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第2章 導かれし王編
第百四話 インクレディブル
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「歩いても歩いても人ひとり見えねぇな、どうなってるんだこの世界」
何時間歩き続けたのかもうわからない。戦闘用メイドさんは戦闘用というだけあって、お喋りにはあまり付き合ってくれないし、歩いても歩いてもずっと同じ光景で、特に面白いことも無い。
その時だった。突然隣から音が聞こえ、戦闘用メイドさんは顔を抑えてその場に崩れた。その顔を真紅に染まっていた。
「……なんか食べます?」
「き、気にしないでください!」
「そうは言われても……俺もお腹空きましたし、それだけ大きな音が鳴ったってことはお腹空いてるんでしょ?」
「食糧がありません」
周りに食べられそうなものは無いし、俺も食糧を持ってきていなかった。このままでは兵糧攻めによって負けてしまう……完全に自業自得だけど。
「本気を出します」
いや本気を出すって何をするつもりだ、そう言おうとして、隣を向いた瞬間、メイドさんにがっしりと掴まれた。
「しっかり掴まっていてください」
「ちょっと待っ、うわぁぁぁぁぁぁぁあ!?」
超速で地面から離れていく。メイドさんの足から何かがジェット噴射されて、ぐんぐんスピードを増してきている。飛行機に乗っている時のような微妙な気持ち悪さが込み上げてくる。
十分に加速したのだろうか、速度が一定になったことがわかった。加速している時はキツかったが、加速が止まると、超速で飛んでいてもそんなに苦痛じゃないらしい。
「いえ、荒巻様のことを考慮するのを今まで忘れていただけでございます」
「てことは俺があの苦痛を受けなくて済む可能性があったってことかな?」
「そういうことになりますね」
……メイドさんめ、と言いたいところだが、そんなことが出来ることがまず凄いし、このままではひとり兵糧攻めごっこで死ぬところだったことを考えると、何も言えない。あと最大の理由は、その、抱きしめられているから、柔らかいものが当たって気持ちいい。ずっとこうしていたい。
「……殲滅します」
「ちょっと待ってくださいごめんなさいメイド様!」
「そういうことは、その、あまり考えないで下さい」
「わかりました!」
とは言ったものの、悲しいかな、人間というものはやめろと言われればやりたくなるものだし、そもそも男というものはそういう風に作られているんだから、考えるなと言われても不可能である。
「そっちがそのつもりなら、こちらにも考えがあります」
メイドさんがそう言った瞬間、あの不快感が襲ってきた。やばい、気持ちいいけど気持ち悪い。うっ、吐きそう……
◇
そんなやり取りをしているうちに、ものの5分足らずで王城のような建物が見えてきた。
「到着致しました。さっさと殲滅して魔王城に帰ってパーティーでもしましょう」
「それメイドさんの独断で決めていいものなのか?」
「魔王様なら祝勝会くらい開いてくれるでしょう、徹夜明けで単騎でヤバめの世界に乗り込んでるってことを考えなければ」
「なかなか無茶な要求だなよく考えたら……」
王城は開門していた。というより、王城自体が深刻なダメージを負っていた。まるで天から隕石が降り注いできたみたいな状態だ。こんな状態になるまで放っておくしかない状況なのかと、心配してしまう。
「まさか、さすがに神が作った世界ですよ、そこまで深刻な状況にはなっていません。せいぜい城下町がスラム街化していたくらいです」
城下町がスラム街化しているのは結構深刻だろう、と思ったが、そもそも城下町なんて見当たらない。あるとすれば瓦礫の山が城の周りにびっしりとあるくらいだ。
「それが私が滅ぼした城下町の残骸です」
「待て、私が滅ぼした?」
「はい。世界に降り立った時、この世界の全ての生き物を滅ぼすため、隕石を降らしました。生命感知の魔法によりますと、生き残ったのは神と、荒巻様と同じ転生者のパーティー数名のみですね。どちらもこの王城の中にいるようです。さあ行きましょう」
無茶苦茶なことを言い出した。シャルティアたんとか、そういう規格外を見てきてはいるが、おそらくシャルティアたんでもこのように広範囲に大災害を起こすなんてことは出来ないだろう。それをただのメイドがやってしまうなんて。
「ただのメイドではございません。戦闘用メイドでございます荒巻様」
「いやわかってるけどそれでもおかしいわ!」
「どうしてそんなに驚いているんですか? カルシウム不足でしょうか?」
だんだんつっこむ気力がなくなってくる。
王城の階段を穴の空いたところを避け、登っていくが、穴というくらいじゃ済まない、普通に登れないくらいの場所を、スライムに乗ってジャンプで超えていく。スライムはジャンプ力が高く、衝撃を殺してくれるため、弱い精霊の中では特に使い勝手がいいのだ。
と、そうやって頑張って登っていくと、5人の人間が見えた。潰れてしまった玉座の近くでこちらを待っていたようだ。
俺としては、待ち伏せして不意打ちくらいしてくるかと思って内心ビクビクしていて、精霊をガード用に用意していたが、堂々とこちらを出迎え、そして声を上げた。
「YO!YO!俺のライムくれてやる! この戦争はインクレディブル! それでもやるぜ、俺は男! 貰っていくぜお前の心! 敷いていこうぜマイロード! 食らいつくぜこの世! ついてきてくれ友よ!」
