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5、一族の滅亡2

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このヒナの言葉に対し真っ先に各国は動き出しました。
放った密偵によると我が国が疲弊した時に戦争が起きなかったのはどうやらこの時のためだったそうです。隣国の皇太子との結婚もその日のうちに破棄となりました。まあ、当然そうなりますよね。

そうして1週間後私たち王家一族は教会を支持する国民と諸外国によって捕まってしまいました。その後はもうひどい物でした。

まず、ヒナは自身がこの国を救済するとして皇太子であるお兄様のみを救済し、自分の王配としました。お兄様は断固として拒みましたがどうすることもできず、激しく抵抗した際に怪しい薬を飲まされて今では薬漬けの日々を送っておられます。情熱に溢れていたお兄様がただの傀儡になってしまう様は私にはとても耐え難いものでした。
次にお姉様は高級娼館に送られてしましました。そして1週間もたたないうちに潔白を重んじるお姉様は辱めに耐えることができず、自身で命を絶ってしまわれました。あんなにも私を可愛がってくれたお姉様はどこにもいません。ヒナだってこの国にいる時は散々お世話になったはずなのに呆気なく殺してしまったのです。
その次は私の番。きっと処刑でもされるのかと思ったらヒナは私には自信の罪の重さを認め懺悔する時間が必要として2週間後に修道院に送ることにしました。ヒナは嬉々として牢屋を訪れ、それを伝えた後訳のわからない言いがかりをつけ、衛兵が私に暴力を振るうのをそれはそれは愉快そうに眺めていました。そこは極寒の地で冬場にはマイナス30度にもなるそうです。きっと南に位置する気候の温かい国で育った私には耐えられないでしょう。しかも、そこの修道女たちは皆、なんらかしらの罪を犯した者たちであるため社会的地位が低く、地域住民たちから性被害や暴力を振るわれているそうです。こんなのはもう死刑となんら変わりはありません。
そして最後に両親の番がやってきました。
両親は呆気なくギロチンにかけられてしまいました。
死刑は王城の入り口の前で行われました。集まった人々の中で誰一人として両親を罵るものはいませんでした。
英才だと謳われた父の最後はも呆気ないものでした。一国の君主として家族の大黒柱として、たまにおいたをしてお母様に怒られていてもとても仲の良い家族で、それで、それで………………………
私を守ってくれた父はいなくなってしまったのです。
優しくてでも社交会の中で強く輝いき、常に人々を第一に考え、人間の縁こそが何にも変え難い宝であると私たちに説いてきた母はもうそこで、私の荒み切った心を正してはくれません。
私の心はこの時、ヒナへの恐怖以外の心は何も持ち合わせていないほど死んでいました。

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