華麗なる人脈でハーレムを~アラブの王族はハンパなかった~

のらしろ

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第111話 救出

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「作戦が無事終了したようです」

「ああ、こちらにも港湾当局からの退去命令が出たことだし、彼らを回収して高雄に帰ろう」

 クルーザーの船長はマカオ港に対して退去の命令を受諾するが燃料の補給を要求している。
 マカオ港の港湾当局も、燃料の補給要請を受け入れてすぐに小型タンカーを寄こしてくる。
 その間に、コロンビアのマーク達は今回救出に動員された特殊部隊をこのクルーザーに回収している。

 そう、あの時海に飛び込んだワンボックスカーに乗っていた人たちを含め、全員が海の底からこの船に上がってきた。
 後部甲板にある海水浴用の出入り口から潜水具を付けたがっちりとした人たちがどんどん上がって来る。

 この人たちが報告のあったコロンビア政府が誇る特殊部隊の人たちのようだ。
 どんどん人が船に上がって来るがその中の一団が寝袋のようなものを抱えて上がってきた。
 それを見たのか、船内から白衣を着た一団が急ぎ足で近づきその寝袋を引き取り、ストレッチャーで運んでいく。

 特殊部隊の責任者だろうか、ひときわ威圧感のある人が俺を見つけて近づいてきた。
 俺の前で敬礼姿勢を取った後、「本郷様ですね、作戦は無事終了しました」と報告してきた。
 いつのまにか俺の横にいたマークが彼に向かってねぎらいの言葉をかけている。
 俺も慌てて、彼らに感謝の言葉を伝えた。

「今回は、私の無理な要請にこたえてくれ大変感謝します。
 あなた方の献身に対して、何かしらのお礼がしたいと思っております」

 俺のお礼に対して彼が答えて来た。

「大統領直々からの指令ですので、お気になさらずに」 ととんでもないことを言いだした。

 俺は顔を青くしながらマークの方を見た。
 するとあいつは憎たらしいことに満面の笑顔で「言ってませんでしたか」だって。
 俺絶対にあいつとは仲良くできない。

「聞いていないよ。
 それよりも彼らのこの後については」

「それこそお気になさらずに。
 十分に距離を取ったら迎えのヘリが来ますので、それに乗せて帰らせますから。 
 それより、無事に目標は連れて来られたようですね」

 目標って、梓の父親のことか。
 まあ、彼らにとっては作戦の目標だろうが、もう少し言い方ってもんがあるだろうに。

「ああ、何か運んでいたな。
 白衣の一団がそれを運んでいったからこの船の病室にでもいるかな」

「そうですか。
 なら後程確認して作戦の終了としますか。
 それよりも、うちの特殊部隊にまで怪我人の手当ての手配をして下さり感謝します」

「あ、それね。
 でも俺は知らないよ。
 もし手当てをしているのなら殿下たちだろうね……って、けが人が出ましたか」

「ハイ、十分に想定の範囲ですが、銃撃で数人撃たれました。
 今病室で応急処置を取ってもらっておりますからご安心ください」

「すみません。
 俺たちのために……」

「それこそ気にしないで下さい。
 こっちは、こっちの思惑で動いていますからね。
 作戦の終了を確認したら、報酬の話をしましょう」

「そうですね。
 梓の父親の無事を確認しましょう」

 俺はマークと一緒にこの船の病室に向かった。
 船内の病室には初めて入ったが、流石に王室専用の大型クルーザーだけあって、設備も下手な病院よりも完備されている。
 奥の手術室で、弾丸の摘出を数名の医師が行っているようで、俺は目を背けた。

「悪いが、目標はどこに」

 マークは忙しくしている看護師の一人を捕まえて聞いていた。
 既にクルーザー内の部屋に連れて行かれたようだった。
 部屋の番号を聞いてから俺らはその部屋に向かった。

 部屋には先客がいた。
 とても綺麗な女性医師と看護師の他に既に梓も里中さんと一緒に連れて来られていたようだった。
 肝心の梓の父親は、ベッドに寝かされている。
 俺を見つけた梓は俺に話しかけて来た。

