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第二章
第84話 駆け出し冒険者は潜み、駆ける
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エルシー達が隠れた頃、トリステン達も追いついてきた。
二人は一言も発することなく、山の中を走っていた。お互い手で合図を出しながら、まるで尾行するかのようにエルシー達を視界に収めながらも、周りから隠れるように山を登っていた。その顔には炭で汚れを付けて、頭には濃い緑の布を巻き付け、同じような緑色の服に炭で汚して、周りの緑に溶け込んでいた。
動く音は風と川の音に紛れ、風下から風上へと進む。
戦いに必要最低限の身軽な装備の二人は周りを気にしながら山の中を急ぐ。
今回の作戦の要と自覚している二人の表情には、余裕はなかった。テイマーを見つけて捕獲もしくは無力化するまで、一瞬で終わらせなければならない。時間をかけてしまっては、死人になった意味が無くなる上に、逃げられる可能性もある。逃げられないにしても、時間をかけると山の主にと戦うオルコット達の危険度が上がる。
エルシーがいるから無理はしないと信用しているが、それでも万が一と言うことも考えられる。
事前の打ち合わせでは昨日の河原で山の主を迎え撃つはずだった。そうなったときにテイマーが隠れている可能性があるところを、エルシーとスティーブンがいくつかピックアップしていてくれた。河原を見通せて、なおかつ河原から見つからないところ。山の主をテイムできるほどのテイマーであれば、そういうところにいるはずだ。しかし、それは山の主が現れてからの話だ。いま、そのポイントに行ってしまうとテイマーが現れないかも知れない。トリステン達はエルシー達と同じように隠れ潜んだ。
息を潜め、背の高い雑草の中でじっと待つ。いつテイマーが現れても良いように気をはりながら。
どれくらい時間が経っただろうか? トリステンのすぐ近くでカサカサと音が聞こえた。
それはマリアーヌだった。緊張からか、ひんやりとした山風のせいか、マリアーヌが震えていた。
トリステンは安心させるように、マリアーヌの手を握ると、懐に入れていた水袋とカンパンを手渡した。
長丁場になるかも知れない。緊張したまま待つということは、精神的に疲れるということをトリステン気が付いた。だからこそ、女性であるマリアーヌには休憩を入れさせないといざとなったときに危ない。その行動は、そんなトリステンの気持ちの表れだった。
マリアーヌにその気持ちが通じたのか、トリステンの手をぎゅっと握り返した。
お互いの手をぎゅっと握りあったまま、軽い食事を済ませた頃、戦いの音が二人の耳に届いたのだった。
二人は一言も発することなく、山の中を走っていた。お互い手で合図を出しながら、まるで尾行するかのようにエルシー達を視界に収めながらも、周りから隠れるように山を登っていた。その顔には炭で汚れを付けて、頭には濃い緑の布を巻き付け、同じような緑色の服に炭で汚して、周りの緑に溶け込んでいた。
動く音は風と川の音に紛れ、風下から風上へと進む。
戦いに必要最低限の身軽な装備の二人は周りを気にしながら山の中を急ぐ。
今回の作戦の要と自覚している二人の表情には、余裕はなかった。テイマーを見つけて捕獲もしくは無力化するまで、一瞬で終わらせなければならない。時間をかけてしまっては、死人になった意味が無くなる上に、逃げられる可能性もある。逃げられないにしても、時間をかけると山の主にと戦うオルコット達の危険度が上がる。
エルシーがいるから無理はしないと信用しているが、それでも万が一と言うことも考えられる。
事前の打ち合わせでは昨日の河原で山の主を迎え撃つはずだった。そうなったときにテイマーが隠れている可能性があるところを、エルシーとスティーブンがいくつかピックアップしていてくれた。河原を見通せて、なおかつ河原から見つからないところ。山の主をテイムできるほどのテイマーであれば、そういうところにいるはずだ。しかし、それは山の主が現れてからの話だ。いま、そのポイントに行ってしまうとテイマーが現れないかも知れない。トリステン達はエルシー達と同じように隠れ潜んだ。
息を潜め、背の高い雑草の中でじっと待つ。いつテイマーが現れても良いように気をはりながら。
どれくらい時間が経っただろうか? トリステンのすぐ近くでカサカサと音が聞こえた。
それはマリアーヌだった。緊張からか、ひんやりとした山風のせいか、マリアーヌが震えていた。
トリステンは安心させるように、マリアーヌの手を握ると、懐に入れていた水袋とカンパンを手渡した。
長丁場になるかも知れない。緊張したまま待つということは、精神的に疲れるということをトリステン気が付いた。だからこそ、女性であるマリアーヌには休憩を入れさせないといざとなったときに危ない。その行動は、そんなトリステンの気持ちの表れだった。
マリアーヌにその気持ちが通じたのか、トリステンの手をぎゅっと握り返した。
お互いの手をぎゅっと握りあったまま、軽い食事を済ませた頃、戦いの音が二人の耳に届いたのだった。
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