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第五章 プレアデス領国
第91話 謎の船団
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外に出てから、すぐ近くで土木作業をしていたドワーフの一人を捕まえて、先の話を少し伝えてみた。
「ああ、すこしいいか」
「え、あ、守様。
私に何を」
「ああ、今何をしているのかな」
「ええ、ここと次の浜との間の道を整備しておりましたが、大方の土木作業は終えましたので、他の現場に移る片付けをしておりました」
現場で作業をしているドワーフに直接状況を聞いたが、俺の考えていた以上に作業の方は順調のようだった。
二三立ち話をしていると、遠くから俺の方に向かって走ってくる兵士が見えた。
兵士の表情が硬い。
まあ、走っているので苦しくはあるのだろうが、それでもいい知らせの筈は無い。
十分に近づいてきたらと言っても目の前で報告するような距離でもないが、それでも走りながら大声で俺に報告をしてきた。
「向こうの浜ですが、船が近づいてきています」
……俺は固まった。
天使族の件がとりあえず片付いたというか方針を決めて俺の手から離れたと安心していた矢先だ。
俺たちに接触してくる勢力があるという知らせのようだ。
ケリーがいつも間にか俺の横に来ており、兵士が俺たちの元に来るまで待ってから、兵士に問いただす。
「どこから来たかわかるか」
「いえ、まだ十分に距離がありましたから。
船の帆くらいしか見えてないそうです」
「国旗が分からないか……守様」
ケリーは俺に対応を求める。
「ああ、わかった。
ケリー、悪いがダーナやフランに知らせてくれ。
それと、巡視艇を動かせるように騎士たちを集めてくれ」
俺は巡視艇で近くまで行くことをその場で決めた。
先の聞いた話では、所属がわかるまででも少なくとも数時間は掛かりそうだという。
ならばこちらから近づいて調べる方が良さそうだ。
最悪、その場で沈めても良い。
まあ、そこまで物騒なことを考えなくとも大丈夫そうだが、そんな事を考えているとすぐにフランが俺のもとにやってきた。
風呂を途中で切り上げたようで 髪がまだ濡れている。
「守様。
船が近づいていると聞きましたが」
「フランか。
ああ、俺も今そのように聞いたばかりだ」
「どこの船か判りますか」
「報告では、まだ帆しか見えていないそうだ」
「では……」
「これから俺達は巡視艇で近くまで行こうと思う。
それから判断していいだろう」
「危険では……」
「問題ない。
近くと言っても、攻撃できそうな傍まで行かないよ。
それよりも、その後については……無線をいれるからフランはここで待機してほしい。
俺達と合流したばかりの天使族もここに居ることだし」
「ええ、天使族にとって、我々人間はある意味危険な存在ですしね」
サーシャのときにも聞いた話だが、見目麗しい種族は、とにかく奴隷狩りに合う危険性が高く、奴隷にされた後の扱いも相当ひどい状況だとか。
エルフ族も今では相当珍しい種族に当たるらしく、種族単位では人間に隠れて生活していると聞いている。
人間社会で生まれたエルフも多数いるので、全く街で暮らす人間がエルフを見ないことはなく、魔法使い等のある意味特殊職業などには多くいるが、先にも聞いたが天使族は別だ。
族滅していると思われていたとか。
それだけに、ここに向かってきている船の目的が気になる。
まあ、以前に助けたフランの同郷の者たちの関係者ならば、そろそろここにアクセスが有ってもいい時期なだけに、その可能性も捨てきれない。
とにかく今は、所属と目的を幹分けることが重要だ。
俺のもとにケリーの部下が集まってきたので、俺達はそのまま巡視艇に向かった。
すぐに船を動かして、近づいてくる船を探す。
と言っても、船を動かし、湾から出たらレーダー画面上にしっかりと反応を捉えている。
しかも、複数だ。
レーダー上では3つの影が見えるので、多分ここに近づいてくるのは三隻の船団だと判断して良さそうだ。
船団となると、少々物騒な気がする。
今まで俺が見たこの世界の船はダーナたちを除くと皆単独で走らせているものばかりだった。
尤も、海賊船のようなものばかりだったこともあるので、そうなるのだろうが、三隻ともなると軍ならば戦隊になる。
戦隊で行動しているならば艦長の他に提督のような存在が同行していることになるが、この世界での提督の存在って、どれくらいのステータスがあるのだろうか。
ケリーにそれとなく聞いても、国によって違うそうだが、少なくともどの国でも貴族階級にはなるそうだ。
今は相手の特定が先か。
俺はいつものごとく、ドローンを飛ばすために船団に近づいていった。
「守様。
どれくらい近くによりますか」
「ドローンを使うのに少し心配にはなるが4Kmくらいは距離を取りたい。
静かに近づけるか」
「ええ、任せてください」
見通しが聞く洋上でも4kmもあればまず見つからないだろう。
見張り台からならば見えなくもないが、もともと俺達が乗る巡視艇はこの世界の船の格好とは似ても似つかない形状だ。
せいぜいあちらから見えるとするならば、俺達のマストくらいだろうか。
帆船の帆もなければ、この船のメインマスト?というか、レーダー取り付けマストくらいならばまず気が付かないだろう。
「守様。
位置につきました」
「ああ、ならばこの位置を維持してくれ」
「あの船団の速度に合わせるのですね。
少々我々の技術では難しいですが、やってみます」
そりゃそうだ。
ケリーたちに操船を任せるようになってはいるが、今まで巡航速度くらいしか操船していないところで、いきなり帆船に合わせた速度を維持しろと命じたのだ。
難しいのは当たり前だ。
低速としての基準速度とも違うので、低速と、スクリュー停止などを使い速度を合わせていくしか無い。
