神様の外交官

山下小枝子

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第二部 第一章

17 藁にも縋る思いで。

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 部屋を飛び出し、手洗いうがいをしドアを開けたはいいが、外の空気に触れてさてどうしようかと佐知子は冷静になる。

(カーシャさんに聞いてみようかな? あ、あとアドルフ先生とか!)

 佐知子はカーシャの診察室へと向かった……するとそこには長い列ができていた。そりゃそうだ。こんな昼間に診察していないほうがおかしい。しかも院長だ。

 じゃあ、アドルフ先生は! と、佐知子は通りかかった看護婦にアドルフ医師の居場所を聞く。

「アドルフ先生は今日はお休みです」

 笑顔で悲しい言葉を伝えられ、打ちひしがれる佐知子。

「……そうですか……ありがとうございます」

 今思えば、その看護婦や受付の看護婦に聞けばいいのだが、焦っていたため思考が回らなかった。

(どうしよう……)

 佐知子はしばらく立ちつくしていたが、しかたないので隔離病棟へ戻ろうとした。

 重い一般病棟の扉を開けると、風が吹いた。いい香りがする。
 香りがしてきた中庭の方を見ると、そこで一人、せっせと庭仕事をする一度だけまともに会い、数度、姿を見かけたことのある、医学部副長官のトトを見つけた。

(……話したことないけど……行くしかない!)

 今は藁にもすがりたい。佐知子はレンガの通路から庭の方へと向かった。
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