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第八章【時の最果て】
第一幕『機密事項と交換条件』
どんな旅にも必ず『始まりの謎』が付き添っている。
そもそも旅人は、いかにしてその出発点にたどり着いたのか?
ルイーズ・ボーガン『私の部屋の中の旅』
調査した内容をサリーさんと村さんに報告するために亜空間へおもむいた私を待っていたのは……。
「おかえりぃぃー! 待ってたよん! 待ちわびて干乾びそうだったよぉー!」
タワーの入口を開いた瞬間、満面の笑みでサリーさんが飛びついて来た。
抱擁《ハグ》が嫌いなわけではないが……、今は先に報告を済ませたい。
「……サリーさん、あの子は誰ですか?」
タワー入口から中を見ると、小学生ぐらいの少女がサリーさんの椅子に座っている。
「汁子ちゃ……シルフィちゃん! あたしと村さんの上司だよ。怖いんだよー! 怒らせたり、子ども扱いしたらダメだからねぇ!」
「おいっ! サリー! 全部聞こえてるからな! そこのタイムリーパー、入るならさっさと中へ早く入れ!」
小さい女の子はシルフィと言うらしい。
サリーさんと村さんの上司ということは……、かなり年上だってことだな。
「すみません! じゃ失礼します……ってサリーさんいつまで抱きついてるんですかっ! 前来てからそんなに時間経ってないはずでしょ。亜空間なんだから……」
「よお。すまんな、いろいろ頼みごとしちまってよ」
「村さん、思ったより早く済みましたよ。お宅にお邪魔させてもらいました」
まずは順番に村さんの奥さんの様子や娘さんの慶事の報告をしないとな。
「奥さんは元気でしたよ。大好物の大福をお供え物に持って行ったら喜んでくれました!娘さんはご結婚されて、お子さんが三人いるそうです。生きていたら三人の孫のお爺ちゃんでしたね!」
「――そ、そうか。元気だったか……、娘が結婚か。わしの孫が三人も……」
目頭を左手で覆い隠して、村さんは声を出して泣き出した。
この人はしばらくそっとしておこう。次はサリーさんへの報告だな。
「小僧!亜空間《ここ》になにしに来た!? すぐ帰ってもらうぞ!」
そういうえば、小うるさい上司《シルフィ》が一人いたんだったな。
「シルフィさんと言いましたね……。私のことはよくご存知なんでしょ? なんでも管理者の間では有名らしいですからね。後であなたにもお話したいことがありますが、先にサリーさんと話をさせてください!」
「なにか知ってるって面《つら》しやがって!まあいいだろう、待ってやる!」
なんだろう、年が上なのは解っているのだが……。
ガキンチョの姿でエラそうに言われるとイラっとするな。
「それじゃあ、勘当娘の山本美沙理さん! 私とお話をしましょうかっ!」
椅子に座るサリーさんの方を向き、笑顔でぶっきらぼうな言葉を吐いた。
サリーさんはアイスコーヒーを飲むのをピタリと止めて、バツが悪そうに私を見上げる。
「――うう、黙ってたわけじゃないんだよぉ!」
「私の生きている現世では、山本美沙理はやっぱり七十歳で亡くなっています。村では二十五歳か二十六歳で死んだことになってましたけどねっ! 勘当娘の美沙理さん!」
そして、また皮肉るように言葉を投げつけた。
「ごめんねぇ。本当に黙ってたわけじゃないんだけど、言い辛かったのは確かなんだよぉ……」
言い辛かった……、それを黙ってたというんだけどな……。
「二十歳で都市部に出て占い館始めたんだけどね、三年ぐらいでダメになったの。それでキャバレーで夜の仕事を始めたんだけど、二十五歳のときに家族にばれちゃってね……」
「サリーさんの時代からして、キャバレー草創期でしょ? 親は相当怒ったでしょ?」
サリーさんは落ち着きなくアイスコーヒーのグラスをかき混ぜている。
「怒ったよぉー! すぐ田舎に帰って来いとか。田舎でお見合いしなさいとか散々言われてさぁ……。全部嫌だって断わったら、お前はもう鬼籍《きせき》に入ったものとするって宣言されてね……」
グラスを握って悔しそうな表情のサリーさん、一気にコーヒーを飲み干すとがっくり項垂《うなだ》れた。
