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迷宮都市編
31.ギルドマスターに呼ばれて。お礼と避難
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俺はギルドマスターに呼ばれてイーストの二階へ向かった。
イーストの二階は関係者以外立ち入り禁止のようで、一階のように酒臭くも、ボロボロでもなく、小綺麗な風景だった。
俺は奥のギルドマスターのいるらしい部屋に向かって歩いて行った。
部屋の扉の前まで行くと、俺の歩く音に気づいたのかギルドマスターのスラップさんが扉をあけて招いてくれた。
「失礼します」
俺はそう言って、中へ入った。
部屋に入ると部屋の奥に大きなデスクがあり、高そうな紙やボロボロな紙が山積みになっていた。
その手前に、不自然なようにソファーとソファーの高さに合わせられた机が置いてあった。
「坊主、昨日ぶりだな!はっは!!
俺は昨日避難やら救助やらした後ギルドに戻ると人がたくさんいてよ!寝てないぜ!!!!はっは!!」
スラップさんは俺が意気消沈している間に色々なことをしていたらしい。
昨日は50万の魔物と戦っていたのに、すごい人だ。
俺なんて人を殺したあと何もできなかったというのに。
「えっと、おはようございます。大丈夫ですか?寝てなくて」
ひとまず挨拶をした。
「まあ、余裕ではないが、冒険者で旅をする時に三日寝れないなんてことふつうにあるからな!これぐらいは大丈夫だ!
それより坊主は大丈夫か?シリルから聞いたが、魔物を大量に片付けて、暴走した金級冒険者を倒して来たんだろ?
大分疲れてんじゃねえか?顔色も昨日よりも悪いぞ?」
「まあ、多少疲れていますが、昨日は休んだので大丈夫です」
「んー…そうか!まあ、大丈夫ならいいんだ!
それでだな、坊主を呼び出したのは、昨日の事の報告を聞きたいのと、俺らイーストからお礼がしたいって訳だ。
まぁ、長い話になるだろうし、そこのソファに座ってくれ!その為に用意したんだ!」
「失礼します」
といってソファにかけた。
そこで俺は昨日のスタンピードで見た魔物や、ゴルアルについて話した。精霊については伏せて、魔女の事なども話した。
「んー…呪いかぁ。にわかに信じられんが、一週間前坊主が施したイーストの奴らの訓練を見ると、そんな理不尽な力があってもおかしくないように思える。
しかし、なんでアムリス帝国の魔女様が迷宮都市に来たんだ?たしかに近々レノスとアムリスが戦争をするっつうのは結構な噂にはなってるが、冒険者の国を狙っても意味はねぇと思うんだがなぁ」
スラップさんは顎に手をやりながら考えるように言った。
たしかに、この都市に来る意味はなんだ?スタンピードと魔女は、関係あるのか?
いや、それはあまり考えられないな。
あれ程の力を持った魔物を簡単に呼び寄せられるのならレノスはもう亡くなっている。
じゃあ、あのスタンピードはなんだったんだ?
何か別の…
「おーい、坊主?大丈夫かー?」
「え、あ、はい。ちょっと考えこんじゃって」
頭の中で考えこんでいて黙ってしまった。
「まあ、そんな考え込んでても、わかんねぇもんはわかんねぇんだ!
俺なんて、セントラルとの問題もまだ控えてやがるからな!仕事だらけでぐちゃぐちゃだぜ!はっは!!」
スラップさんを見ていて、すごいなぁと思った。
こんな前向きに考えられて。
それからしばらくスラップさんの苦労話をマシンガンのように聞かされた。
「おっと!そうだった!話し込んでて忘れてたが、坊主にお礼をするんだった!!」
スラップさんは思い出したように俺に言ってきた。
「お礼ですか??」
「そう!お礼だ!坊主はまだたしか十四だったろ?そんで冒険者見習いって聞いてな!俺の権限で銀級冒険者にしようって話だ!うちには金もねぇし、信用もねぇからこれくらいしかできないがどうだろうか?」
まじか、そんなことしていいのか。
「それは大丈夫なんですか?勝手にそういう感じにあげちゃって」
いくらギルドマスターでもそんなことして大丈夫なの?国の決まりじゃないの?
