華麗なる人脈でハーレムを~アラブの王族はハンパなかった~

のらしろ

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第76話 帰りの機内で

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 怒涛の1週間は過ぎた。
 南国でのバカンスのはずが、俺の青春、キャッキャウフフの1週間のはずが、水着の美女に囲まれた1週間のはずだった俺の夏休みが終わった。

 今の俺は、精神的に異常に疲れて帰りの飛行機の中にいる。
 飛行機の中の自分の席でダレていると、遠くから本当に楽しそうな会話が聞こえてくる。
 この声は梓たちだ。
 俺は何となくその会話に耳を傍立てた。

「しかし、とうとう一緒に遊べなかったね」

「え?
 誰の事」

「直人君よ。
 それはもう梓が楽しみにしていたんだから。
 ね~梓」

「何言っているの。
 そんなことないわよ」

「え~、そうなの。
 あんなに大胆なビキニを買っていたくらいなのに。
 直人君に見てもらいたかったんだよね」

 ビキニだと!
 それも大胆とは、なんという勿体ないことをしたんだ俺は。
 少しの暇を見つけて何故梓たちを観察しに行かなかったのかと非常に後悔した。

 それこそ毎日のように美女を多数、それも全裸で侍らせているお前が何を言っているんだと、お叱りを受けそうだが、それでも見たいものは見たかったのだ。
 しかも、梓たちが水着になっていると分かっていたはずなのに。

 スクミズは何度か学校で見たが、それ以外の水着となると、小学校以来見ていなかった梓の水着姿を見逃したことを今更のように後悔している。
 よほど新たに加わった女性たちの件が、俺には堪えていたんだろうな。
 正直俺に余裕がなかったのは認めるが、それでも惜しいことをした。

「そんなんじゃ無いわよ。
 大学生になったんだから、少しくらい冒険しても良いかなと思っただけだからね。
 直人君には関係ないの」

「本当にそうかな」

「でも、来なかったわよね、直人君」

「でも、良かったじゃないの、大胆な水着を着れて。
 直人君には見せられなかったのは悔やまれるかもしれないけど、日本の海水浴場だったら、それこそダース単位でナンパ男が寄って来るんじゃないかな。
 それこそ乱暴される危険まであったかもしれないわよ。
 他じゃ着れないわよね、あの水着」

「そうよね、梓さん、スタイル良いから。
 羨ましいわね。
 でも、なんで本郷さんは来なかったんだろう。
 本郷さんが誘ってきたんだよね、今回の旅行は」

「本当よね、直人君と会うことができたのって食事の時だけじゃなかったっけ」

 そんな大学生の会話に若手官僚の二人組が加わってきた。

「好美、そんなことくらい考えればすぐにわかるでしょ。
 何のためにあの研究会に入ったのよ」

 榊原好美さんの姉で経産省の役人でもある仁美さんが妹の疑問に答えてきた。

「本郷さんは、仕事できたんだよ。
 あなたたちはいわばおまけね。
 梓さん一人を海外に招待する訳にはいかなかったので、あなたは梓さんのさらにおまけってところかしら」

「お姉ちゃん、おまけは酷~い」

 確かに『おまけ』は酷いな。
 しかし、仁美さんも分かっていないようだな。
 本当の『おまけ』はあなたたち商談組なんだけども。
 本来の目的は、梓をボルネオに招待することで、ついでに開発計画の件があったから海賊興産の人を連れて来た訳だったはずなのに。
 あ、そういえば結局仁美さんは一度も会議には現れなかったな。
 彼女も一応商談組のはずなのだが、ほとんど遊んでいたし、なんだか腹が立ってきた。

「でも、本当に忙しそうにしていたわね、直人君」

「それも、しょうがないかもね。
 だって、本郷さん、今度の開発計画の主体である会社の役員にもなっているのよ。
 尤も学生なので社外役員ですけど。
 あ、ちなみにかおりさんも役員に名を連ねているわね」

「え、会社役員。
 それってどういうことなの」

「あった、これですわね」 と言って藤村さんが自分の携帯を見せて回った。
 そこには、先日記者会見している海賊興産の社長の写った写真と、記事がある。
 記事には海賊興産が、自身の子会社である不動産会社を使って、俺らの投資会社との合弁会社を立ち上げたとあった。
 また、その合弁会社が政府肝いりの城南島開発に総額2千億円規模での開発に名乗りを上げたともあった。