……なるほど、ハズレくじ引いたかな俺。
何時間歩き続けたのかもうわからない。戦闘用メイドさんは戦闘用というだけあって、お喋りにはあまり付き合ってくれないし、歩いても歩いてもずっと同じ光景で、特に面白いことも無い。
その時だった。突然隣から音が聞こえ、戦闘用メイドさんは顔を抑えてその場に崩れた。その顔を真紅に染まっていた。
「……なんか食べます?」
「き、気にしないでください!」
「そうは言われても……俺もお腹空きましたし、それだけ大きな音が鳴ったってことはお腹空いてるんでしょ?」
「食糧がありません」
周りに食べられそうなものは無いし、俺も食糧を持ってきていなかった。このままでは兵糧攻めによって負けてしまう……完全に自業自得だけど。
「本気を出します」
いや本気を出すって何をするつもりだ、そう言おうとして、隣を向いた瞬間、メイドさんにがっしりと掴まれた。
「しっかり掴まっていてください」
「ちょっと待っ、うわぁぁぁぁぁぁぁあ!?」
超速で地面から離れていく。メイドさんの足から何かがジェット噴射されて、ぐんぐんスピードを増してきている。飛行機に乗っている時のような微妙な気持ち悪さが込み上げてくる。
十分に加速したのだろうか、速度が一定になったことがわかった。加速している時はキツかったが、加速が止まると、超速で飛んでいてもそんなに苦痛じゃないらしい。
「いえ、荒巻様のことを考慮するのを今まで忘れていただけでございます」
「てことは俺があの苦痛を受けなくて済む可能性があったってことかな?」
「そういうことになりますね」
……メイドさんめ、と言いたいところだが、そんなことが出来ることがまず凄いし、このままではひとり兵糧攻めごっこで死ぬところだったことを考えると、何も言えない。あと最大の理由は、その、抱きしめられているから、柔らかいものが当たって気持ちいい。ずっとこうしていたい。
「……殲滅します」
「ちょっと待ってくださいごめんなさいメイド様!」
「そういうことは、その、あまり考えないで下さい」
「わかりました!」
とは言ったものの、悲しいかな、人間というものはやめろと言われればやりたくなるものだし、そもそも男というものはそういう風に作られているんだから、考えるなと言われても不可能である。
「そっちがそのつもりなら、こちらにも考えがあります」
メイドさんがそう言った瞬間、あの不快感が襲ってきた。やばい、気持ちいいけど気持ち悪い。うっ、吐きそう……
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そんなやり取りをしているうちに、ものの5分足らずで王城のような建物が見えてきた。
「到着致しました。さっさと殲滅して魔王城に帰ってパーティーでもしましょう」
「それメイドさんの独断で決めていいものなのか?」
「魔王様なら祝勝会くらい開いてくれるでしょう、徹夜明けで単騎でヤバめの世界に乗り込んでるってことを考えなければ」
「なかなか無茶な要求だなよく考えたら……」
王城は開門していた。というより、王城自体が深刻なダメージを負っていた。まるで天から隕石が降り注いできたみたいな状態だ。こんな状態になるまで放っておくしかない状況なのかと、心配してしまう。
「まさか、さすがに神が作った世界ですよ、そこまで深刻な状況にはなっていません。せいぜい城下町がスラム街化していたくらいです」
城下町がスラム街化しているのは結構深刻だろう、と思ったが、そもそも城下町なんて見当たらない。あるとすれば瓦礫の山が城の周りにびっしりとあるくらいだ。
「それが私が滅ぼした城下町の残骸です」
「待て、私が滅ぼした?」
「はい。世界に降り立った時、この世界の全ての生き物を滅ぼすため、隕石を降らしました。生命感知の魔法によりますと、生き残ったのは神と、荒巻様と同じ転生者のパーティー数名のみですね。どちらもこの王城の中にいるようです。さあ行きましょう」
無茶苦茶なことを言い出した。シャルティアたんとか、そういう規格外を見てきてはいるが、おそらくシャルティアたんでもこのように広範囲に大災害を起こすなんてことは出来ないだろう。それをただのメイドがやってしまうなんて。
「ただのメイドではございません。戦闘用メイドでございます荒巻様」
「いやわかってるけどそれでもおかしいわ!」
「どうしてそんなに驚いているんですか? カルシウム不足でしょうか?」
だんだんつっこむ気力がなくなってくる。
王城の階段を穴の空いたところを避け、登っていくが、穴というくらいじゃ済まない、普通に登れないくらいの場所を、スライムに乗ってジャンプで超えていく。スライムはジャンプ力が高く、衝撃を殺してくれるため、弱い精霊の中では特に使い勝手がいいのだ。
と、そうやって頑張って登っていくと、5人の人間が見えた。潰れてしまった玉座の近くでこちらを待っていたようだ。
俺としては、待ち伏せして不意打ちくらいしてくるかと思って内心ビクビクしていて、精霊をガード用に用意していたが、堂々とこちらを出迎え、そして声を上げた。
「YO!YO!俺のライムくれてやる! この戦争はインクレディブル! それでもやるぜ、俺は男! 貰っていくぜお前の心! 敷いていこうぜマイロード! 食らいつくぜこの世! ついてきてくれ友よ!」
……なるほど、ハズレくじ引いたかな俺。
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