転生魔王は地球を防衛するのか?

お化け屋敷

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第1話:勇者参上!

(11)

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2/6 ロボット名をダゾーンからブレイブガインに修正しました。
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「なおくん、ファイト!」

 良美の声援に送られて、作はゴーレムマスターのスキルを発動させた。スキルが発動すると、校舎を包み込むように魔法陣が発生する。

『うーん、ゴーレムを作るって意外と難しい。作りたいゴーレムの姿を、きちんと立体としてイメージしないと駄目なのか』

 作は、ゴーレムと言うことで泥人形のような物を漠然とイメージしていた。しかしそれは二次元のイメージであり、立体として成り立っていなかった。そのため、スキルが発動したにも関わらずゴーレムは完成しなかった。

「そう、イメージが大切なんだよ!」

 作がイメージを試行錯誤している横で良美がアドバイスしてくれるが、立体物として物をイメージするのは難しい作業である。頭の中でイメージを破綻無く回転させる事ができるレベルの想像力が必要だった。

『(いきなり立体のイメージを思い浮かべるとか、難しすぎる。せめて何か手本があればいいんだけど) …そうだ、よっちゃん! 俺のリュックからプラモデルの箱を出してくれないか』

 何かお手本が有ればと思った作は、リュックの中にあるプラモデルを思い出した。

「えっ、プラモデルの箱? これをどうするの?」

 良美は、作に言われるままにリュックからプラモデルの箱を取り出した。

『ありがとう。なかなかイメージするのが難しいからさ、プラモデルを参考にしてゴーレムを作ろうかと思ったんだ。そう、1/1プラモデルってイメージならできると思う』

 作は、良美に箱を開けさせると、午前中に作っていたプラモデルのパーツを思い浮かべた。

「なおくん? ゴーレム人型じゃなくて、部品がついたランナーが出来上がってきたんだけど。それに、このパーツって大きすぎない?」

 良美が作ったゴーレム達は、大きくても身長一メートルほどであった。そのゴーレム達が次々と合体・変形してできあがったのは、人型のゴーレム完成品ではなく、一辺が二十メートルほどもあるプラモデルのランナーだった。

『そりゃ原寸大でイメージしたからね。それじゃ今から組み立てるよ』

 作はゴーレムマスターのスキルを使い、ランナーからパーツを次々と切り出していった。そして切り出されたパーツは、目にも留まらぬ早さで組み上がっていった。

「は、早いよ。パーツの切り離しと組上げが一瞬でできちゃったよ」

『さっき授業中に組み立ててたからね、どうやれば良いか分かってるんだ』

 良美の驚く声に作は自慢げそう返答するが、授業中にプラモデルを作るとか、人に自慢できることではない。よい子は絶対にまねしないでほしい。

 そして良美がプラモデルの箱を取り出してから一分と経たないうちに、全高十メートルほどのゴーレム人型が組み上がっていた。校舎の破片を素材にしているため、全身白っぽい灰色だけだが、その姿はプラモデルの箱のイラストと通りの、ブレイブガインであった。

『やったー、1/1のブレイブガインが完成したぞ!』

「なおくん、それでこの1/1ブレイブガインでどうやって校舎を直すの?」

 作は1/1のブレイブガインが完成したことに感動していたが、良美は呆れたような声で問いかけた。

 そう、良美が全長一メートルほどの小さなゴーレムをたくさん作ったのは、ゴーレム同士が移動・合体して校舎の復元を行うつもりだったからである。
 しかし作は巨大な一体のゴーレムを作ってしまった。それにパーツを切り出したランナーの残りは、そのままとなっており、校舎の材料はそれだけ減っているのだ。つまり、校舎の修復は不可能であった。

『そういえば校舎を直すんだっけ? 1/1のブレイブガインを作る事ばかり考えて、暴走しちゃったな。これじゃ校舎を直せないよな…。あはは、バカなことしたな』

 失敗したことに気付いた作は、スマートフォンの中でorzの姿で落ち込んでしまった。

「なおくんは、しょうがないな~」

 作は、いつも良美のフォローをしてくれるしっかり者であるが、時々うっかりなミスをしてしまうことがあった。今回は1/1プラモデルが作れるという、作にとって夢のような状況であったことが原因であった。
 いつもとは逆に、スマートフォンの作の頭を指良美が撫でて慰めていた。

「とにかくこのままじゃ校舎が修復できないから、もう一度小さく作り直しましょう。なおくんなら簡単に……あれ? もしかして宇宙機怪獣がこっちに戻ってきてる? もしかして、また学校が襲われるの?」

 1/1のブレイブガインを見上げていた良美は、そこで市街地に向かっていった宇宙機怪獣が、学校に向かってくることに気づいてしまった。
 市街地を破壊しながら進む宇宙機怪獣の足下では、踏みつぶされた何かが爆発し、破壊された家屋が燃えていた。そして市街地には消防車とパトカーのサイレンが鳴り響いていた。

『まずいな。学校のみんなは、良美が魔法で眠らせてしまったから逃げ出せないぞ。このままじゃ学校と心中だ。くそっ、自衛隊は何ををしているんだよ』

「空に飛行機が飛んでるけど、宇宙機怪獣が市街地にいるから、攻撃できないみたい」

 良美は空見上げ、自衛隊機F-35が飛び去るのを見送った。

『あれは小松のF-35だな。対空装備だから、地上には攻撃できない。それより砺波の陸自はまだ来てないのか?』

 スマートフォンを空に向けて空自の戦闘機の状態を確認した作は、ため息をついた。
 ちなみに、砺波の駐屯地に駐留している陸自の部隊は、施設中隊であり、直接戦闘に携わる部隊では無い。だから宇宙機怪獣と戦闘せず、警察と協力して市民の避難誘導を行っていたのだ。

「うーん、私の魔法で攻撃すれば倒せると思うんだけど、魔王が本気で魔法を使ったら、たぶんこの辺りはクレーターになっちゃうな。あれ、そう言えば攻撃魔法って使えるのか分からないや。念のために試してみようっと。えぃっ♪」

 良美は火魔法のスキルを使い、ファイア・アローの魔法を無詠唱で発動させた。すると、本来一メートルほどの大きさの炎の矢が出現する魔法なのに、十五センチほどのダーツサイズの火の矢しか出現しなかった。そして炎の矢は小学生の投げるボール並みの速度でヘロヘロと飛ぶと、校舎の壁に小さな焦げ跡を作った。

「…攻撃魔法は使えるみたいだけと、威力が全くないよ。それに魔力効率が悪すぎだよ。これじゃ本気で攻撃魔法使っても倒せないよ!」

 魔法を使った後ステータスを確認した良美は、魔力効率の悪さに気付いて愕然としてしまった。
 本来ファイア・アローは魔力を1しか使わない魔法だが、今回は100も使用されていた。つまり魔王がいた異世界に比べて地球では、おおよそ百倍の魔力が必要ということであった。

「おかしいな、ゴーレムマスターのスキルはそんなに魔力を使わなかったのに…。攻撃魔法が使えないとなると、大問題だよ」

 いざとなったら攻撃魔法で宇宙機怪獣を倒そうと思っていた良美は、その目論見が外れて困ってしまった。

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