【R18】元悪役令嬢の青春

やまだ

文字の大きさ
3 / 35
逃げ出した悪役令嬢

3

しおりを挟む


「はい、こっち向いて」

両頬を結構な力で掴まれて、見たことない顔してるダートが近付いてくる。

「ひぇぇぇ」

情けない声を出した私に苦笑いして、そのままキスされた。

唇柔らかい。いや違う今こんな感想伸べるところじゃない気がする。

「ダート––––っむ」

文句言おうとしたらまた唇をくっつけられ、今度は食べるように大きく口を覆われた。

「んんんぅ」

こっちも話しかけようとしてたから口開いてて、閉じる前にダートの舌が捻じ込まれる。
そのまま自分の舌を絡めとられて、吸われて、なんか全部ダートにとられてくんだけどなにこれ。


胸押して離そうとしたらどうやったのかいつの間にかダートの足の間に座ってて、手が入る隙間もないくらい背中と頭を腕で押さえつけられてて、クラクラする。


「––––あ~、やべぇディアナが可愛い。脱がしたい」

やっと唇が離れたと思ったら、おでこくっついたまま至近距離でとんでもない台詞言われた。

「脱がっ…ダート、あなたちょっと」

「あなた♡」

「お前っ!ちょーしのんな!!」

「おっと」

鼻先噛もうとしたら避けられた。

「そのままこの手も離してよ」
「やだ。心配しなくても脱がしたりしねぇよ。…あー、外じゃなきゃひん剥いてやったのに」

耳元でそんなこと言われて、また体温あがる。

「……お前どこもかしこもキレイなのな。こんな近くで見たことなかったけど耳にも美醜あるもんなんだ」

そんなこと言われながら耳たぶ触られて、むにむにされた後耳にもキスされた。
なんかすっごいゾワゾワする。

「––––––っんぁ」

舐められた瞬間変な声出て、慌てて口を閉じる。

「やべぇ、滾る。なんでそんな可愛いのディアナ」

「知らなっ…耳元で喋んないで」

「うん、涙目もその声もすっげ可愛いけど、これ以上やったらお前逃げそうだしやめとくわ」

やっとダートの顔が離れてくれた。しかし背中にまわされた腕はそのままだ。

「あの……背中の手も離して」

「逃げそうだからイヤ」

「に、逃げないから。恥ずかしいから」

さっきから心臓ばくばく壊れそうだし、ちょっと離れて欲しい。

ダートはじっと私を見つめて、片手を私の指に絡めて、そのまま口元にもっていかれる。


「––––––紅裙の勇者ディアナへダートルド・ナルサスの名に於いて誓う、我が運命は貴女と共に。貴女が望むなら全て叶えよう、貴女を害する全てから…身体を傷付ける者も、心を陰らせる者も赦しはしない。たとえ私の力が及ばぬ相手であろうと、貴女が世界に見放されようとも、私だけは貴女を手離さない」

