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5章 社畜は何がいいのか
無理な依頼
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翌朝。
眠気と格闘をしながら、おれはある客先へ直行した。
上場している大企業で、おれが新人の頃から担当している顧客だが、その担当者が今年の初めに変わった。
挨拶に行って驚いたのだが、その新しい担当者は、大学時代所属していた登山サークルの後輩だったのだ。
3年間苦楽をともにした後輩が、大手の取引先の担当者になったのは、おれにとって本当に幸いだった。
多少なら無理なお願いもしやすいからだ。
今回の支店長発案のクソ企画の犠牲には、この会社になってもらうことにしていた。
「在庫には困ってないんですけどねぇ…」
案の定、面会した後輩も契約書を見ながら渋い顔をする。
契約書には、よく発注がかかる、在庫にしておいても損はないであろう種類のパイプが数十本、30万程度の金額が記載されている。
「ぶっちゃけ、こっちの社内で色々あってさ。一回発注かけて、後でキャンセルしてくれてもいいから」
こんな無理を話せるのは、多くの取引先の中でもここだけだろう。
彼は困ったような顔をしながらも、それなら明日キャンセルの連絡を入れますから、と言いながらも契約書にサインをしてくれた。
持つべきものは人脈だ。
眠気と格闘をしながら、おれはある客先へ直行した。
上場している大企業で、おれが新人の頃から担当している顧客だが、その担当者が今年の初めに変わった。
挨拶に行って驚いたのだが、その新しい担当者は、大学時代所属していた登山サークルの後輩だったのだ。
3年間苦楽をともにした後輩が、大手の取引先の担当者になったのは、おれにとって本当に幸いだった。
多少なら無理なお願いもしやすいからだ。
今回の支店長発案のクソ企画の犠牲には、この会社になってもらうことにしていた。
「在庫には困ってないんですけどねぇ…」
案の定、面会した後輩も契約書を見ながら渋い顔をする。
契約書には、よく発注がかかる、在庫にしておいても損はないであろう種類のパイプが数十本、30万程度の金額が記載されている。
「ぶっちゃけ、こっちの社内で色々あってさ。一回発注かけて、後でキャンセルしてくれてもいいから」
こんな無理を話せるのは、多くの取引先の中でもここだけだろう。
彼は困ったような顔をしながらも、それなら明日キャンセルの連絡を入れますから、と言いながらも契約書にサインをしてくれた。
持つべきものは人脈だ。
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