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戻ってきた元悪役令嬢
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しおりを挟むゴールしたら、班員みんなで夕食作り。
ダートと私は役に立たない自信があったので、さっきの魔物を解体して食料として提供しようとしたら全力で拒否された。
リアは私たちよりマシではあったけど、そこは王女様。包丁は持ったことがないとの台詞でほぼ全部グランさんが作ってくれました。
「グランさんすごいね、料理人にもなれそーじゃん」
「いえ、そんな大層な味付けじゃないですけど」
料理を褒めてみたけど、会話の間もリアの方へは不自然に顔を向けない。
「……グラン様?」
「は、は、はいっ」
「私グラン様のこと好きになってしまいましたし、婚約者になって欲しいのは本当ですけれど。無理やりどうこうなんて考えておりません。迷惑を顧みず気持ちを押し付けることも致しません。班行動中ですし、今は自然に対応していただきたいです」
おぉー、リア大人。こう言われちゃグランさんも何も言えないだろうな。
「……申し訳ありませんでした」
「いえ、宿泊学習が終わったらそれなりにアタックしに行きますのでよろしくお願いしますね?」
リアはそう言ってこぼれるような笑顔を浮かべた。この顔本当可愛い、これ見て陥落しないとか意味わかんない。
グランさんは真っ赤になって咽せたけど、咳払いと深呼吸をしてからさっきの状態が嘘のように普通の態度になった。二人とも切り替えすごいなー、真似したい。
学園生に野宿をさせるわけもなく、食事を終えて片付けたあとは沢山用意されていたコテージに男女別で入った。ダートがグランさんの肩を掴んで笑ってたので、意外と気が合いそうな男二人組の夜も楽しそうで良かったなって思った。朝の様子だとブスッとリアに文句言いながらコテージに入ることになりそうだったし。
「私、お友達とお泊まりなんて初めてですわ。楽しいですわねディー様」
交代でシャワーを浴びて、寝る前にリアの髪の毛を乾かしてあげながらおしゃべりをする。髪の毛フワッフワでかわいーな、綺麗な銀髪。中身はたまーにぶっ飛んでるけど、小さいし細いし儚気でお姫様の中のお姫様って感じだな。
「私も。てかディーでいいよ、片方だけって嫌だって言ったっしょ?」
「まぁ、ではありがたくディーと呼ばせていただきますね。うふふ、お友達も出来たし、好きな人も出来たし、楽しい学園生活になりそう」
「グランさんめっちゃ慌ててたね~、リアのアタックすごそう」
アタックってどうするのかな、抱きついたりすんのかな。
「アタックしたいのですけど、あの様子だとあまり強引なのは迷惑がられそうです。……参考までに、ディーとナルサス様の馴れ初めは?」
「ダートが強くなってから二人で組んで依頼受けるようになって、好き好き言われてた?」
「好き好き言われて好きになった?」
「いや、全然ならんかったけど」
それを聞いたリアはガックリ肩を落としてため息をついた。
「やっぱりただ好き好き言うだけじゃ駄目なのね?意識してもらうように何かしなくっちゃ」
「意識はもうめっちゃされてるじゃん、あの挙動不審さ」
「プラスの印象に持っていかないと意味がないと思うの。皇国の平民はどんな生活を?そこから絡め落とせないかしら」
「うーん、ザ・平民って生活したことないんだよね。ちっさいころから冒険者やってたし」
「まぁ、流石勇者様ね。子供の頃から冒険者として鍛えてきたなんて」
選択肢なかっただけだけど、まぁ冒険者やってて良かったと思う。ダートとも会えたし。
「リアは首都の街歩いてみた?平民の生活覗くならあの辺うろちょろしてみるのもいんじゃないかな」
「ディーも付き合ってくれる?」
「うーん、ダートが離れるなってうるさいからなぁ…」
「あの男そんな束縛激しいんですの?!」
まぁ!と声をあげてダートへの愚痴が可愛いリアの口から延々聞こえてくる。束縛とはちょっと違う感じなんだけどなぁ、なんて言えばいいのかな。
「私相当強いし何か危険があるわけでもないんだけど、斥候とか暗殺者とか結構来るから心配なのかもね」
「暗殺?!どうして」
「んー、これ以上皇国の影響力大きくしたくない国のどっかじゃない。普通に返り討ちにしてるし問題ないよ」
ほぼ全部ダートが処理してくれてるし。
「一時期は引き抜きの誘いが凄かったんだけどね~。ダートの言葉に乗っかって爵位もらった途端だから、自分のせいだとでも思ってんじゃないかねあの男は」
「なるほど、それで過保護」
そうなる前から離れたらグチグチ言ってたけど、それ言ったらまたリアの怨嗟の言葉がはじまりそうだから黙っとこう。
「まぁ暗殺者はその内落ち着くんじゃないかな?どうやったって殺せないのが分かったら貴重な暗殺者出してこなくなるっしょ」
「暗殺者って貴重なの?」
「多くはないよね。あと命取る仕事だから前金だけでもすっげぇ高いよね多分」
「暗殺者なんてやるくらいだから腕に覚えはあるわけよね?騎士とどっちが強いのかしら」
ニコニコ疑問を口にしてるけど、お姫様がこんな会話してていーのかしら。
「騎士って戦ったことないからなー。あと昼間と同じこと言うけど、フィールドが違うかな。正々堂々と闇に紛れてって感じで」
「それもそうね、状況で変わるわね。ね、ね、私にも出来る護身術とかないかしら?」
「護身術?」
「ホラ私一応王女様だし、それなりの見目だから」
ああ成る程。こんなかわいー子がうろちょろしてたら危ないな。
「ん~、なんか考えとくね。非力な子でも出来る自衛」
「あらそんなに本気で考えなくて良いわ?勇者様を利用することになっちゃう」
「あはは、じゃ暇な時だけ考えるよ」
面白い考えのリアとお喋りしたおして、ちょっと遅めの就寝をした。
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