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戻ってきた元悪役令嬢
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しおりを挟む数日後、王子様から丁寧な感謝と謝罪の手紙が届いた。ダートとグランさんが上手いことやってくれたみたいで、国の重鎮達からの勇者を籠絡しろ的な圧力も無くなったらしい。不敬も流してくれた、良かった。
「王子様の出会いを邪魔しちゃったのが心残りだなー」
「嫌がらせしねんだからチャラだろ、どーでもいいけど。もういい?」
ベッドに並んで座って一緒に手紙を読んでいたダートが、持っていた手紙を抜き取ってのしかかってくる。
「オレは二人で逃げるの楽しみにしてたんだけど」
「そうだねぇ、かわりに旅行でもいこっか。行ったことない遠いところ」
「いいな、また本屋いかねぇと」
クスクス笑い合いながら手を握って、そのまま何度もキスを交わす。
「––––えろいことしていい?」
この顔好きだな。熱を帯びた表情を見たら、心臓掴まれたみたいに苦しい。
跳ねる心臓に追いつく様に、ダートの両頬に手を当てて私から食らい付いた。いつもされてるみたいに舌を伸ばして、吸い付いて、絡めながら唾液を合わせていく。
息継ぎしたタイミングで体の位置を入れ替えてマウントをとった。
「っ、は…前も思ったけど、ダートのその表情、私すごく好きみたい」
「へ」
情けないダートも、切羽詰まった表情で色気を出すダートも、私しか知らない。もっと知りたい。
「ダートはどうしたら気持ち良い?」
同じ感じにしたらいいのかなって思って胸に口を近づけて舐めたら、すごい勢いで肩掴まれて起き上がられた。
「あ、ぶなっ」
「やだった?」
「いや…えろいディアナさんは大変よろしいのですが。乗っかられてこんなんされたら駄目、出る」
「は?」
「だって下から見るディアナ超やばい、視覚の暴力!プラス刺激でちんこなんもしてねーのに速攻イキそーになったわ」
下の方に目をやった私の頭を掴まれて、そのまま前を向かされる。手でガシガシされて、撫でてるのか揺らしてるのかわかんない。
「オレもまだ慣れてねんだし、もーしばらくは主導権くれよ」
耳を撫でられながら、反対側の耳にダートの唇が当たる。
「…ふ、っ」
ピチャピチャと水音が聞こえて、ゾワゾワくるし変な感覚がする。
「耳って性感帯なんだって。気持ちいい?」
「っや、わかんない」
濡れた耳元で喋られたら頭の中まで響くように聞こえる。
「うーん…」
「––––ひ、ぁ」
耳を触っていた方の手が私の胸におりてきて、慣れた手つきで愛撫される。
「一緒だと違う?」
「ん…っ、くちっ、やだぁ」
さっきと違う、耳元で響く声がお腹まで届いてる気がする。
下半身まで愛撫されだして、一緒に耳舐めるのやめて欲しくて、懸命に横を向いてキスを強請る。すぐに気付いたダートは耳から離れてキスをくれたけど、手はとめてくれない。
「ふっ、あ…あ、っん」
「すっげえろい…中動いてる、これなら少しは中でも感じる?クリトリス触ってるせいなだけかな」
「っかんな…っひ、あぁっ!」
「かわいー、イく?」
いつも私ばっかりで、やだ。ダートにも気持ち良くなって欲しい。
「あっ、やぁぁ…れてぇ、一緒がいっ…!」
「……やべぇ、それは我慢きかないわ」
すぐにダートが中にはいってきて、早急に動きだす。
大きな手で後頭部押さえつけられて、唇を押し付けられる。お互い口が開きっぱなしだからちゃんと合わなくて、絡め合う余裕もない。
「っん、ぁ、あっ」
「全然もたね…は、イキそ」
敏感なところ擦る手が速くなってきて、恥ずかしいのに気持ちいい。
くっつけられるだけくっついて、身体全部をダートに預けた。くっつけられない背中が寂しい。
「–––––––んんっ!」
「っは…、っ」
多分ほぼ同時に達したと思う。
抱き締められてた腕の力が緩んできて、離されないように広い背中にまわした手に力を入れる。
「気持ち良くなれた?」
「ん、すげぇ気持ちよかった」
「そか。ダート、すき。だいすき」
どう言ったらこの気持ちが伝わるのかわかんないけど、いっぱい伝えたい。
「ぜんぶすき」
そう言ったら胸に閉じ込めるように抱き締められて、ドクドクって心臓の音が聞こえてくる。すごく速くて煩いけど、ダートの腕の中はあったかくて幸せ。
「ディアナ…嬉しい、すっげ嬉しいけどそれ服着てるときに聞きたかった」
「?」
「気付いてる?オレまだちんこ抜けてねーの。感動のシーンの筈なのに復活しちゃって台無しよ」
……言われてみればさっきより圧迫感あるかもしれない。
「ぅあ、そこで締めるとか鬼畜」
「わ、わざとじゃないし」
驚いて力は入っちゃったかもしれないけど。
「…もう一回する?」
多分このままだとダートつらいんだよね。
「駄目、ディアナまだ慣れてない。連チャンとかして傷入ったりしたらヤダ」
「傷とかすぐ治せるけど」
「治る治らないの問題じゃねーの、オレがディアナに傷つけるとか絶対イヤ」
そう言ってダートは私から抜いたけど、じゃーどうするのさ。
「ほっときゃその内収まる。服着たらまたさっきの聞かしてくれる?」
「え、でも…じゃ、えーと、舐める?」
「ディアナぁ?」
だってダートはするじゃん。男女逆でも同じでしょ?
