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第112話 私がんばるから
しおりを挟む「分かりました。
受け入れについては、了承しましょう。
愛人枠という形で構いませんか」
え?
何でアリアさんが勝手に進めているんだ。
「ええ、それで構いません」
「なら、先ほど直人様がご提案した件も一緒にペトロ政府に今回の報酬としてお渡しします。
具体的には城南島にオペラとバレーのための劇場を一緒に運営することでよろしいでしょうか」
「そのことについては正直ありがたく思います。
内容についても外貨が絡みますので本国と相談の上ご返事します。
二人については、このまま置いていきますので愛人として扱ってください」
「ペトロ政府については以上となりますが、コロンビアについても愛人枠ということならお受けします」
「そのことについてですが、先ほど大統領からの指示があり、ブリテン連邦からも一人を愛人として受け入れてほしいとあります。
うちからも2名になり、バランス的にもそうしていただきたく思っております」
「ブリテンからの人については、その人となりが分からなければお返事できませんが、具体的に誰なのか明かしてほしいのですが」
「ええ、私も先ほど命令を受け取ったばかりですので驚きましたが、今回の作戦で医療部門を率いたローラ・ストーン医師です。
先ほど佐々木様の寝ている部屋で直人様はお会いしているはずです。
ブリテンとは同盟関係にあり、今回の件でも協力を貰っておりますから是非にお願いしたい」
「協力ですか」
「ええ、なにせ今回の作戦行動の場所は香港のお隣ですよ。
資材などについて彼らから協力してもらっております。
あ、この件はコロンビアからの依頼ですから直人様には一切の貸し借りは発生しませんのでご安心を」
まあ、話としては分かることだが、いきなり出た話だ。
しかも相手がさっき見た美人医師とはおどろきだ。
いったいコロンビア政府は俺に何を期待しているのか正直分からない。
アリアさんも悩んでいるようだ。
「コロンビアからも、もう一人くらいは出してくるだろうと思っておりましたが、ブリテンからだとは思いませんでした」
「ええ、私も驚いております。
しかし、直人様の傍にペトロ政府の影がある以上ブリテンも接触したかったのでしょう。
正直明かしますと、今回の件で私どもはブリテンに貸しを作ることになりますので、その貸しが本当の意味での直人様からの報酬となると考えております」
「となると、キャサリンよりもローラさんを直人様のお傍に置きたかったと」
「大統領はそのように考えの様です。
私としては、どうしてもキャサリンを直人様にと考えていますがね」
「分かりました。
ローラ様については、もう少し調べさせてください。
問題が無ければ受け入れます」
「なら、うちのキャサリンはすぐにでも大丈夫ですね」
「ええ、そうなります。
サーシャさん達とご一緒となりますが」
「構いません。
以上でうちもこの件を終わらせます」
なんだかとんでもない話になったようだが、要は俺が両国から愛人を受け入れれば良いだけなのか。
考えようによっては、俺は頼みごとをしてご褒美をもらう形にならないか。
いや、どう考えてもご褒美だろう。
どうしてもこの後のことについて疑ってしまう。
しかし、アリアさんは納得しているし、もう任せるしかないな。
どちらにしても俺には決定権が無いしな。
任せるしかないだろう。
俺らを乗せているクルーザーは港湾当局が手配した業者によって補給を済ませ、当局の指示によりマカオから出港して高雄に向かう。
途中、コロンビア海軍から特殊部隊の引き取りのためにヘリが来たが問題なく特殊部隊とマークは一緒に帰っていった。
ペトロから来た男性は彼女たち二人を残して高雄でクルーザーを降りてどこかに消えた。
なので今は、クルーザーにサーシャさん達二人が俺の傍に残る。
梓の父親も意識は戻ったが、まだ起きられるような状況でないので、俺らはそのままクルーザーで日本に向かった。
梓の父親はクルーザーが日本領内に入るころには出歩けるまでに回復してきた。
そのころになると俺は梓の父親に呼ばれ部屋を訪ねた。
色々聞かれたが、アリアさんが問題なく答えてくれたのでひとまずはOKということで。
その後に感謝されたが、それも適当に受け流しておいた。
その後、父親は里中さん達に色々と事情を聴かれるようで俺は部屋から梓と一緒に出た。
「直人君。
本当にありがとう。
何とお礼を言ったらいいか分からないけど、ありがとう」
「ああ、気にするな、梓。
俺も子供の頃には叔父さんに色々と世話になっていたしな」
「でも……
それよりも直人君、大丈夫?」
「何がだ」
「なんだか、とっても疲れているように見えるよ。
いや、絶対に疲れているよ。
目の下にはっきりと隈作っているもん。
最近寝ているの」
そう言えば、ここのところほとんど寝られていない。
急に愛人枠で3人もの美人ができた。
また、現在調査中ではあるがもう一人も待機している。
今まで待たされた影響からか、愛人として受け入れることを了承したその日からキャサリンが俺に部屋に入りびたりだった。
コロンビアへの対抗心からか、サーシャさん達も同様に入りびたりとなり、毎夜毎夜ハッスルしないと寝かせてもらえない状況になっている。
ただでさえ3人もの美人を相手しないといけないのに、そこに明日香さんまでもが参入しているのだ。
「私は日本国政府の代表ですから、しっかり直人様を守ります」 って言いだして、三人を監視するという名目で、毎日俺に部屋に押しかけて来る。
流石に初日は初めての女性を相手しないといけないのが分かっていたのか、遠慮があり混ざることは無かったが、翌日からはしっかり自分も混ざって俺を寝かせてくれない。
起きたら起きたで、コロンビアやペトロへの利害調整をしているので、なかなか寝ることができていない。
こんな生活をしていたら隈が取れる筈も無い。
今は毎朝アリアさんが出してくれるお手製の栄養ドリンクだけが命の絆となっているような。
「ここの処ちょっと忙しくて、睡眠時間が取れていないかな」
「え、ここでも仕事をしているの」
「ああ、でも大丈夫だ。
すぐに落ち着く」
俺はそう言って、梓と別れ自室に戻っていった。
梓はよほど俺のことが心配だったのか、アリアさんや里中さんに俺のことを聞いて回ったようだ。
明日には東京に船が入るという処に来て、俺は梓に呼び出された。
夕日が沈む海上で、豪華クルーザーの甲板には俺と梓しかいない。
ちょっとしたロマンチックな雰囲気の中、梓はかなり思いつめたような表情で俺に向かっている。
何を誰に聞かされたのか分からないが、あまりいい状況でないことだけは俺にも理解できた。
せっかくいい雰囲気の中なので、ちょっとしたロマンスを期待した俺が浅はかだった。
「直人君。
私聞いたの。
直人君が、今回のことでかなり無理をしたって」
「え?
誰から聞いたのか」
「誰でも良いの。
無理したんでしょ」
「ああ、少しばかり無理をしたかな。
あっちこっちに少しばかりの借りができたかな。
今忙しいのもその借りのためだけど、それも直に落ち着くから心配すること無いよ」
俺は、梓が何を掴んでいるかは分からないが、ごまかしきれそうにない雰囲気だったので、差し障りの無い範囲で言葉を濁しながら答えた。
「わ、私も……」
「何……」
「明日香さんや、他の女性たちのように扱って。
直人君の奴隷になる
それしか、直人君に報いることできないから」
「え??
何を言っているんだ」
「だから、アリアさんやかおりさんのように私も扱ってほしいの。
かおりさん達のように仕事はできないけど、一生懸命に覚えるから。
それに……わ、私、経験ないけど……そっちも頑張る」
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