「親の言うことを聞かないあたしも悪いよね……。でも、村中で死んだことにするのはもっとひどいよね。帰る場所が半世紀もなかったんだよ? 結婚もせずに孤独だったんだよ?」
ダメだ……。これ以上聞くのは辛い。この人の生涯はたった一度でも孤独でハードだったというのに、それを六十六回繰り返しているのだ。
「――すみませんね。本当は責めたりするつもりはないですよ」
「さて、皆さん本題はここからなんですよ。三人共タワーの外へ出てもらいますね!」
私は先程入ってきたタワーの入り口に立って、中のデスクに腰かけている三人の管理者へ声を掛けた。
「なんだと? 小僧、なんの権限があって我々がお前の指示を受けなければならんのだ!」
サリーさんの席に座ったまま、シルフィさんが喚《わめ》いてくる。
「タワーの中って一時間が現界の一日でしょ。今日は日曜日ですから、時間経っちゃうともったいないんですよ。だから外で話を続けませんかと提案してるんです」
タワー内は時間が緩やかに流れているが、外は時間が全く流れていないからだ。タワーで一時間話し込んで、現実で二十四時間経過するのは洒落にならない……。
「あたしはそれでもいいよん!村さんはどう? ありゃ……鼻垂れおやじになってる?」
村さんは私の話を聞いてからしばらく泣いていたが、今はだいぶ落ち着いているようだ。
「――誰が鼻垂れだ! わしも外で聞こう。なにか掴《つか》んで来たって顔してるじゃねえか!」
私に続いてサリーさんと村さんもタワーの出口から外へ出てきた。
「お前っ! 解ってるのか!? ここは禁足地なんだぞ! こいつらの顔見知りとは言え、管理局の目がある以上長居させるわけにはいかん! 勝手なことをするなっ!」
シルフィさんはすごい剣幕で怒っている。
「言ったでしょ? あなたにも話があるって。亜空間の管理者三人集めてする話が、ただの雑談だと思うなら……ついて来るなっ!!」
恫喝した私の声に一番驚いたのはサリーさんだった。
「ど、どうしたの君……? さっきからずっと怖い顔してるよぉ……」
タワーの外は通常の町の風景となんら変わりない。私と三人の管理者は適当な場所にそれぞれ腰掛けた。
「今から亜空間、管理者の禁則事項、機密事項に関わることを訊きます。いいですね?」
「いいわけあるかっ! 小僧、たかがタイムリーパーで侵入者のお前に亜空間の機密事項など教えられるか! 仮にこの二人が漏らしてみろ、お前のせいで罰を受けることになるんだぞ!」
このシルフィさん、見かけによらず手ごわい相手だ。
この人も気が遠くなるほどの年月をここに縛られて過ごして来たのだろう。
「ここで我々が話してることは管理局の上に監視されてるんでしょ? だから秘密を漏洩《ろうえい》できない。違いますか?」
「ねぇ……君、なんだか変だよぉ、さっきから怖いよぉ」
サリーさんは不安そうな声で語りかけてくる。
「そうだ! 監視されている!解ってるなら聞くんじゃない! お前は……」
シルフィさんが言いかけたときに村さんが口を挟んだ。
「シルフィの嬢ちゃん、待ってくれ! 今までこいつを見てきたが、なにも理由なしに秘密を教えろなんて言うような奴じゃない。頼むから最後まで話だけでも聞いてやってくれ!」
「ありがとう村さん。管理局と亜空間についていくつか質問しますね……禁則事項で答えられない、機密事項だから言えないってのはなしでお願いしたいものです……」
「――お前っ……!!」
シルフィさんが激高して私になにかを叫ぼうとする前に……。
―――私は空に叫んだ!
――――音の無い世界で叫んだ!
――――とてつもなく、大きな声で!
――――まるで龍の咆哮《ほうこう》のように叫んだ!!
「――聞いているかっ!! 全世界のstab、亜空間管理局の者ども! この状況を監視しているんだろ!? 唯一、タイムスパイラルを抜け出した私の秘密が知りたいかっ! 秘密が知りたければ今からこの三人に亜空間と管理局の機密事項を喋ってもらう! これは交換条件だ!!」
そもそも旅人は、いかにしてその出発点にたどり着いたのか?
