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第一部 第六章
12 停戦。
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次の日もその次の日も、看護係の仕事は続いた。お湯汲みの仕事ばかりだったけれど、正直それで精一杯だったので、佐知子にはありがたかった。
そして、それと並行して、交戦の知らせも二次、三次と入った。
戦況は一進一退だった。ヨウのいない日々は、看護係の仕事に追われ、つらさ、悲しさを感じる余裕などなかった。
それでもふと、夜、寝る前など、布団の中でヨウのことを思い出す。今、何をしているだろうか、怪我をしていないだろうか……生きているだろうか……しかし、そんな思考は疲労のせいでやってくる眠気に押し流され、いつの間にかいつも眠りに落ちて終わっていた。
そして、四度目の戦時新聞が張り出されると同時に、村は一斉にわいた。
「停戦ですって! 戦、終わったわよー!」
看護部屋にもそんな言葉が飛び込んできた。
「停戦……」
詳しい意味は佐知子には分からなかったが、とりあえず戦が終わったことは佐知子にも分かった。
お湯の入った重い水瓶を抱えたまま佐知子は小さくつぶやいた。そして、胸が高鳴る。戦争が終わった。戦争が終わったのだ! そして軍も帰ってくる。ヨウも帰ってくる!
日没の鐘のあと、読み上げがされた。
仕事を終えた佐知子が急いで病院の入口から出ると、交戦の読み上げとは比べ物にならないくらいの人であふれていた。
ぎゅうぎゅうに押し合い、密度も高く、近くの家の屋根の上にのぼっている人たちもいる。そして、広場の外の道まで人があふれていた。
(ここで聞くしかないな……)
病院の入口で立ったまま、佐知子は遠くに見えるお立ち台に立った読み上げ係の人を見つめた。
『第四回戦況報告! 昨日早朝の、第三次交戦の末、両軍とも疲弊し、膠着状態が続いているため、寛大な我が軍の黄長官よりミズィル軍へ停戦交渉の使いを出し、ミズィル軍もこれに同意。昨夜の交渉にて、停戦が決定し、停戦協定が結ばれ、これにて今回の戦は一時停戦!』
その最後の言葉とともに、水を打ったように静まり返っていた広場が一斉にわき、帽子をかぶっていた人は投げ、上着を着ていた人は脱ぎ、回し、花を投げる人や、とにかく大歓声と共にいろいろな物が宙に舞ったりまわったりした。
「…………」
そんな光景を、佐知子は目を丸くしながら見る。
人々は本当に嬉しそうだった。笑顔で横の人と抱き合ったり、跳ねたり、大声を出したり、指笛を鳴らしたり……広場は物凄い大歓声に包まれていた。
(よかった……)
少し他人事のように感じながらも、佐知子もようやっと嬉しくなって、少し涙目になりながら、そんな楽しく、幸せな、にぎやかな空間を、見つめていたのだった。
そして、それと並行して、交戦の知らせも二次、三次と入った。
戦況は一進一退だった。ヨウのいない日々は、看護係の仕事に追われ、つらさ、悲しさを感じる余裕などなかった。
それでもふと、夜、寝る前など、布団の中でヨウのことを思い出す。今、何をしているだろうか、怪我をしていないだろうか……生きているだろうか……しかし、そんな思考は疲労のせいでやってくる眠気に押し流され、いつの間にかいつも眠りに落ちて終わっていた。
そして、四度目の戦時新聞が張り出されると同時に、村は一斉にわいた。
「停戦ですって! 戦、終わったわよー!」
看護部屋にもそんな言葉が飛び込んできた。
「停戦……」
詳しい意味は佐知子には分からなかったが、とりあえず戦が終わったことは佐知子にも分かった。
お湯の入った重い水瓶を抱えたまま佐知子は小さくつぶやいた。そして、胸が高鳴る。戦争が終わった。戦争が終わったのだ! そして軍も帰ってくる。ヨウも帰ってくる!
日没の鐘のあと、読み上げがされた。
仕事を終えた佐知子が急いで病院の入口から出ると、交戦の読み上げとは比べ物にならないくらいの人であふれていた。
ぎゅうぎゅうに押し合い、密度も高く、近くの家の屋根の上にのぼっている人たちもいる。そして、広場の外の道まで人があふれていた。
(ここで聞くしかないな……)
病院の入口で立ったまま、佐知子は遠くに見えるお立ち台に立った読み上げ係の人を見つめた。
『第四回戦況報告! 昨日早朝の、第三次交戦の末、両軍とも疲弊し、膠着状態が続いているため、寛大な我が軍の黄長官よりミズィル軍へ停戦交渉の使いを出し、ミズィル軍もこれに同意。昨夜の交渉にて、停戦が決定し、停戦協定が結ばれ、これにて今回の戦は一時停戦!』
その最後の言葉とともに、水を打ったように静まり返っていた広場が一斉にわき、帽子をかぶっていた人は投げ、上着を着ていた人は脱ぎ、回し、花を投げる人や、とにかく大歓声と共にいろいろな物が宙に舞ったりまわったりした。
「…………」
そんな光景を、佐知子は目を丸くしながら見る。
人々は本当に嬉しそうだった。笑顔で横の人と抱き合ったり、跳ねたり、大声を出したり、指笛を鳴らしたり……広場は物凄い大歓声に包まれていた。
(よかった……)
少し他人事のように感じながらも、佐知子もようやっと嬉しくなって、少し涙目になりながら、そんな楽しく、幸せな、にぎやかな空間を、見つめていたのだった。
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