「えっ」

「誓いの言葉って意外と難しいな、なんか変になっちまった。でも本音だからな」

よくわかんないけど誓われた。世界敵にまわしても手離さないんだって。

背中にまわってた腕が緩められて、肩にダートの頭がのっかってくる。肩じんわりあったかいんだけど、ダートまた泣いてない?さっきまでの態度とすごいチグハグ。

「愛してる…愛してるディアナ、お前の唯一になりたい。なんでもするからオレだけ傍に置いて」

目を真っ赤にさせたダートがこっちを向いて、私の頬を撫でながらまた情けない事を言う。


「……ダートだけ?」

「いらねぇだろ他のヤツとか。相棒も恋人も友人も全部オレがやるから」

「ふふっ、学園に行く意味」

「あ––––~…、そこそこの距離の友人作んのはいんじゃね。この距離はオレだけにして?」

ダートの親指が私の唇を何度も撫でて、赤くて熱い目が私だけを映す。

「––––––––うん」

恥ずかしくて目を逸らして言ったけど、速攻顔合わされて唇からダートの熱が伝わってくる。
口の中いっぱいで、苦しくなって目を開けたら超至近距離で目が合った。

えっ、ずっと見てたのこいつ。

途端に顔赤くなったのを見て、ダートがふっと雰囲気を変えて噴き出した。

「わっ笑うとかひどい」

「ちが、かわいくて。こんな可愛いディアナ見れると思わなかった、すっげ嬉しい」

可愛い連呼するな。美人は言われ慣れてるけどあんまり可愛い言われたことないから照れる。

「普段のお前は神々しい感じまであるけど、今全然ないし。ひたすら可愛い、もう全部可愛い。可愛いディアナは全部オレの」

抱きこまれて頬擦りされたりいろんなとこキスされたり、されるがままなのが悔しい。

「ダートはヘタレを脱いだら手が早い」

悔しいので文句垂れたらすーーっごい深いため息吐かれた。

「おっ前……すっげ我慢してキスしかしてないオレを讃えてもいいくらいなんだけど。ほら見てここ」

そう言われて握られていた手をダートの下半身に持ってかれた。

「ひっ、どこ触らせてんの!」

「いやだってお前分かってないぽいし…この状況で勃たない男は居ねぇよ?押し倒さないオレを褒めて?」

誰が褒めるか、触らせるな!

「はぁ~、中途半端に許可を得るのもそれはそれでツライのな。うぁー、ちんこいてぇ」

「ちっ…!ダートのえろ男!!」

「普通だろよ、やっぱお前男の性欲全然理解してないな?」

「傍にいるだけでいいって言ったくせに」

「それはそれ、これはこれ。まぁでも無理やりなんかするつもりないし傍に居させてくれりゃいーよ?自分で処理するし。はやくオレを許してくれたら嬉しいけど」

許すって…あれでしょ、あれしちゃうってことでしょ。

真っ赤になった私を笑いながら、頭を撫でられる。

「ふはっ、意味は分かる?このオレのちんこがー」
「わっ、わかる!わかるから説明いらない!!恥ずかしくないのそんなの言って?!」

「なにが恥ずかしんだよ、みんなやってることじゃん。大した知識なさそうだし、ちょっとずつオレと勉強してこーな」


「ダート慣れてる」

むかつく。

「いや、全然…」
「だれと」

「いや誰って…だから全然だって」

「嘘だ、キスすごく慣れてたもん。だれ、冒険者?貴族?」

すっごい気になる、ムカムカする。これあれだ、ヤキモチってやつだ。

「しつけぇな、慣れてねぇよ初めてだよキスしたのなんか」

「………」

「なんだその顔、マジだからな!オレお前以外いらねぇもん。いや、そもそもモテねんだけど気持ち的に」

「受付のお姉様に声かけられてなかったっけ」

何回か見たことあるけど。

「そりゃまあ全く声が掛からないわけでもないけども…ずっと前からお前が好きだつってんじゃん。あーも~いいじゃんこの話。とにかく慣れてねぇの!もー、全部吐かせやがって」

「どうてい」
「なんでちんこ言えねぇのにそれ言っちゃうの?!なんだよ慣れてる方がいいのかよ!娼館で練習してくれば良い?!」

「それはやだ。慣れてなくていい」 

「下手くそだからいらねってなんねぇ?」

ならない。慣れてるダートより全部私だけのダートの方がいい。

「一緒に勉強、してくんでしょ」

「…うわ、ディアナかわいー…もっかいキスしていい?」

ダートが顔を近付けてきたので、返事はしないで目を閉じた。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

悪役令嬢のビフォーアフター

すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。 腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ! とりあえずダイエットしなきゃ! そんな中、 あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・ そんな私に新たに出会いが!! 婚約者さん何気に嫉妬してない?

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました

春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。 名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。 誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。 ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、 あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。 「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」 「……もう限界だ」 私は知らなかった。 宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて―― ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。

包帯妻の素顔は。

サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。

処理中です...