超廃課金勢のソシャゲ転生~俺がガチャを引いたら異世界者が転生してくる件について~

嵐を巻き起こす男

文字の大きさ
111 / 112
第2章 導かれし王編

第百四話 インクレディブル

しおりを挟む
「歩いても歩いても人ひとり見えねぇな、どうなってるんだこの世界」

 何時間歩き続けたのかもうわからない。戦闘用メイドさんは戦闘用というだけあって、お喋りにはあまり付き合ってくれないし、歩いても歩いてもずっと同じ光景で、特に面白いことも無い。

 その時だった。突然隣から音が聞こえ、戦闘用メイドさんは顔を抑えてその場に崩れた。その顔を真紅に染まっていた。

「……なんか食べます?」
「き、気にしないでください!」
「そうは言われても……俺もお腹空きましたし、それだけ大きな音が鳴ったってことはお腹空いてるんでしょ?」
「食糧がありません」

 周りに食べられそうなものは無いし、俺も食糧を持ってきていなかった。このままでは兵糧攻めによって負けてしまう……完全に自業自得だけど。

「本気を出します」

 いや本気を出すって何をするつもりだ、そう言おうとして、隣を向いた瞬間、メイドさんにがっしりと掴まれた。

「しっかり掴まっていてください」
「ちょっと待っ、うわぁぁぁぁぁぁぁあ!?」

 超速で地面から離れていく。メイドさんの足から何かがジェット噴射されて、ぐんぐんスピードを増してきている。飛行機に乗っている時のような微妙な気持ち悪さが込み上げてくる。
 十分に加速したのだろうか、速度が一定になったことがわかった。加速している時はキツかったが、加速が止まると、超速で飛んでいてもそんなに苦痛じゃないらしい。

「いえ、荒巻様のことを考慮するのを今まで忘れていただけでございます」
「てことは俺があの苦痛を受けなくて済む可能性があったってことかな?」
「そういうことになりますね」

 ……メイドさんめ、と言いたいところだが、そんなことが出来ることがまず凄いし、このままではひとり兵糧攻めごっこで死ぬところだったことを考えると、何も言えない。あと最大の理由は、その、抱きしめられているから、柔らかいものが当たって気持ちいい。ずっとこうしていたい。

「……殲滅します」
「ちょっと待ってくださいごめんなさいメイド様!」
「そういうことは、その、あまり考えないで下さい」
「わかりました!」

 とは言ったものの、悲しいかな、人間というものはやめろと言われればやりたくなるものだし、そもそも男というものはそういう風に作られているんだから、考えるなと言われても不可能である。

「そっちがそのつもりなら、こちらにも考えがあります」

 メイドさんがそう言った瞬間、あの不快感が襲ってきた。やばい、気持ちいいけど気持ち悪い。うっ、吐きそう……



 そんなやり取りをしているうちに、ものの5分足らずで王城のような建物が見えてきた。

「到着致しました。さっさと殲滅して魔王城に帰ってパーティーでもしましょう」
「それメイドさんの独断で決めていいものなのか?」
「魔王様なら祝勝会くらい開いてくれるでしょう、徹夜明けで単騎でヤバめの世界に乗り込んでるってことを考えなければ」
「なかなか無茶な要求だなよく考えたら……」

 王城は開門していた。というより、王城自体が深刻なダメージを負っていた。まるで天から隕石が降り注いできたみたいな状態だ。こんな状態になるまで放っておくしかない状況なのかと、心配してしまう。

「まさか、さすがに神が作った世界ですよ、そこまで深刻な状況にはなっていません。せいぜい城下町がスラム街化していたくらいです」

 城下町がスラム街化しているのは結構深刻だろう、と思ったが、そもそも城下町なんて見当たらない。あるとすれば瓦礫の山が城の周りにびっしりとあるくらいだ。

「それが私が滅ぼした城下町の残骸です」
「待て、私が滅ぼした?」
「はい。世界に降り立った時、この世界の全ての生き物を滅ぼすため、隕石を降らしました。生命感知の魔法によりますと、生き残ったのは神と、荒巻様と同じ転生者のパーティー数名のみですね。どちらもこの王城の中にいるようです。さあ行きましょう」

 無茶苦茶なことを言い出した。シャルティアたんとか、そういう規格外を見てきてはいるが、おそらくシャルティアたんでもこのように広範囲に大災害を起こすなんてことは出来ないだろう。それをただのメイドがやってしまうなんて。

「ただのメイドではございません。戦闘用メイドでございます荒巻様」
「いやわかってるけどそれでもおかしいわ!」
「どうしてそんなに驚いているんですか? カルシウム不足でしょうか?」

 だんだんつっこむ気力がなくなってくる。
 王城の階段を穴の空いたところを避け、登っていくが、穴というくらいじゃ済まない、普通に登れないくらいの場所を、スライムに乗ってジャンプで超えていく。スライムはジャンプ力が高く、衝撃を殺してくれるため、弱い精霊の中では特に使い勝手がいいのだ。
 と、そうやって頑張って登っていくと、5人の人間が見えた。潰れてしまった玉座の近くでこちらを待っていたようだ。
 俺としては、待ち伏せして不意打ちくらいしてくるかと思って内心ビクビクしていて、精霊をガード用に用意していたが、堂々とこちらを出迎え、そして声を上げた。

「YO!YO!俺のライムくれてやる! この戦争はインクレディブル! それでもやるぜ、俺は男! 貰っていくぜお前の心! 敷いていこうぜマイロード! 食らいつくぜこの世! ついてきてくれ友よ!」

 ……なるほど、ハズレくじ引いたかな俺。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー

芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。    42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。   下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。  約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。  それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。  一話当たりは短いです。  通勤通学の合間などにどうぞ。  あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。 完結しました。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る

がい
ファンタジー
ある日突然世界的に流行した病気。 その治療薬『メシア』の副作用により薬漬けになってしまった森野宏人(35)は、療養として母方の祖父の家で暮らしいた。 爺ちゃんと山に狩りの手伝いに行く事が楽しみになった宏人だったが、田舎のコミュニティは狭く、宏人の良くない噂が広まってしまった。 爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。 『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』 人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。 『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』 諸事情により不定期更新になります。 完結まで頑張る!

処理中です...