俺が疑うような目で見ているとスラップさんが笑顔で答えた。
「何を思っているか知らんが、問題ないぞ!銀級にするくらい!もともと見習いになる制度は冒険者の死亡率を下げる為のもんだしな!坊主くらい強ければ金級だって余裕だぞ!はっは!」
えぇ。なにそれぇ。
「で、でも成人になるまで見習いから上がれないって決まりはどうしたんですか?」
「坊主。お前は遊びで十分前に集合場所に来ていた奴に『なんで十分前に来てんだ!ふざけるな!』なんて言わないだろ?そういうことだ!!!!」
的を射ているようで全く射ていない気がする。なぜスラップさんはそんなに胸を張って、言ってやったぜ!みたいな顔で居られるんだろう。
この人と話してると落ち込んでいられないと感じさせられるな。
「そうなんですね」
「そうだ!だから坊主を銀級にする!」
「わかりました。銀級になりましょう」
俺がそう言うと、スラップさんはガッツポーズをして喜んでいた。
「これで銀級が三人増えたぞ!はっは!!」
ん?
「三人?」
「おう!アシルとサニアと坊主だ!!イーストも安泰だな!!」
まあ、俺が上がるのだしサニー達もそりゃああがるか。
そう思っているとスラップさんが続けて言ってきた。
「まあ、お礼はそういうことだ!最後に俺からのアドバイスがある」
「アドバイスですか?」
なんだろう。
「スタンピードが終わって魔物の出現が安定化する。おそらく、セントラルとイーストがごたつくから、坊主達は迷宮にこもってたほうがいいぞ。余計なことに巻き込まれると思うからな」
え、?
「篭るですか?」
「そうだな…大体3ヶ月くらいか?そのくらいで片付くと思うが」
「ちょ、ちょっと待ってください!迷宮に篭るのはいいですけど、それって俺たち関係あるんですか?」
「いや!大アリだぞ!あんだけスタンピードの前で活躍されたら、いい方でも悪い方でもセントラルやら何やらに目つけられてるからな!迷宮に入るか、ラビから出た方がいい!
といっても坊主よりあのエルフ家族の方が目立っているけどな」
スラップさんは、必死な形相でそう説明してきた。
たしかに、あれだけ活躍をしたシリルさん達を仲間にできればセントラルの象徴になる。しかもエルフで美しい。
その反面イースト側につかれるとセントラル側が不利になるって訳か。
「状況はなんとなくわかりました。迷宮に篭ること相談してきます」
「わかった」
そんな感じで俺はギルドマスターの部屋から出た。
イーストの二階は関係者以外立ち入り禁止のようで、一階のように酒臭くも、ボロボロでもなく、小綺麗な風景だった。
俺は奥のギルドマスターのいるらしい部屋に向かって歩いて行った。
部屋の扉の前まで行くと、俺の歩く音に気づいたのかギルドマスターのスラップさんが扉をあけて招いてくれた。
「失礼します」
俺はそう言って、中へ入った。
部屋に入ると部屋の奥に大きなデスクがあり、高そうな紙やボロボロな紙が山積みになっていた。
その手前に、不自然なようにソファーとソファーの高さに合わせられた机が置いてあった。
「坊主、昨日ぶりだな!はっは!!
俺は昨日避難やら救助やらした後ギルドに戻ると人がたくさんいてよ!寝てないぜ!!!!はっは!!」
スラップさんは俺が意気消沈している間に色々なことをしていたらしい。
昨日は50万の魔物と戦っていたのに、すごい人だ。
俺なんて人を殺したあと何もできなかったというのに。
「えっと、おはようございます。大丈夫ですか?寝てなくて」
ひとまず挨拶をした。
「まあ、余裕ではないが、冒険者で旅をする時に三日寝れないなんてことふつうにあるからな!これぐらいは大丈夫だ!
それより坊主は大丈夫か?シリルから聞いたが、魔物を大量に片付けて、暴走した金級冒険者を倒して来たんだろ?
大分疲れてんじゃねえか?顔色も昨日よりも悪いぞ?」
「まあ、多少疲れていますが、昨日は休んだので大丈夫です」
「んー…そうか!まあ、大丈夫ならいいんだ!
それでだな、坊主を呼び出したのは、昨日の事の報告を聞きたいのと、俺らイーストからお礼がしたいって訳だ。
まぁ、長い話になるだろうし、そこのソファに座ってくれ!その為に用意したんだ!」
「失礼します」
といってソファにかけた。
そこで俺は昨日のスタンピードで見た魔物や、ゴルアルについて話した。精霊については伏せて、魔女の事なども話した。
「んー…呪いかぁ。にわかに信じられんが、一週間前坊主が施したイーストの奴らの訓練を見ると、そんな理不尽な力があってもおかしくないように思える。
しかし、なんでアムリス帝国の魔女様が迷宮都市に来たんだ?たしかに近々レノスとアムリスが戦争をするっつうのは結構な噂にはなってるが、冒険者の国を狙っても意味はねぇと思うんだがなぁ」
スラップさんは顎に手をやりながら考えるように言った。
たしかに、この都市に来る意味はなんだ?スタンピードと魔女は、関係あるのか?
