち落とされた青年の顔を見ると以前アーケード街に迷い込んだ質問の多い奴だった。
「お前、またこっち来たな!しかも今度は禁則犯してるじゃねえか!!」
まったく、何を考えているんだこいつは。村山は怒り任せに言葉を吐いた。
「すみません、タイムリープに失敗したみたいです……」
青年は申し訳なさそうにうつむいた。
「タイムリープ!?お前っ!!」
最初が肝心なのだ。厳しく叱って言い聞かせないと自分のようなアーカイブ・ホリックを増やしてしまう。
「とにかく立て!わしについて来い!逃げようとしてもこっから出れんからな!」
タワーに到着後、村山は青年を連行して来たことをサリーに報告することにした。
「はいはーい!村さん、お勤めご苦労様ぁー!君かぁ、やってくれたねぇ!」
相変わらず甲高く頭の芯に響く声だ。それになんだかやけにご機嫌だな。
「あの青年見覚えあるよな? 前にアーケード街のバス停で迷い込んだ奴だろ」
「しぃっ!村さん、タイムリーパー連行して来た時点でこの中はstabの上から監視されてるんだよぉ……今だけでいいから敬語使って!村さんの刑期長くなっちゃうかもよ?」
「こ、これは失礼しました!初回タイムリープ未遂、及び時間の壁を破損、禁則を犯したと思われる人物を連行しました!」
咄嗟に村山は大声で敬語に変えた。
「――なーるほどねぇ……。ふむ、ふむ……」
サリーも管理局の上司らしく、村山の猿芝居に乗る気満々らしい。
「それじゃあ、あとの処置はあたしがするねぇ。村さん、ご足労だけど壁の修復を頼むよぉー」
「了解!それでは、失礼します!」
ビシッとワザとらしい敬礼を決めて村山はタワーの外へ出た。
「ふぅ……やれやれだ。しかし……サリーのあの動揺とあの青年を見た時のご機嫌さは妙だな……」
「そういえば、亜空間《ここ》は誰かが入ると誰かが抜ける方式なんだよな……あの青年、使えるかもな……」
その後、村山はタイムリーパーの青年と違反者講習及び、亜空間奉仕活動で行動を共にした。
サリーの監視を外れたエリアへ連れ出して、一応の信頼は得たつもりである。サリーのことを信用するなと釘を刺しておいた。亜空間奉仕活動中、現界での時間で一か月半、サリーとの接触を避けるように行動させた。
「そういえば……昔、親方が言っていたな。玉成《たまなり》の友人で龍顔の少年。今のあいつも龍顔って人相してたけど……まさかな」
タワーへ帰ろうとした村山はある異変に気が付いた。
自分の着用している作業服のポケットが妙に膨れているのだ……。
ホックを開けて深めのポケットの中を手で探ってみると……。
「――これは!? いつの間に……? あいつ、気付いてたって言うのか!?」
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話