「お父さん、寝ているだけで大丈夫だって。
 付いてくれているお医者さんが教えてくれた。
 直人君。
 今回は本当にありがとう。
 何とお礼を言えばいいか分からない。
 あとでしっかりお礼をするけど、許してね」

「何を許せばいいんだ、梓。
 俺は、世話になっていたおじさんを助けただけだよ」

 そう言ってから里中さんの方を見た。
 里中さんはとりあえずホッとした顔をしているが俺に何かを言いたそうだった。
 俺は里中さんの意図を察して、外に連れ出した。
 部屋の外で里中さんが俺に言ってきた。

「君には毎回驚かされたが、その中で今回ほど驚いたことは無い。
 しかし、この後どうする気だ。 
 私が見た限り少なくとも5か国は関係しているだろう」

「5か国ですか」

「ああ、日本政府も入るが、コロンビアにペトロ、それにスレイマンとこの船の所有者であるボルネオの5か国だ。
 大した人脈だと言いたいが、それにしても国益に関係しないところでこんな借りを作ってどうする気だ」

「え?
 日本政府にも借りができましたか」

「いや、政府は邦人保護の使命もあるし借りだとは思っていないが、他は違うだろう」

「スレイマンというよりもエニス王子にですが、大きな借りは作りましたね。
 殿下とは事前に話し合っており、殿下の指示があったことは明かしておきます。
 正直ボルネオまで動かしていたことは知りませんでしたが、後で皇太子殿下にでも確認しておきます」

「ああ、できればその結果も教えてくれると助かるが」

「できる範囲でなら」

「ああ、それで構わないが、残りはどうする気だ」

「これから、彼らと相談ですよ。
 だいたいは決まっておりますが」

「だいたい?
 それは何かな」

「ええ、城南島開発の権益で我らが持つ分の一部を渡します」

「え、それはまずくないか」

「大丈夫です。
 本契約の部分でなく、別に開発中のがあるでしょ。
 既にコロンビアに対してミュージカル劇場を共同して運営することで話が付いております。
 あれは借りを返すつもりでしたが、私からの貸しになっていたようです。
 尤もそれだけでは収まらないでしょうが」

「そんなことになっていたか」

 そこまで話していると部屋から出て来たマークに呼ばれた。

「直人君。
 依頼は、完了で良いよね。
 報酬について相談しようか」

「ええ、分かっております。
 私からの依頼についての報酬ですね」

「何を警戒しているかは分かっているが、そんなに構えなくとも良いよ。
 私は、君との関係をもっと強化したいだけだ。
 大統領も私の意向を承認してくれている」

「分かりました。
 では私の部屋に行きましょう。
 あそこにペトロも待たせておりますから」

「え?
 一緒にする気か」

「ええ、その方が両者とも安心できるでしょう」

「分かった」

 俺はマークと一緒に部屋に戻った。
 部屋には既にアリアさんたちがペトロからの代表者のあの男性を連れてきていた。
 事前に何やら話し合っていたようだが、ここからが本番だ。
 両者を席に着かせて話し合った。

「前に話したようにこの案件は私個人からのものです」

「理解しております」

「コロンビアはどうか分かりませんが、スレイマンに対して今回のことでペトロ政府は何かを要求することはありません」

「ありがとうございます。
 では私からの提案ですが、ペトロに対しては私どもが開発中の城南島にいくばくかの権益を譲ることができます」

「それは魅力的なお話ですね。
 でも、今回のことでコロンビアはあなたに提案があるのでしょう。
 私どもも同じことを要求します」

「何で知っている……
 問うまでもないか。
 では先に私からの提案ですが、直人さんにはキャサリンを受け入れてもらいたい。
 コロンビアとより一層のつながりを持つためにどうしても譲れない条件です。
 今回の報酬としてください」

「え、それは以前に御断りを……」

「既に直人さんは日本国政府から受け入れているではありませんか」

「う……分かりました」

「我らとしては、既に直人様とは面識のあるサーシャとナターシャの姉妹を受け入れてください。
 人数については日本と同じはずですが」

 そこまで分かっているのか。
 いったいこいつらはどこまで俺のことを嗅ぎまわっているのだ。
 俺はアリアさんを見た。


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