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第1話:勇者参上!
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魔法で作成されたゴーレム達は、良美の命令を実行するために一生懸命がんばって働こうとしていた。しかしゴーレム達は、左右の足の長さが極端に異なっていたり、体に比べて腕が大きすぎてバランスが悪かったり、さらには手と足がチグハグについていると言った具合であった。正直辛うじて動けるというレベルの造形であった。顔だけは小さく可愛いため、歪な体が余計にゴーレム達の悲惨さを強調していた。
『魔法で作ったのに失敗するとか、やっぱりよっちゃんの不器用さは、呪いレベルだったのか。あれだけ俺が親切丁寧に教えても○ンプラの一つも作れなかったのは、教え方が悪かった訳じゃなかったんだ!』
スマートフォンの中で作は「うんうん」とうなずいていた。彼の脳裏には、良美にプラモデル作りを教えたときの様々な苦労が思い出となって横切っていた。
「そんな~。不器用だからってあんな形になるのはおかしいよ。私、夢の中じゃ凄いゴーレムを沢山作ってたんだよ~」
良美はスマートフォンを顔の前に持ち上げて、作に力説するが、彼に言わせれば結果が全てであった。
『手と足のパーツを間違って取り付けたり、接着しなくて良いと言っているのに、わざと間接に接着剤をつけたりするのは、不器用というレベルじゃないと思ってたんだ。やっぱりよっちゃんは人型の物を作れないという呪いにかかっているんだよ』
「そんな、魔王の記憶を受け継いだのにどうして。こんな立派なスキルまで持っているのにどうしてゴーレムが作れないのよ!」
魔王の知識と記憶を受け継いだとき、良美はまるでゲームのように自分のステータスが見えるようになっていた。
名前:櫻井良美
種族:人間
クラス:魔王
レベル:99
HP :100/100
MP :7650/1025
ステータス:
力 350
敏捷 200
器用 87
魔力 999
状態:正常
スキル:
ゴーレムマスター 99
火魔法 99
水魔法 52
土魔法 99
風魔法 45
闇魔法 99
精霊魔法 50
生命魔法 5
:
ちなみにステータスの値は、普通の成人男性で100とした値である。魔王の知識と記憶から、異世界と地球ではそれほど人間の能力に差が無いと分かっている。
つまりステータスを見る限り、良美は若干低めであるが、人並みの器用度である。そして状態は正常となっており、良美は呪いにはかかっていなかった。
「うがーっ、呪いなんてどこにも書いてないわよ~!」
『うぁっ、よっちゃん、スマフォを振らないでくれよ』
ヒステリーを起こした良美は、スマートフォンをぶんぶんと振り回した。そんなことをされれば、スマートフォンの作は、部屋の中で転げ回ることになる。外に出られない作には、悲鳴を上げる事しかできなかった。
◇
『それでどうするの?』
しばらく地団駄を踏んで暴れていた良美が落ち着くと、作は今後の方針を尋ねた。
「もう、こうなったら…なおくんに頑張ってもらうしかないわ」
校舎を修理しようとがんばっている、歪なゴーレム達を見ながら良美はそう呟いた。
『俺? スマフォの中の俺にどうしろって?』
「今なおくんと私の間には、アストラルリンク…魂同士で繋がっているの。だからなおくんは、許可すれば私のスキルを使えるの。…つまり、なおくんが私の代わりにゴーレムを作れば良いのよ」
『へえ、おれとよっちゃんは、繋がってるんだ』
「なおくんの魂を封じ込めたのは、賢者の石だからね。あれは魔王が自分の分身に近いゴーレムを作る為の物なの。魔王がその魔力と魂を消費して作り出した、魔王の欠片とも言うべき物なのよ!」
良美は、賢者の石の作り方について熱弁を振るうが、
『魔王の欠片とか、とんでもない物に俺は封じられてるんだな。…うん、分かったよ。俺がゴーレムを作れば良いんだな』
作の方は、事もなげな感じで状況を受け入れていた。
「…なおくん、ちょっとドライすぎない?」
『いや、そう言われてもこの状態じゃ受け入れるしかないからな。とにかくゴーレムを作るから、スキルの使い方を教えてくれないか?』
「うう、何か納得いかないけど、早く校舎を直さないとみんな起きちゃうからね。なおくん、いまからアストラルリンクを使ってスキルの使い方を教えるから、画面に額をくっつけてね」
『画面って、このガラスの窓に額をくっつければ良いのかな?』
作の準備が整ったのをみて、良美はスマートフォンの画面に自分の額をくっつけた。
『ちょっと、よっちゃん!?』
突然良美がアップになった事で、作はドキドキしてしまった。
「なおくん、心を落ち着けて」
『うっ、分かったよ』
作が懸命に心を落ち着けると、頭の中に良美の知識と記憶が流れ込んできた。それは作と良美の子供時代の思い出だったり、魔王の時の記憶だったりした。
『これは良美の…魔王の記憶?』
「ごめん、ちょっと余計な情報まで漏れちゃった。ちょっと待ってね」
『…ああ、これがゴーレムマスターの使用法か』
しばらくすると作の中にゴーレムマスターというスキルの使い方が流れ込んできて、作の魂に刻みつけられた。