ルイーズ・ボーガン『私の部屋の中の旅』
調査した内容をサリーさんと村さんに報告するために亜空間へおもむいた私を待っていたのは……。
「おかえりぃぃー! 待ってたよん! 待ちわびて干乾びそうだったよぉー!」
タワーの入口を開いた瞬間、満面の笑みでサリーさんが飛びついて来た。
抱擁《ハグ》が嫌いなわけではないが……、今は先に報告を済ませたい。
「……サリーさん、あの子は誰ですか?」
タワー入口から中を見ると、小学生ぐらいの少女がサリーさんの椅子に座っている。
「汁子ちゃ……シルフィちゃん! あたしと村さんの上司だよ。怖いんだよー! 怒らせたり、子ども扱いしたらダメだからねぇ!」
「おいっ! サリー! 全部聞こえてるからな! そこのタイムリーパー、入るならさっさと中へ早く入れ!」
小さい女の子はシルフィと言うらしい。
サリーさんと村さんの上司ということは……、かなり年上だってことだな。
「すみません! じゃ失礼します……ってサリーさんいつまで抱きついてるんですかっ! 前来てからそんなに時間経ってないはずでしょ。亜空間なんだから……」
「よお。すまんな、いろいろ頼みごとしちまってよ」
「村さん、思ったより早く済みましたよ。お宅にお邪魔させてもらいました」
まずは順番に村さんの奥さんの様子や娘さんの慶事の報告をしないとな。
「奥さんは元気でしたよ。大好物の大福をお供え物に持って行ったら喜んでくれました!娘さんはご結婚されて、お子さんが三人いるそうです。生きていたら三人の孫のお爺ちゃんでしたね!」
「――そ、そうか。元気だったか……、娘が結婚か。わしの孫が三人も……」
目頭を左手で覆い隠して、村さんは声を出して泣き出した。
この人はしばらくそっとしておこう。次はサリーさんへの報告だな。
「小僧!亜空間《ここ》になにしに来た!? すぐ帰ってもらうぞ!」
そういうえば、小うるさい上司《シルフィ》が一人いたんだったな。
「シルフィさんと言いましたね……。私のことはよくご存知なんでしょ? なんでも管理者の間では有名らしいですからね。後であなたにもお話したいことがありますが、先にサリーさんと話をさせてください!」
「なにか知ってるって面《つら》しやがって!まあいいだろう、待ってやる!」
なんだろう、年が上なのは解っているのだが……。
ガキンチョの姿でエラそうに言われるとイラっとするな。
「それじゃあ、勘当娘の山本美沙理さん! 私とお話をしましょうかっ!」
椅子に座るサリーさんの方を向き、笑顔でぶっきらぼうな言葉を吐いた。
サリーさんはアイスコーヒーを飲むのをピタリと止めて、バツが悪そうに私を見上げる。
「――うう、黙ってたわけじゃないんだよぉ!」
「私の生きている現世では、山本美沙理はやっぱり七十歳で亡くなっています。村では二十五歳か二十六歳で死んだことになってましたけどねっ! 勘当娘の美沙理さん!」
そして、また皮肉るように言葉を投げつけた。
「ごめんねぇ。本当に黙ってたわけじゃないんだけど、言い辛かったのは確かなんだよぉ……」
言い辛かった……、それを黙ってたというんだけどな……。
「二十歳で都市部に出て占い館始めたんだけどね、三年ぐらいでダメになったの。それでキャバレーで夜の仕事を始めたんだけど、二十五歳のときに家族にばれちゃってね……」
「サリーさんの時代からして、キャバレー草創期でしょ? 親は相当怒ったでしょ?」
サリーさんは落ち着きなくアイスコーヒーのグラスをかき混ぜている。
「怒ったよぉー! すぐ田舎に帰って来いとか。田舎でお見合いしなさいとか散々言われてさぁ……。全部嫌だって断わったら、お前はもう鬼籍《きせき》に入ったものとするって宣言されてね……」
グラスを握って悔しそうな表情のサリーさん、一気にコーヒーを飲み干すとがっくり項垂《うなだ》れた。
「親の言うことを聞かないあたしも悪いよね……。でも、村中で死んだことにするのはもっとひどいよね。帰る場所が半世紀もなかったんだよ? 結婚もせずに孤独だったんだよ?」
