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第24話 僕と彼女の誤解解消
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黒柳の言葉に僕を含めたクラスのみんなが、教室の入り口を見ると、ドアが開いて、背の高いボーイッシュな女性が入ってきた。
「英里! いつからそこにいたの?」
下を向いている武田に長年の友人が問いかけたが、彼女はその問いには答えず、ぽつりと言った。
「ひどいよ」
「大丈夫だ、英里子。俺がこんな卑怯者からお前を守ってやるから」
相原に糾弾の役を奪われた高橋が、ここぞとばかりに武田に近づいた。誰がこの騒動の中心人物か。誰がヒーローであるかを強調するかのように。
「ボクはみんなに言ってるんだよ。なんでこんなにひどい事が出来るんだ。恥ずかしくないの!?」
「だから、これはお前を守る為で――」
彼女の言葉に、高橋は少し焦り気味で言い訳をしようとした。その言葉を遮るように続けた。
「何が、ボクを守る、だよ! 菊池君が説明したじゃないか。日曜日に出かけたのは、ボクから誘ったんだよ! 一度断られたのを、お礼だと理由を付けて、強引にデートに誘ったのはボクの方なんだよ! それなのに何を勘違いしたのか、彼をイジメるなんて、みんなおかしいよ」
彼女は顔を上げて、高橋を、クラスのみんなを睨みつけるように叫んだ。
その迫力に気圧されながら、高橋はもごもごと言った。
「だって、お前はあいつに脅されて……」
「誰がそんな事言ったのさ。誰がそんな事を言い始めたのさ」
「え、だって……」
高橋がしどろもどろしていると、誰かが言った。
「高橋が、武田が菊池に脅されて困ってるって言ったから……なあ、高橋が言い始めたんだよな」
「俺達、高橋に騙されたのか?」
「高橋が嫉妬して、嘘を吐いていたのか?」
それからみんなは、高橋が言い始めたと証言し始めた。状況からして、そうだろうと想像はしていたが、やはり高橋が僕の言葉を曲解してみんなに言いふらしたのだろう。
しかし、先ほどまで自分を標的にしていたクラスメートが、一斉に高橋に罪をなすりつけているような光景に僕は気分が悪くなった。
そして、みんなが高橋に文句を言っている中、相原は武田に尋ねた。
「ねえ、英里。なんで、わたしに相談にてくれなかったの?」
「ごめん。でも、なんだか僕が弱音を吐くと、みんなのイメージが崩れるかも知れないかと思うと、なんとなく」
「確かにそうかも……でも、それでも、わたしには相談して欲しかったな。親友じゃない」
「うん、そうだね。今度から、なにかあれば愛に相談するから」
武田のその言葉に、相原は納得したようだった。
しかし、相原には先ほどの武田の言葉に一つの疑問が、胸に突き刺さっていた。
「ねえ、英里。さっき、デートって言った? それってどういう意味?」
「言葉のままだけど」
「デートに行ったって言うことは、二人は付き合ってるの?」
「付き合って……いや、そうじゃない。まだ……」
「……分かった。詳しくは後で聞く」
言われた相原はまだ心の整理がついていないが、とりあえずおとなしくその場を引いた。そして、高橋の虚言だと分かったクラスのみんなから謝罪を受け、落書きされた机は、高橋の机と交換されたころ、担任が教室に入ってきた。高橋の机の落書きを見て、特に気にすることなく、教壇に着いた
「なんだ、今日は高橋が落書きしてるのか? 後でちゃんと消しておけよ」
「……」
昨日の今日で対象者が変わっていたことで、教師はそういう遊びが生徒の間ではやっているものと勘違いしているようだった。
黒柳と武田のおかげで、誤解は解けた。わだかまりはないかと言えば、嘘になるが、とりあえずこれ以上のイジメは起こらないだろう。そうすると、武田に対する返事をどうするかの問題が残る。