「これでなおくんもゴーレムマスターのスキルを使えるよね。ああ、魔力は私の使ってね」
『おう、なんか使える気がするぞ。…うん、ちょっと試してみるわ』
作は覚えたばかりのゴーレムマスターのスキルを使うため、魔力を良美から吸収し始めた。
『魔法で作ったのに失敗するとか、やっぱりよっちゃんの不器用さは、呪いレベルだったのか。あれだけ俺が親切丁寧に教えても○ンプラの一つも作れなかったのは、教え方が悪かった訳じゃなかったんだ!』
スマートフォンの中で作は「うんうん」とうなずいていた。彼の脳裏には、良美にプラモデル作りを教えたときの様々な苦労が思い出となって横切っていた。
「そんな~。不器用だからってあんな形になるのはおかしいよ。私、夢の中じゃ凄いゴーレムを沢山作ってたんだよ~」
良美はスマートフォンを顔の前に持ち上げて、作に力説するが、彼に言わせれば結果が全てであった。
『手と足のパーツを間違って取り付けたり、接着しなくて良いと言っているのに、わざと間接に接着剤をつけたりするのは、不器用というレベルじゃないと思ってたんだ。やっぱりよっちゃんは人型の物を作れないという呪いにかかっているんだよ』
「そんな、魔王の記憶を受け継いだのにどうして。こんな立派なスキルまで持っているのにどうしてゴーレムが作れないのよ!」
魔王の知識と記憶を受け継いだとき、良美はまるでゲームのように自分のステータスが見えるようになっていた。
名前:櫻井良美
種族:人間
クラス:魔王
レベル:99
HP :100/100
MP :7650/1025
ステータス:
力 350
敏捷 200
器用 87
魔力 999
状態:正常
スキル:
ゴーレムマスター 99
火魔法 99
水魔法 52
土魔法 99
風魔法 45
闇魔法 99
精霊魔法 50
生命魔法 5
:
ちなみにステータスの値は、普通の成人男性で100とした値である。魔王の知識と記憶から、異世界と地球ではそれほど人間の能力に差が無いと分かっている。
つまりステータスを見る限り、良美は若干低めであるが、人並みの器用度である。そして状態は正常となっており、良美は呪いにはかかっていなかった。
「うがーっ、呪いなんてどこにも書いてないわよ~!」
『うぁっ、よっちゃん、スマフォを振らないでくれよ』
ヒステリーを起こした良美は、スマートフォンをぶんぶんと振り回した。そんなことをされれば、スマートフォンの作は、部屋の中で転げ回ることになる。外に出られない作には、悲鳴を上げる事しかできなかった。
◇
『それでどうするの?』
しばらく地団駄を踏んで暴れていた良美が落ち着くと、作は今後の方針を尋ねた。
「もう、こうなったら…なおくんに頑張ってもらうしかないわ」
校舎を修理しようとがんばっている、歪なゴーレム達を見ながら良美はそう呟いた。
『俺? スマフォの中の俺にどうしろって?』
「今なおくんと私の間には、アストラルリンク…魂同士で繋がっているの。だからなおくんは、許可すれば私のスキルを使えるの。…つまり、なおくんが私の代わりにゴーレムを作れば良いのよ」
『へえ、おれとよっちゃんは、繋がってるんだ』
「なおくんの魂を封じ込めたのは、賢者の石だからね。あれは魔王が自分の分身に近いゴーレムを作る為の物なの。魔王がその魔力と魂を消費して作り出した、魔王の欠片とも言うべき物なのよ!」
良美は、賢者の石の作り方について熱弁を振るうが、
『魔王の欠片とか、とんでもない物に俺は封じられてるんだな。…うん、分かったよ。俺がゴーレムを作れば良いんだな』
作の方は、事もなげな感じで状況を受け入れていた。
「…なおくん、ちょっとドライすぎない?」
『いや、そう言われてもこの状態じゃ受け入れるしかないからな。とにかくゴーレムを作るから、スキルの使い方を教えてくれないか?』
「うう、何か納得いかないけど、早く校舎を直さないとみんな起きちゃうからね。なおくん、いまからアストラルリンクを使ってスキルの使い方を教えるから、画面に額をくっつけてね」
『画面って、このガラスの窓に額をくっつければ良いのかな?』
作の準備が整ったのをみて、良美はスマートフォンの画面に自分の額をくっつけた。
『ちょっと、よっちゃん!?』
突然良美がアップになった事で、作はドキドキしてしまった。
「なおくん、心を落ち着けて」
『うっ、分かったよ』
作が懸命に心を落ち着けると、頭の中に良美の知識と記憶が流れ込んできた。それは作と良美の子供時代の思い出だったり、魔王の時の記憶だったりした。
『これは良美の…魔王の記憶?』
「ごめん、ちょっと余計な情報まで漏れちゃった。ちょっと待ってね」
『…ああ、これがゴーレムマスターの使用法か』
しばらくすると作の中にゴーレムマスターというスキルの使い方が流れ込んできて、作の魂に刻みつけられた。
「これでなおくんもゴーレムマスターのスキルを使えるよね。ああ、魔力は私の使ってね」
『おう、なんか使える気がするぞ。…うん、ちょっと試してみるわ』
作は覚えたばかりのゴーレムマスターのスキルを使うため、魔力を良美から吸収し始めた。
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