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1章 部下は会社を辞めたがる
最悪の事態は回避するも
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おれが親だったら頭を抱えているだろう。
ノマド自体を否定するつもりはないが、ビジョンも実績も全くない。
若いうちは根拠のない自信は誰でも持つものだが、後悔はつきものだ。
とてもお勧めできる進路ではない。
仕方なく退職願を開いてみると、横書きで殴り書きしたような乱雑な文章が目に入る。
押印もしていない。
どちらにしろ、受け取れる書類ではなかった。
「お前の気持ちは分かったよ。でも、ノマドで何の仕事をしたいか決めてからでも辞めるのは遅くないんじゃないか?いきなり無収入になったら都合悪いだろ?」
「まぁ…それは…」
「それと、退職願には決まった書き方があるから、調べてみ。これは今日のところは返しておく」
「あ、あの、受け取ってもらえないんですか?」
「どっちにしろ正式な書類じゃないと受け取れない。この件は、他のやつには内緒にしとくから。もうしばらく考えてみろよ」
「考えるって…」
「そりゃ、ノマドするなら何ができるのか。それと、ほんとに会社辞めなきゃいけないのか。保険とか年金とか考えて、数十年先後悔しない生き方を選んだ方がいいぞ?」
「はぁ…」
「じゃ、今日のところは仕事しよう。いいな?」
安藤はうつむいてしまった。
今日辞めてからのことを色々と考えていたのだろう。
だがおれとしては、すぐに退職手続きに入るという最悪の事態は避けられ、一安心した。
安藤が再びこれを提出してくる前に、何か対策を考えなければ…
事務所に戻ると、安藤にとっての朗報が待っていた。
彼が二ヶ月ほど前に飛び込み営業した企業から、大口の注文をしたいと連絡があったのだ。
事務の女の子からそれを聞いた安藤は、すぐさま折り返しの電話を入れた。
嬉しそうに話している様子からすると、かなりいい案件のようだ。
これで彼のやる気が出てくれれば、退職願いも引っ込めてくれるかもしれない。
そんな淡い期待を、おれも持つことができた。
ノマド自体を否定するつもりはないが、ビジョンも実績も全くない。
若いうちは根拠のない自信は誰でも持つものだが、後悔はつきものだ。
とてもお勧めできる進路ではない。
仕方なく退職願を開いてみると、横書きで殴り書きしたような乱雑な文章が目に入る。
押印もしていない。
どちらにしろ、受け取れる書類ではなかった。
「お前の気持ちは分かったよ。でも、ノマドで何の仕事をしたいか決めてからでも辞めるのは遅くないんじゃないか?いきなり無収入になったら都合悪いだろ?」
「まぁ…それは…」
「それと、退職願には決まった書き方があるから、調べてみ。これは今日のところは返しておく」
「あ、あの、受け取ってもらえないんですか?」
「どっちにしろ正式な書類じゃないと受け取れない。この件は、他のやつには内緒にしとくから。もうしばらく考えてみろよ」
「考えるって…」
「そりゃ、ノマドするなら何ができるのか。それと、ほんとに会社辞めなきゃいけないのか。保険とか年金とか考えて、数十年先後悔しない生き方を選んだ方がいいぞ?」
「はぁ…」
「じゃ、今日のところは仕事しよう。いいな?」
安藤はうつむいてしまった。
今日辞めてからのことを色々と考えていたのだろう。
だがおれとしては、すぐに退職手続きに入るという最悪の事態は避けられ、一安心した。
安藤が再びこれを提出してくる前に、何か対策を考えなければ…
事務所に戻ると、安藤にとっての朗報が待っていた。
彼が二ヶ月ほど前に飛び込み営業した企業から、大口の注文をしたいと連絡があったのだ。
事務の女の子からそれを聞いた安藤は、すぐさま折り返しの電話を入れた。
嬉しそうに話している様子からすると、かなりいい案件のようだ。
これで彼のやる気が出てくれれば、退職願いも引っ込めてくれるかもしれない。
そんな淡い期待を、おれも持つことができた。
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