人類七十億人が異世界転移して、俺達だけが取り残されました

嵐を巻き起こす男

文字の大きさ
12 / 14
第一章 魔王様の贈物

第十二話 機動力

しおりを挟む
「あー、美味しかった」

 俺達はスーパーの食材を使ってご飯を作った。というより作ったのはほぼ凛で、俺とカスミはほとんど何もしてないんだけどな。この分なら食材が無くなることは早々なさそうではある。だけど、この状況でこのままここに居続けて本当に良いのかと言われれば、一抹の不安が残る。

「ということで、ここを拠点にしてどんどん勢力を高めていこうぜ!」
「何がということでなのよ……」
「面白そうッスね! まずはどこから行きます?」
「この近くになんか大きめの店とか、重要そうな場所とかあるか?」
「重要そうな場所って何よ?」
「例えば……動物園とか、畑とか?」
「無茶苦茶な組み合わせね……」
「まあ、用途が全然違うからな。俺のネクロマンサーとしての力を高めるために動物園に行くか、食料を作るために畑に行くか」
「検索したら、近くだと畑があるッス……けど、だいぶ遠いッスね」
「どれくらいかかりそうなんだ?」
「歩いて行くとなると、現実的に考えても一日以上かかりそうッス」

 マジかよ……機動力が欲しいな……。

「そう考えると、自動車屋とか自転車屋にも行きたいな」
「えーっと、それなら自転車屋がここから二時間くらい歩いた所にあるっぽいッスよ?」
「よし、行くか」

 待ってても仕方ない、とりあえず動かないとな。
 俺達は用意を始めた。とりあえず動きやすいように靴とかを変えた。前の靴は山に行ったせいでボロボロになってたしな。
 そして、一応食料も少しだけ持って行くことにした。何が起こるかわからないしな。食料とかを入れるために、リュックサックも探したが、オシャレな小さいカバンしかなかった。まあとりあえずそんなに大量に荷物があるわけじゃないしいいんだけどね。

「よし、準備出来たよな?」
「完璧よ」
「準備万端ッス!」
「それじゃあ、出発進行!」

 と意気揚々に外に出たのは良かったんだが……。
 道路に木などがなぎ倒されていて、道無き道を歩き続けるハメになってしまった。木などの障害物を避けながら歩いて行くのは予想以上に厳しかった。

「疲れたわ……」
「あと、どれくらい、なんだ?」
「えーっと、まだ半分行ってないくらいッスかね?」
「なんでそんなに元気なのよ……」
「え? わかんないッス、剣士だからじゃないッスか? 魔法使いは体力無いッスねー?」
「は? まだまだ、余裕よ!」
「待って、俺が余裕じゃない……休憩しないか?」
「いいッスよ」
「ま、まあどうしてもって言うならね!」

 凛は肩で息をしながら、見栄を貼っていた。凛よ、多分カスミも気付いてると思うし、意味無いと思うぞ……。
 俺達は、道路の隅に腰を下ろして、休憩していた。まさか道路の真ん中を堂々と突っ切れる日が来るとは思ってなかったな。カスミはよっぽど暇なのか、木を切って修行をしていた。俺達は眺めていることしか出来なかった。

「凄いなカスミ、いったいどれだけ無尽蔵のスタミナがあるんだ……」
「え? いや、たしかにいつもより楽ッスけど、こんなに早くから休憩するほど疲れないッスよ?」

 なるほど、基本スペック高いな。俺がいつも通りなら、ここまでの半分くらいまでしか来れてない気がする。ネクロマンサーになってから少しだけ身体が動くようになってる気がするんだよな、これでも。

「凛は魔法使いになって体力落ちたとか逆に体力あがったとかあるか?」
「え? いや、考えたことなかったわね。多分何もなってないんじゃないかしら」

 なるほど、身体能力が上がることはあっても、身体能力が悪くなることはないのか。まあ、わからないけど。

「もうそろそろ歩き出すか」
「わかったわ」
「行くッス!」

 俺達は、その後も歩き続けた。そして、途中である重大な事実に気付いてしまった。自転車手に入れても障害物多すぎてあんまり意味が無いということだ。
 いや、たしかに少しは楽になると思うし、障害物がないような所まで行ければだいぶ行動力は上がると思うよ!? でも、こんなに障害物ばっかりで、ショッピングモールに帰るとなると、ちょっと厳しいな……食料持ってきて良かったな。
 とりあえず二人の、特に凛の心を折らないために話すのは止めておこう。
 そしてようやく、終わりの地が見えた。まあ折り返し地点とも言えるんだけれども。

「着いた、着いたわ!」
「着いたッスね」
「やっとかー、中に入って良さそうな自転車探すか」

 道路の側にも自転車は大量に陳列されていたはずだが、その自転車は、重なって倒れていてパンクしていそうなのも多かった。まあそこから選んでもいいんだが、中のやつのほうがまだ被害は少なそうだった。
 そして俺達は、自分の色にあった自転車を選んだ。結構色んな色の自転車があるんだな。
 それにしても、凄い被害だよな。いったい何があったらこんなことになるんだよってくらいだ。まあ、大震災とかならもっとやばいんだろうけど。家が潰れているのまではほとんど見ないしね。たまにあるけど。
 まあそれほど魔王様の力は強大だということだろう。今は二時間以上歩いてもモンスターに遭遇しないくらい少ないけど、更にモンスターを呼んでくるかもしれないし、どこかで群れているのかもしれない。しかも、またゾンビが襲ってくるかもしれない。と言うより、今はとにかくショッピングモールまで帰らないといけない。前途多難すぎるだろ……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

農民レベル99 天候と大地を操り世界最強

九頭七尾
ファンタジー
【農民】という天職を授かり、憧れていた戦士の夢を断念した少年ルイス。 仕方なく故郷の村で農業に従事し、十二年が経ったある日のこと、新しく就任したばかりの代官が訊ねてきて―― 「何だあの巨大な大根は? 一体どうやって収穫するのだ?」 「片手で抜けますけど? こんな感じで」 「200キロはありそうな大根を片手で……?」 「小麦の方も収穫しますね。えい」 「一帯の小麦が一瞬で刈り取られた!? 何をしたのだ!?」 「手刀で真空波を起こしただけですけど?」 その代官の勧めで、ルイスは冒険者になることに。 日々の農作業(?)を通し、最強の戦士に成長していた彼は、最年長ルーキーとして次々と規格外の戦果を挙げていくのだった。 「これは投擲用大根だ」 「「「投擲用大根???」」」

封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する

鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。 突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。 しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。 魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。 英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 2月15日付で、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。 ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。 引き続きよろしくお願いいたします。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...