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勇者召喚編

4.乙女のステータス。これはどうなのだろうか

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 「す、『ステータス』」


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【ナツメ ハチジョウ】・Lv.1

人族・女・16

Str:E

Dex:C

Vit:D

Agi:C

Int:S

Mnd:C

〈属性〉

 水:Lv.--

〈スキル〉

[限界突破][魔力増加:Lv.1][瞬間記憶][アイテムボックス:Lv.1][料理:Lv.6][歌唱:Lv.4][演技:Lv.5]

〈称号〉
“異世界人” “※※※の権能” “※※※の権能”


________________________________________________________


 ブォーン


「うわぁ!!」

 透明の板が出てきて思わず声が出てしまった。

 板には私の情報が書いてあり、触ろうとしても触れなかった。


 ステータスを見ているとなんだかゲームをしているように思えてくる。

 私はボクモン以外のゲームはあまりプレイしないがステータスの事はなんとなくわかる。

 Strは力、Dexは器用さ、Vitは頑丈さ、Agiは素早さ、Intは賢さ、Mndは精神力

 というような感じだった気がする。

 これは強いのかな?

 私だけ見ても全然わからない。それでもInt:Sというのは強そうな気がする…なんとなく。

 自分の身体能力の下には〈属性〉という欄がある。

 おそらく、魔法の事だろう。

 魔法なんて一度も使った事ないのになんで既に水属性が使えるようになっているんだろう。
 しかもLv.--って何?わかんないならLv.なんて書かなければいいのに。

 〈属性〉の下には〈スキル〉という欄があった。

 クリントン曰く異世界人は、スキルがこの世界の人間よりも優れたものを持っているらしい。

 このスキルが今後生きていく上での生命線になる気がする。意味がわからないスキルもあるけどこれからわかるようになっていくしかない。

 そして私が一番気になっているのは〈スキル〉の下の欄〈称号〉だ。

 異世界人というのはこの世界とは別の世界から来たという意味だと思う。

 だがその隣にある2つ。※※※の権能と※※※の権能だ。

 ※※※の権能って何!!!※※※って何!!ていうか※※※ってなんて書いてあるの!読めない!

 ものすごく気になる。だがこれ以上考えても絶対にわからないだろうと思い諦めた。


 自分のステータスを確認した後、どうやって閉じれば良いのだろうと思い。
 頭の中で閉じろと念じるとステータスを消すことができた。

 出すときは声で。閉じるときは頭で念じればいいようだ。

 見るものもなくなったので、辺りを見回す。

 すると、何人かの生徒が虚空を眺めてニヤニヤしたり、首を傾げたりしているのがうかがえた。

 ステータスは自分以外には見えないようで、外から見るとおかしい人にしか見えない。

 私がさっき称号のことでブンブンと怒っていたのは周りに見られてしまったのだろうか。
 そう考えてしまうと、顔が熱くなるのがわかった。

 人前でステータス見るのはやめよう…




 一通りみんながステータスを確認した頃に皇帝が喋り出した。

「皆自分の力量を把握できただろう。では、我々に協力するかどうか聞かせてくれ」

 皇帝が私達に問う。

 答えは協力すると答えるしかないと思う。

 別にこの国の言葉を鵜呑みにするわけでは無い。
 ただ、右も左もわからない状態で外へ出るのはあまりにも危険すぎるからだ。

 もしも、クリントンが言っていたことが全て真っ赤な嘘でこの国の外はとても平和だとしても。
 私達にはそれを知るすべはない。

 yes or yesの選択を強いられても答えはyesなのだから気に触る。

 そんなことを考えていると、私達を代表して、先生が一歩前に出て答える。

「わかりました。協力しま「ちょっと待った!」しょ?」

 先生の発言が1人の生徒によって遮られた。

 私はその声の主の方へ顔を向ける。


 上村くんだ。

 
 話を遮った上村くんは私達のところからズンズンと先生のところまで進み皇帝の方を向いた。

「協力を承諾する前に一つ大事なことを聞きたいのですが!」

「大事な事?…申してみよ」

「はい、俺は…俺たちは元の世界に帰ることが出来るのでしょうか?」

 上村くんは不安な表情で皇帝陛下を見ている。

『元の世界へ帰れるか』

 この質問は今後の私たちにとって、とても重要な事だった。
 帰ることが可能ならば帰りたい。
 帰る方法があるならばその方法をするための準備だってしなければならない。

 だがその答えはあまりにも無情な答えだった。

 皇帝に質問した上村くんだったが質問に答えたのはクリントンだった。

「帰れない。この世界に召喚させたのはワシらではなく神だ。ワシらがどうこうできる問題ではない」

 クリントンの答えに薄く抱いた希望も砂の城のように簡単に崩れ落ちた。
 

 上村くんは「…そうですか」と沈痛な面持ちでこちらの方へとぼとぼと戻ってきた。

「他の質問は後にしてくれ。まずは協力するかどうかを聞かせてほしい」

 私達の気持など無視するかのように皇帝は再び問う。

 今度は誰も遮ることなく先生がこの問いに承諾すると答えた。


「我々に協力すると言った以上、貴様らは我らが保護する事となった。
 保護するにあたって貴様らを自衛ができる程度には鍛えてやるつもりだ。
 だが、スキルによって鍛え方が変わってくるのだ。
 そこで我らに今持っているスキルを全て教えろ」


 皇帝はそう言った。

 どうやら、スキルを教えないといけないみたいだ。

 スキルは今後生きていく上での生命線だ。
 
 それを教えるのはどうなのだろうか。

 弱点を知られることにつながるのではないだろうか。

 と考えてしまう。

 だが逆らう訳にもいかない。


 私達は結局、今持っているスキルを皇帝の前で言うことになった。


 クラスのみんながそれを承諾すると今いる部屋に、赤い石を持った兵士が入ってきた。

「スキルの報告はこの石に触れながら報告してくれ」

 皇帝がそう言い終えると、兵士たちが私達を整列させる。

 一人ずつスキルを聞いてメモを取っていくスタイルみたいだ。

 私や秋、上村くん達は端っこの方にいたので最後の方になってしまった。

 兵士が生徒のスキルを聞いてメモを取っていく。ただそれの繰り返しだった。

 度々石が赤く光る以外は普通だった。


 その繰り返しは私の6つ程前で異変が起きた、兵士が突然叫び出したからだ。

「精霊眼もちだと!?それに加えて聖気も!?」

 どうやら精霊眼と聖気というスキルはすごい貴重なスキルのようだ。

 そのスキルを持っていた人が必然的に気になってしまう。
 私は列からはみ出てチラッと様子を見ると、その人の正体は蓬莱院さんだった。すごい納得できる自分がいる。

 それからは特段変なことはなく進んでいって次が私の番に差しかかろうとしていた。

 兵士と前の男子が話す。

 しばらくすると石が赤く光る。

 すると兵士はジロリと男子を睨んで何かまた話す。

 男子はそれに焦ったようにペコペコしながら何か話していた。

 少し離れているので会話の内容は全く分からなかったが。
 男子の何かがあの石を光らせて、光った石の反応を見て兵士は怒ったようだった。

 すぐにあの石が光る理由はわかった。

 あの石は私が並んでいるときにも度々光っていた。

 みんな考えることは同じなんだね。


 問題はソレをどう切り抜けるかだよね。


 そんなことを考えていると前の男子も終わったようで、私が石の前まで連れてこられた。

 



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