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戻ってきた元悪役令嬢
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しおりを挟む「おはようディー、久しぶりね!」
夏休み明けの登校初日、国に帰っていたリアと久し振りの再会。相変わらず笑顔が眩しい。
「おはよ、元気だった?」
「ええ、でもディーにもグラン様にもお会い出来なくて寂しかったわ。今朝ご挨拶に伺ったら忙しいからって素気無くされちゃった…残念」
あの人すぐリアに落ちると思ってたのになぁ…リアに動揺してたんじゃなくて求愛自体に動揺してただけなのかな。
「それでね、来月は体育祭があるでしょう?生徒会はその準備で忙しいらしいから、私実行委員に立候補しようと思って!お仕事しながらなら邪魔にならずに会えるわ」
「王女様しつこいなー」
ダートが言うかねそれを。
「全部やりきって頑張った後じゃないと諦めるに諦められないじゃない。ね、それで実行委員一緒にしない?」
「却下」
「ちょっと、何で貴方が決めるのよ束縛男」
「放課後も休日も全部潰れんじゃん」
え、そんなに忙しいの実行委員。
「放課後くらいならいいけど、休日も潰れたら全くギルド行く暇なくなっちゃうからなぁ…休日二日じゃなくて一日だけに出来るんならやるけど」
「まぁ、流石勇者様…そんなに忙しいディーに付き合ってもらうのは気が引けますね、私一人で立候補することにするわ」
「全部潰れるのが困るだけだし、なんか手伝えるときは手伝うよ?」
「ふふ、ありがとう!体育祭なんてディーは大活躍でしょうね」
走ったり跳んだりするんだっけ。確かに私もダートも勉強よりそっちの方が得意だな。
始業の鐘が鳴ったので席について、授業を聞き流しながらちょっと楽しみになった体育祭のことを考える。
ふと横を向いたらダートが真剣に教科書を見て書き込んでいたので、慌てて気持ちを切り替えて教科書に目を向けた。
リアは早速昼休みに実行委員に立候補してきたようで、嬉しそうに中庭に来て報告してくれた。
「来週から活動がはじまるの、楽しみだわ!頑張って良い体育祭にするから、当日はディーも目いっぱい楽しんでね!」
「運動競うだけだろ?」
「あら、結構盛り上がるかもしれないわよ。今年からクラスの総合得点でご褒美があるんですって、人気菓子店での貸切打ち上げ!」
「…貴族ばっかの学園でそれが盛り上がるの?」
そんなのどうにでもなる人たちばっかりじゃない?
「高位貴族の方々にもファンが居るお陰で逆に守られていて、身分で優先なんて全くされないんですって。箱入りのご令嬢方は中々お店に行くのも難しいかもしれないし」
「へー、首都にあるの?朝から並んだら食べれるかなー」
「優勝すればそんなことしなくても食べられるわよ!ディーとナルサス様が居て負けるわけないじゃない♡」
体動かすのは得意だけど、戦うわけじゃないしそんなに圧倒出来ないと思うんだけど。
「あ、クラスでも期待とかされてんの?そのせいなのかね、今日教室入った時前みたいに目逸らされたり少なかったの」
「?どうでしょう、ご褒美制度は今年からだしまだ役員と委員しか知らないのじゃないかしら」
「……王女様と話してる時のディーが普通過ぎるのと、宿学で生徒守った噂が出回ってんだとよ。手の平返しやがって」
ダートが悪態をついてるけど、生徒を守った?
「脅した記憶」
「そのへん上手くやってんじゃね、情けない男の噂とセットだからグランの仕業だろ?テスト勉強してる時にこにこアピールされたし」
「へぇー。どうでもいいけど場が緊張しないのは助かるね」
「よく分からないけれど、ディーが助かることをグラン様がしたの?良い人ねグラン様!」
良い人っちゃ良い人だよね、ダートも性格良いって言ってたし。情けない男の噂はどんな風に流れてるのか聞いてみたい。
「じゃあここでディーが体育祭大活躍したら一気に人気者ね!」
リアが口元で両手を合わせて可愛く笑うけど、それくらいで人気者になるとは思えないし、腫れ物扱いが無くなったくらいが丁度いい。
「リア、二人で首都に出たときのことを覚えておりますかね」
「……人気者って大変だったわね。大活躍はしなくて良いわね」
「でもディー食ってみてぇんだろ?朝から並んでも食えるかわからんより確実じゃん、オレが大活躍してやろう」
「ああ、ナルサス様なら大活躍しても遠巻きにされますものね」
「うるせぇ王女様」
ダート良いヤツなのに。ゴツいけど怖いところなんかどこにもないのに。
「ディーに視線を向けた男性を即座に睨み付ける姿は震え上がるほど恐ろしいわよ」
「牽制してるだけだろ、普通に見てる奴らにそんなんしてねぇもん」
「……まぁ、ほら。私割と出るとこ出てるからさ、やらしい視線シャットアウトしてくれてるんだよダートは」
「そうそう、多分それ!」
多分って。違ったんかい。
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