なぜかモテない最強冒険者は訳あり美女を救う ~イケメン弟子たち、俺がモテないのはお前達のせいじゃないよな?~

三原みぱぱ

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第27話 ガドランドの昔話

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「……あははは。死んだ人は生き返りませんよ。これは世の摂理を乱そうとした、自分への戒めですよ。さあ、話は終わりです。休んでください。まだ、先は長いんですから」

 そう言って、ガドランドは少し悲しそうに短剣を、もとあったように腰にさした。
 知り合ってから、一度も悲しげな顔を見せたことがなかったガドランドに興味がわいた。

「どんな方だったんですか? あなたの師匠さんは……」
「……強い人でした。誰よりも……」
「今のあなたより?」
「オレですか? 四人も弟子がいますが、師匠が生きていたら、半人前のお前がなに教えるんだ? 逆に学んで来いって怒られますよ……オレは師匠に救われたんですよ。貧乏で頭も悪いうえに、顔も目つきも悪い。オレはなにか事件が起こるたびに、犯人扱いされて、挙げ句の果ては本当に悪い大人たちからも誘いがあったりして、自暴自棄になっていた時期があったんですよ」

 アマンダはガドランドの容姿を見て、彼を疑う周囲の人間の気持ちが容易に想像できた。

「まあよくある窃盗事件がありましてね。その犯人として殺されそうになったとき、唯一、オレの言うことを信じてくれたのが師匠だったんですよ。それからはオレに冒険者として生きていけるようにイロハを叩き込んでくれたんですよ。いま、まっとうに生きられているのも師匠のおかげ……そして、今も生きていられるのも師匠のおかげですがね」
「先程もあなたのせいでお師匠さんが亡くなったと言っていましたけど、なぜそんな事になったのですか?」

 ここまで、アマンダはガドランド強さを嫌というほど見せられている。そのガドランドよりも強いという師匠が、なぜ死んでしまったのだろうか? それは本当にガドランドのせいなのだろうか?

「……なぁに、大した話じゃないですよ。半人前が粋がって、勝てもしないモンスターに突っかかって死にかけた挙げ句に助けてもらっただけですよ。その代償が師匠の命だったというだけで……」

 アマンダは自分から聞いておきながら、失敗したと思った。これまで聞いたことのない、ガドランドの冷静でそっけない返事を聞いて。何も知らない、自分がどうにかできるような内容ではないと分かった。

「ごめんなさい。私はこれで失礼します」

 慌てて、ガドランドのもとを離れると毛布を頭からかぶり、寝たふりをした。
 たまたま知り合っただけの女に簡単に大金を渡したり、体を張って助けたりする。そんな甘い考えのガドランドは、恵まれて甘やかされた人生だと勝手に思い込んでいた。
 苦労と悲しみの土台の上に成り立った優しさ。苦しさや悲しさを知っているからこその優しさ。この人ならば信じていいのかもしれない。
 アマンダはそう思いながら、眠りについた。
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