いや、それはあまり考えられないな。
あれ程の力を持った魔物を簡単に呼び寄せられるのならレノスはもう亡くなっている。
じゃあ、あのスタンピードはなんだったんだ?
何か別の…
「おーい、坊主?大丈夫かー?」
「え、あ、はい。ちょっと考えこんじゃって」
頭の中で考えこんでいて黙ってしまった。
「まあ、そんな考え込んでても、わかんねぇもんはわかんねぇんだ!
俺なんて、セントラルとの問題もまだ控えてやがるからな!仕事だらけでぐちゃぐちゃだぜ!はっは!!」
スラップさんを見ていて、すごいなぁと思った。
こんな前向きに考えられて。
それからしばらくスラップさんの苦労話をマシンガンのように聞かされた。
「おっと!そうだった!話し込んでて忘れてたが、坊主にお礼をするんだった!!」
スラップさんは思い出したように俺に言ってきた。
「お礼ですか??」
「そう!お礼だ!坊主はまだたしか十四だったろ?そんで冒険者見習いって聞いてな!俺の権限で銀級冒険者にしようって話だ!うちには金もねぇし、信用もねぇからこれくらいしかできないがどうだろうか?」
まじか、そんなことしていいのか。
「それは大丈夫なんですか?勝手にそういう感じにあげちゃって」
いくらギルドマスターでもそんなことして大丈夫なの?国の決まりじゃないの?
俺が疑うような目で見ているとスラップさんが笑顔で答えた。
「何を思っているか知らんが、問題ないぞ!銀級にするくらい!もともと見習いになる制度は冒険者の死亡率を下げる為のもんだしな!坊主くらい強ければ金級だって余裕だぞ!はっは!」
えぇ。なにそれぇ。
「で、でも成人になるまで見習いから上がれないって決まりはどうしたんですか?」
「坊主。お前は遊びで十分前に集合場所に来ていた奴に『なんで十分前に来てんだ!ふざけるな!』なんて言わないだろ?そういうことだ!!!!」
的を射ているようで全く射ていない気がする。なぜスラップさんはそんなに胸を張って、言ってやったぜ!みたいな顔で居られるんだろう。
この人と話してると落ち込んでいられないと感じさせられるな。
「そうなんですね」
「そうだ!だから坊主を銀級にする!」
「わかりました。銀級になりましょう」
俺がそう言うと、スラップさんはガッツポーズをして喜んでいた。
「これで銀級が三人増えたぞ!はっは!!」
ん?
「三人?」
「おう!アシルとサニアと坊主だ!!イーストも安泰だな!!」
まあ、俺が上がるのだしサニー達もそりゃああがるか。
そう思っているとスラップさんが続けて言ってきた。
「まあ、お礼はそういうことだ!最後に俺からのアドバイスがある」
「アドバイスですか?」
なんだろう。
「スタンピードが終わって魔物の出現が安定化する。おそらく、セントラルとイーストがごたつくから、坊主達は迷宮にこもってたほうがいいぞ。余計なことに巻き込まれると思うからな」
え、?
「篭るですか?」
「そうだな…大体3ヶ月くらいか?そのくらいで片付くと思うが」
「ちょ、ちょっと待ってください!迷宮に篭るのはいいですけど、それって俺たち関係あるんですか?」
「いや!大アリだぞ!あんだけスタンピードの前で活躍されたら、いい方でも悪い方でもセントラルやら何やらに目つけられてるからな!迷宮に入るか、ラビから出た方がいい!
といっても坊主よりあのエルフ家族の方が目立っているけどな」
スラップさんは、必死な形相でそう説明してきた。
たしかに、あれだけ活躍をしたシリルさん達を仲間にできればセントラルの象徴になる。しかもエルフで美しい。
その反面イースト側につかれるとセントラル側が不利になるって訳か。
「状況はなんとなくわかりました。迷宮に篭ること相談してきます」
「わかった」
そんな感じで俺はギルドマスターの部屋から出た。
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