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逃げ出した悪役令嬢
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しおりを挟む「はい、こっち向いて」
両頬を結構な力で掴まれて、見たことない顔してるダートが近付いてくる。
「ひぇぇぇ」
情けない声を出した私に苦笑いして、そのままキスされた。
唇柔らかい。いや違う今こんな感想伸べるところじゃない気がする。
「ダート––––っむ」
文句言おうとしたらまた唇をくっつけられ、今度は食べるように大きく口を覆われた。
「んんんぅ」
こっちも話しかけようとしてたから口開いてて、閉じる前にダートの舌が捻じ込まれる。
そのまま自分の舌を絡めとられて、吸われて、なんか全部ダートにとられてくんだけどなにこれ。
胸押して離そうとしたらどうやったのかいつの間にかダートの足の間に座ってて、手が入る隙間もないくらい背中と頭を腕で押さえつけられてて、クラクラする。
「––––あ~、やべぇディアナが可愛い。脱がしたい」
やっと唇が離れたと思ったら、おでこくっついたまま至近距離でとんでもない台詞言われた。
「脱がっ…ダート、あなたちょっと」
「あなた♡」
「お前っ!ちょーしのんな!!」
「おっと」
鼻先噛もうとしたら避けられた。
「そのままこの手も離してよ」
「やだ。心配しなくても脱がしたりしねぇよ。…あー、外じゃなきゃひん剥いてやったのに」
耳元でそんなこと言われて、また体温あがる。
「……お前どこもかしこもキレイなのな。こんな近くで見たことなかったけど耳にも美醜あるもんなんだ」
そんなこと言われながら耳たぶ触られて、むにむにされた後耳にもキスされた。
なんかすっごいゾワゾワする。
「––––––っんぁ」
舐められた瞬間変な声出て、慌てて口を閉じる。
「やべぇ、滾る。なんでそんな可愛いのディアナ」
「知らなっ…耳元で喋んないで」
「うん、涙目もその声もすっげ可愛いけど、これ以上やったらお前逃げそうだしやめとくわ」
やっとダートの顔が離れてくれた。しかし背中にまわされた腕はそのままだ。
「あの……背中の手も離して」
「逃げそうだからイヤ」
「に、逃げないから。恥ずかしいから」
さっきから心臓ばくばく壊れそうだし、ちょっと離れて欲しい。
ダートはじっと私を見つめて、片手を私の指に絡めて、そのまま口元にもっていかれる。
「––––––紅裙の勇者ディアナへダートルド・ナルサスの名に於いて誓う、我が運命は貴女と共に。貴女が望むなら全て叶えよう、貴女を害する全てから…身体を傷付ける者も、心を陰らせる者も赦しはしない。たとえ私の力が及ばぬ相手であろうと、貴女が世界に見放されようとも、私だけは貴女を手離さない」
「えっ」
「誓いの言葉って意外と難しいな、なんか変になっちまった。でも本音だからな」
よくわかんないけど誓われた。世界敵にまわしても手離さないんだって。
背中にまわってた腕が緩められて、肩にダートの頭がのっかってくる。肩じんわりあったかいんだけど、ダートまた泣いてない?さっきまでの態度とすごいチグハグ。
「愛してる…愛してるディアナ、お前の唯一になりたい。なんでもするからオレだけ傍に置いて」
目を真っ赤にさせたダートがこっちを向いて、私の頬を撫でながらまた情けない事を言う。
「……ダートだけ?」
「いらねぇだろ他のヤツとか。相棒も恋人も友人も全部オレがやるから」
「ふふっ、学園に行く意味」
「あ––––~…、そこそこの距離の友人作んのはいんじゃね。この距離はオレだけにして?」
ダートの親指が私の唇を何度も撫でて、赤くて熱い目が私だけを映す。
「––––––––うん」
恥ずかしくて目を逸らして言ったけど、速攻顔合わされて唇からダートの熱が伝わってくる。
口の中いっぱいで、苦しくなって目を開けたら超至近距離で目が合った。
えっ、ずっと見てたのこいつ。
途端に顔赤くなったのを見て、ダートがふっと雰囲気を変えて噴き出した。
「わっ笑うとかひどい」
「ちが、かわいくて。こんな可愛いディアナ見れると思わなかった、すっげ嬉しい」
可愛い連呼するな。美人は言われ慣れてるけどあんまり可愛い言われたことないから照れる。
「普段のお前は神々しい感じまであるけど、今全然ないし。ひたすら可愛い、もう全部可愛い。可愛いディアナは全部オレの」
抱きこまれて頬擦りされたりいろんなとこキスされたり、されるがままなのが悔しい。
「ダートはヘタレを脱いだら手が早い」
悔しいので文句垂れたらすーーっごい深いため息吐かれた。
「おっ前……すっげ我慢してキスしかしてないオレを讃えてもいいくらいなんだけど。ほら見てここ」
そう言われて握られていた手をダートの下半身に持ってかれた。
「ひっ、どこ触らせてんの!」
「いやだってお前分かってないぽいし…この状況で勃たない男は居ねぇよ?押し倒さないオレを褒めて?」
誰が褒めるか、触らせるな!
「はぁ~、中途半端に許可を得るのもそれはそれでツライのな。うぁー、ちんこいてぇ」
「ちっ…!ダートのえろ男!!」
「普通だろよ、やっぱお前男の性欲全然理解してないな?」
「傍にいるだけでいいって言ったくせに」
「それはそれ、これはこれ。まぁでも無理やりなんかするつもりないし傍に居させてくれりゃいーよ?自分で処理するし。はやくオレを許してくれたら嬉しいけど」
許すって…あれでしょ、あれしちゃうってことでしょ。
真っ赤になった私を笑いながら、頭を撫でられる。
「ふはっ、意味は分かる?このオレのちんこがー」
「わっ、わかる!わかるから説明いらない!!恥ずかしくないのそんなの言って?!」
「なにが恥ずかしんだよ、みんなやってることじゃん。大した知識なさそうだし、ちょっとずつオレと勉強してこーな」
「ダート慣れてる」
むかつく。
「いや、全然…」
「だれと」
「いや誰って…だから全然だって」
「嘘だ、キスすごく慣れてたもん。だれ、冒険者?貴族?」
すっごい気になる、ムカムカする。これあれだ、ヤキモチってやつだ。
「しつけぇな、慣れてねぇよ初めてだよキスしたのなんか」
「………」
「なんだその顔、マジだからな!オレお前以外いらねぇもん。いや、そもそもモテねんだけど気持ち的に」
「受付のお姉様に声かけられてなかったっけ」
何回か見たことあるけど。
「そりゃまあ全く声が掛からないわけでもないけども…ずっと前からお前が好きだつってんじゃん。あーも~いいじゃんこの話。とにかく慣れてねぇの!もー、全部吐かせやがって」
「どうてい」
「なんでちんこ言えねぇのにそれ言っちゃうの?!なんだよ慣れてる方がいいのかよ!娼館で練習してくれば良い?!」
「それはやだ。慣れてなくていい」
「下手くそだからいらねってなんねぇ?」
ならない。慣れてるダートより全部私だけのダートの方がいい。
「一緒に勉強、してくんでしょ」
「…うわ、ディアナかわいー…もっかいキスしていい?」
ダートが顔を近付けてきたので、返事はしないで目を閉じた。
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