高橋の早とちりで、僕はゆっくりと考える時間を奪われた。しかし、今日の放課後には返事をしなければいけないだろう。そのことを考えていると、僕は授業に身が入らなかった。
「英里! いつからそこにいたの?」
下を向いている武田に長年の友人が問いかけたが、彼女はその問いには答えず、ぽつりと言った。
「ひどいよ」
「大丈夫だ、英里子。俺がこんな卑怯者からお前を守ってやるから」
相原に糾弾の役を奪われた高橋が、ここぞとばかりに武田に近づいた。誰がこの騒動の中心人物か。誰がヒーローであるかを強調するかのように。
「ボクはみんなに言ってるんだよ。なんでこんなにひどい事が出来るんだ。恥ずかしくないの!?」
「だから、これはお前を守る為で――」
彼女の言葉に、高橋は少し焦り気味で言い訳をしようとした。その言葉を遮るように続けた。
「何が、ボクを守る、だよ! 菊池君が説明したじゃないか。日曜日に出かけたのは、ボクから誘ったんだよ! 一度断られたのを、お礼だと理由を付けて、強引にデートに誘ったのはボクの方なんだよ! それなのに何を勘違いしたのか、彼をイジメるなんて、みんなおかしいよ」
彼女は顔を上げて、高橋を、クラスのみんなを睨みつけるように叫んだ。
その迫力に気圧されながら、高橋はもごもごと言った。
「だって、お前はあいつに脅されて……」
「誰がそんな事言ったのさ。誰がそんな事を言い始めたのさ」
「え、だって……」
高橋がしどろもどろしていると、誰かが言った。
「高橋が、武田が菊池に脅されて困ってるって言ったから……なあ、高橋が言い始めたんだよな」
「俺達、高橋に騙されたのか?」
「高橋が嫉妬して、嘘を吐いていたのか?」
それからみんなは、高橋が言い始めたと証言し始めた。状況からして、そうだろうと想像はしていたが、やはり高橋が僕の言葉を曲解してみんなに言いふらしたのだろう。
しかし、先ほどまで自分を標的にしていたクラスメートが、一斉に高橋に罪をなすりつけているような光景に僕は気分が悪くなった。
そして、みんなが高橋に文句を言っている中、相原は武田に尋ねた。
「ねえ、英里。なんで、わたしに相談にてくれなかったの?」
「ごめん。でも、なんだか僕が弱音を吐くと、みんなのイメージが崩れるかも知れないかと思うと、なんとなく」
「確かにそうかも……でも、それでも、わたしには相談して欲しかったな。親友じゃない」
「うん、そうだね。今度から、なにかあれば愛に相談するから」
武田のその言葉に、相原は納得したようだった。
しかし、相原には先ほどの武田の言葉に一つの疑問が、胸に突き刺さっていた。
「ねえ、英里。さっき、デートって言った? それってどういう意味?」
「言葉のままだけど」
「デートに行ったって言うことは、二人は付き合ってるの?」
「付き合って……いや、そうじゃない。まだ……」
「……分かった。詳しくは後で聞く」
言われた相原はまだ心の整理がついていないが、とりあえずおとなしくその場を引いた。そして、高橋の虚言だと分かったクラスのみんなから謝罪を受け、落書きされた机は、高橋の机と交換されたころ、担任が教室に入ってきた。高橋の机の落書きを見て、特に気にすることなく、教壇に着いた
「なんだ、今日は高橋が落書きしてるのか? 後でちゃんと消しておけよ」
「……」
昨日の今日で対象者が変わっていたことで、教師はそういう遊びが生徒の間ではやっているものと勘違いしているようだった。
黒柳と武田のおかげで、誤解は解けた。わだかまりはないかと言えば、嘘になるが、とりあえずこれ以上のイジメは起こらないだろう。そうすると、武田に対する返事をどうするかの問題が残る。
高橋の早とちりで、僕はゆっくりと考える時間を奪われた。しかし、今日の放課後には返事をしなければいけないだろう。そのことを考えていると、僕は授業に身が入らなかった。
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