ダメだ……。これ以上聞くのは辛い。この人の生涯はたった一度でも孤独でハードだったというのに、それを六十六回繰り返しているのだ。
「――すみませんね。本当は責めたりするつもりはないですよ」
「さて、皆さん本題はここからなんですよ。三人共タワーの外へ出てもらいますね!」
私は先程入ってきたタワーの入り口に立って、中のデスクに腰かけている三人の管理者へ声を掛けた。
「なんだと? 小僧、なんの権限があって我々がお前の指示を受けなければならんのだ!」
サリーさんの席に座ったまま、シルフィさんが喚《わめ》いてくる。
「タワーの中って一時間が現界の一日でしょ。今日は日曜日ですから、時間経っちゃうともったいないんですよ。だから外で話を続けませんかと提案してるんです」
タワー内は時間が緩やかに流れているが、外は時間が全く流れていないからだ。タワーで一時間話し込んで、現実で二十四時間経過するのは洒落にならない……。
「あたしはそれでもいいよん!村さんはどう? ありゃ……鼻垂れおやじになってる?」
村さんは私の話を聞いてからしばらく泣いていたが、今はだいぶ落ち着いているようだ。
「――誰が鼻垂れだ! わしも外で聞こう。なにか掴《つか》んで来たって顔してるじゃねえか!」
私に続いてサリーさんと村さんもタワーの出口から外へ出てきた。
「お前っ! 解ってるのか!? ここは禁足地なんだぞ! こいつらの顔見知りとは言え、管理局の目がある以上長居させるわけにはいかん! 勝手なことをするなっ!」
シルフィさんはすごい剣幕で怒っている。
「言ったでしょ? あなたにも話があるって。亜空間の管理者三人集めてする話が、ただの雑談だと思うなら……ついて来るなっ!!」
恫喝した私の声に一番驚いたのはサリーさんだった。
「ど、どうしたの君……? さっきからずっと怖い顔してるよぉ……」
タワーの外は通常の町の風景となんら変わりない。私と三人の管理者は適当な場所にそれぞれ腰掛けた。
「今から亜空間、管理者の禁則事項、機密事項に関わることを訊きます。いいですね?」
「いいわけあるかっ! 小僧、たかがタイムリーパーで侵入者のお前に亜空間の機密事項など教えられるか! 仮にこの二人が漏らしてみろ、お前のせいで罰を受けることになるんだぞ!」
このシルフィさん、見かけによらず手ごわい相手だ。
この人も気が遠くなるほどの年月をここに縛られて過ごして来たのだろう。
「ここで我々が話してることは管理局の上に監視されてるんでしょ? だから秘密を漏洩《ろうえい》できない。違いますか?」
「ねぇ……君、なんだか変だよぉ、さっきから怖いよぉ」
サリーさんは不安そうな声で語りかけてくる。
「そうだ! 監視されている!解ってるなら聞くんじゃない! お前は……」
シルフィさんが言いかけたときに村さんが口を挟んだ。
「シルフィの嬢ちゃん、待ってくれ! 今までこいつを見てきたが、なにも理由なしに秘密を教えろなんて言うような奴じゃない。頼むから最後まで話だけでも聞いてやってくれ!」
「ありがとう村さん。管理局と亜空間についていくつか質問しますね……禁則事項で答えられない、機密事項だから言えないってのはなしでお願いしたいものです……」
「――お前っ……!!」
シルフィさんが激高して私になにかを叫ぼうとする前に……。
―――私は空に叫んだ!
――――音の無い世界で叫んだ!
――――とてつもなく、大きな声で!
――――まるで龍の咆哮《ほうこう》のように叫んだ!!
「――聞いているかっ!! 全世界のstab、亜空間管理局の者ども! この状況を監視しているんだろ!? 唯一、タイムスパイラルを抜け出した私の秘密が知りたいかっ! 秘密が知りたければ今からこの三人に亜空間と管理局の機密事項を喋ってもらう! これは交換条件だ!!」
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