俺でも長くはやりたい操船ではないな。
まあ、多少近づいても4kmもあれば問題は出ないだろう。
「ああ、すこしいいか」
「え、あ、守様。
私に何を」
「ああ、今何をしているのかな」
「ええ、ここと次の浜との間の道を整備しておりましたが、大方の土木作業は終えましたので、他の現場に移る片付けをしておりました」
現場で作業をしているドワーフに直接状況を聞いたが、俺の考えていた以上に作業の方は順調のようだった。
二三立ち話をしていると、遠くから俺の方に向かって走ってくる兵士が見えた。
兵士の表情が硬い。
まあ、走っているので苦しくはあるのだろうが、それでもいい知らせの筈は無い。
十分に近づいてきたらと言っても目の前で報告するような距離でもないが、それでも走りながら大声で俺に報告をしてきた。
「向こうの浜ですが、船が近づいてきています」
……俺は固まった。
天使族の件がとりあえず片付いたというか方針を決めて俺の手から離れたと安心していた矢先だ。
俺たちに接触してくる勢力があるという知らせのようだ。
ケリーがいつも間にか俺の横に来ており、兵士が俺たちの元に来るまで待ってから、兵士に問いただす。
「どこから来たかわかるか」
「いえ、まだ十分に距離がありましたから。
船の帆くらいしか見えてないそうです」
「国旗が分からないか……守様」
ケリーは俺に対応を求める。
「ああ、わかった。
ケリー、悪いがダーナやフランに知らせてくれ。
それと、巡視艇を動かせるように騎士たちを集めてくれ」
俺は巡視艇で近くまで行くことをその場で決めた。
先の聞いた話では、所属がわかるまででも少なくとも数時間は掛かりそうだという。
ならばこちらから近づいて調べる方が良さそうだ。
最悪、その場で沈めても良い。
まあ、そこまで物騒なことを考えなくとも大丈夫そうだが、そんな事を考えているとすぐにフランが俺のもとにやってきた。
風呂を途中で切り上げたようで 髪がまだ濡れている。
「守様。
船が近づいていると聞きましたが」
「フランか。
ああ、俺も今そのように聞いたばかりだ」
「どこの船か判りますか」
「報告では、まだ帆しか見えていないそうだ」
「では……」
「これから俺達は巡視艇で近くまで行こうと思う。
それから判断していいだろう」
「危険では……」
「問題ない。
近くと言っても、攻撃できそうな傍まで行かないよ。
それよりも、その後については……無線をいれるからフランはここで待機してほしい。
俺達と合流したばかりの天使族もここに居ることだし」
「ええ、天使族にとって、我々人間はある意味危険な存在ですしね」
サーシャのときにも聞いた話だが、見目麗しい種族は、とにかく奴隷狩りに合う危険性が高く、奴隷にされた後の扱いも相当ひどい状況だとか。
エルフ族も今では相当珍しい種族に当たるらしく、種族単位では人間に隠れて生活していると聞いている。
人間社会で生まれたエルフも多数いるので、全く街で暮らす人間がエルフを見ないことはなく、魔法使い等のある意味特殊職業などには多くいるが、先にも聞いたが天使族は別だ。
族滅していると思われていたとか。
それだけに、ここに向かってきている船の目的が気になる。
まあ、以前に助けたフランの同郷の者たちの関係者ならば、そろそろここにアクセスが有ってもいい時期なだけに、その可能性も捨てきれない。
とにかく今は、所属と目的を幹分けることが重要だ。
俺のもとにケリーの部下が集まってきたので、俺達はそのまま巡視艇に向かった。
すぐに船を動かして、近づいてくる船を探す。
と言っても、船を動かし、湾から出たらレーダー画面上にしっかりと反応を捉えている。
しかも、複数だ。
レーダー上では3つの影が見えるので、多分ここに近づいてくるのは三隻の船団だと判断して良さそうだ。
船団となると、少々物騒な気がする。
今まで俺が見たこの世界の船はダーナたちを除くと皆単独で走らせているものばかりだった。
尤も、海賊船のようなものばかりだったこともあるので、そうなるのだろうが、三隻ともなると軍ならば戦隊になる。
戦隊で行動しているならば艦長の他に提督のような存在が同行していることになるが、この世界での提督の存在って、どれくらいのステータスがあるのだろうか。
ケリーにそれとなく聞いても、国によって違うそうだが、少なくともどの国でも貴族階級にはなるそうだ。
今は相手の特定が先か。
俺はいつものごとく、ドローンを飛ばすために船団に近づいていった。
「守様。
どれくらい近くによりますか」
「ドローンを使うのに少し心配にはなるが4Kmくらいは距離を取りたい。
静かに近づけるか」
「ええ、任せてください」
見通しが聞く洋上でも4kmもあればまず見つからないだろう。
見張り台からならば見えなくもないが、もともと俺達が乗る巡視艇はこの世界の船の格好とは似ても似つかない形状だ。
せいぜいあちらから見えるとするならば、俺達のマストくらいだろうか。
帆船の帆もなければ、この船のメインマスト?というか、レーダー取り付けマストくらいならばまず気が付かないだろう。
「守様。
位置につきました」
「ああ、ならばこの位置を維持してくれ」
「あの船団の速度に合わせるのですね。
少々我々の技術では難しいですが、やってみます」
そりゃそうだ。
ケリーたちに操船を任せるようになってはいるが、今まで巡航速度くらいしか操船していないところで、いきなり帆船に合わせた速度を維持しろと命じたのだ。
難しいのは当たり前だ。
低速としての基準速度とも違うので、低速と、スクリュー停止などを使い速度を合わせていくしか無い。
俺でも長くはやりたい操船ではないな。
まあ、多少近づいても4kmもあれば問題は出ないだろう。
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