「日本に戻ったら、花村さんや榊さんそれに大木戸さんも出席して記者会見があるわね。
 多分、かおりさんも出席しないといけないかもね」 と仁美さんが言ってくる。

 みんな一応に固まっていた。

「お姉ちゃんが困っていた開発計画だよね。
 あのボルネオショックで一斉に資本が逃げ出したとか言っていた。
 あ、それで今回ボルネオに来たの」

「ちょっと違うかな。
 詳しくは言えないけど、今回の集まりで、海賊興産が立ち上げる開発会社とその出資者の顔合わせかな」 と藤村さんが解説してきた。

「でも、それならなんで私たちが招待されたの」

 尤もな疑問だ。
 しかし、その疑問もニヤニヤした藤村さんがみんなにバラしていた。

「そうですわよね。
 その疑問は尤もよね、梓さん」

「藤村さん、いわないで、お願い」

「梓、何隠しているの」

 観念したか、梓は両手で顔を覆っている。
 それを見た藤村さんが解説してきた。

「それはね、春に梓さんが本郷さんの会社に来た時の事よね。
 会社に美人ばかりが沢山いたから心配になったのかな。
 根掘り葉掘り本郷さんに質問してきて、その時にここボルネオにはもっと多くの女性が居ることを聞いてしまったのよ。
 そうしたら、梓さんが本郷さんに絶対にみんなを紹介してほしいってお願いしたら、本郷さんが簡単に了承したからじゃないかな。
 ちょうど今回の件もあるし、一遍にしてしまえってとこかしらね」

「え、そうなの。
 それで私たちもそのおこぼれに預かった訳か」

「そうなんだ。
 でも、それにしても美人が多かったわよね。
 それもいろんな国の人がいたような」

「それも、スレイマン王国ならではの習慣かな。
 エニス王子殿下も綺麗な人を沢山連れていたでしょ。
 スレイマン王国では、そういう風習があるとだけ理解していればいいわよ。
 それ以上は王国以外の人には判らないことが沢山あるしね」

 そんな感じで、大学生に若手官僚が交わり、さらに楽し気な会話が続く。
 俺は聞き耳を立てたことを後悔している。
 あの楽し気な会話からハブにされた気になって、余計にみじめな気分だ。

 尤も、あの内容では俺には加われない。
 なにせ俺には秘密が沢山あり、それを悟らせてはいけない連中だ。
 藤村さん辺りは薄々気が付いているだろうが、あえてそれを避けてくれている。
 とりあえず感謝の念だけは持っておこう。

 俺はそのまま寝入ってしまった。
 次に気が付いた時には羽田に着いており、また例の部屋に全員で入り入国審査を受けている。
 部屋には日本に残ったうちの連中と、里中さんが出迎えに来てくれた。
 入国審査が終わった後は、外務省のバスで羽根木に向かい、そこで解散となった。
 とにかく梓との約束も終え、ほっとした気分に浸っている。
 そんな俺のところにかおりさんが来て話しかけてきた。

「どうしましたか、直人様。
 お疲れのご様子ですが」

「正直疲れました。
 肉体的には何もしていないのに、今回は精神的に疲れました」

「そうですか。
 大丈夫ですか。
 あの、明日以降ですが、色々とあるのですが、どうしましょうか」

「なに、大丈夫だよ。
 彼女たちの事かな」

 先に返した彼女たちの件も気にはなっている。
 当然治療は始めているはずだ。

「それもありますが、開発計画についても、今回の集まりで、基本の方向性だけは決まりました。
 来週の記者会見までには会社の開発計画の方針だけはきちんとまとめておかなければなりませんので、そういった会議も有りますし、直人様にもご参加していただきたくて」

「大丈夫だよ。
 スケジュールの調整はしてもらえるんでしょ。
 俺はそれに従うよ」

「ありがとうございます。
 明日は、彼女たちに会わないといけませんし、今日はこのままお休みしますか」

「そうだな、報告だけして休ませてもらうよ」

 羽根木で梓たちとあいさつを交わして俺は部屋に向かった。
 部屋には治療中の10人を含め日本にいる全員が待っていた。
 とりあえずボルネオの件を報告しておいて、新たな10人のことについては明日にきちんと説明と紹介をするということで解散させた。

 だんだんと俺の所帯も大きくなってきており、目が行き届きにくくなりつつある。
 俺なんかがTopで大丈夫かと心配にすらなってくる。
 そんな不安を抱えながらベッドに入ると、イレーヌさんとかおりさんが入って来た。
 俺が精神的に疲れているのを察した二人が優しく癒してくれた。
 本当に俺にはできた人たちだ。

 俺は気持ちが良くなったまま明日を迎えた。

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