「ほら、それは上級者のだからまだ挑戦するヤツじゃない。先にとっとこ?」
「ダートはするくせに」
「や、それはだって…気持ちくしてぇじゃん?勘弁してよ」
それも一緒だっての。
「じゃー手から段階踏んでこう」
「無理!」
「……あのさぁ、前からずっとそう言うだけで全然させないじゃん。ダートもすぐやめてたから待ってたけどゼロのままだし流石におっせぇわ。うだうだ言ってないでさっさと心の準備終わらせろよ」
「ここでお久しぶりの勇者出すなよ…ぅあー、オレその口調にも弱いのよ。片想い時代の走馬灯が」
走馬灯って死ぬ前に流れるやつじゃん。
返事をしないで無言で上掛けを剝ぎ取ろうとしたら手首掴まれた。これ本気のやつだ、力だけじゃ振り解けない。
「いいですか、オレとディアナは初心者です。そっこー出てお前が精子だらけになるのがわかりきってます。視覚の暴力に慣れるまで駄目、無理」
「上のったときも同じこと言ってた」
「お前自分の見た目わかってる?!普段から超絶綺麗なのに攻められたら壮絶な色気のっかってガチでヤバいのっ、心臓破裂して死ぬ!」
大丈夫私もそれあった。実際には破裂しないから。
「愛しちゃってる年季が違う!長年積みに積んだ思慕がここ数ヶ月で膨らみまくってんの、適正サイズに縮むまでもーちょい待って?!」
「何言ってるかわかんね」
「うんオレもわかんなくなってきたけどね!でもほら、言ってる間に萎えたから大丈夫」
上掛けパタパタされて見せたいのか見せたくないのかよくわからない。
手を伸ばしたらまたしても止められて、両手首を掴まれた状態になる。
「ディアナさーん?」
「こーゆーのいつも私受け身だったから、ダートにもしてあげたいのに」
「ぅぐ」
あと攻められるより攻めた方が恥ずかしい気持ち減る。ダートがあわてるからその分余裕出るのかな。
「ぅ、は、早めに慣れるようにするから今日は勘弁してください」
「そんなにやなの?」
「ディアナにされて嫌なこととか何もねぇけど…一個一個実感して次いきてぇじゃん。オレまだ暫くはディアナ抱く度目の奥つーんてなると思うわ、今日も気ぃ抜いたら涙出てくるとこだったし」
「ふぅん…じゃあもうちょっと待ってる」
泣くほど好きって言われたみたいで嬉しいから、もうしばらく待ってあげよう。
「最初から泣くほど好きなんわかってんじゃん」
「あの時より私がダートのことすごく好きになってるからかな」
「おぉ…召されそうなったわ」
全然死にそうにないダートとおやすみのキスをして、そのまま心地良い熱に包まれて眠りについた。
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初めまして。強いのに恋愛面では初心で可愛いほのぼのカップルに癒やされます(*´∇`*)
ところで、ほたっとく?というのは、ほっとく、という意味でしょうか?方言でしょうか?それだけが気になってしまって…細かいことを言ってしまってすみません💦
コメントありがとうございます。
ご指摘ありがとうございます、修正しました!完全に方言ですね…ペロッと書いてしまってました。
読んでいただきありがとうございます┏○))ペコ
幸せなへたれってあるんだってこの作品で初めて知りました。
二人の見た目と中身のギャップに思わず笑ってしまいました。
乙女な相方の歩みに付き合ってあげつつ、なれる頃には立場が逆転してしまうんじゃないかと心配ですw
コメントありがとうございます。
え、あれっヘタレ返上出来てませんでした?おかしいな…
乙女な男子はすぐ鼻血出すので、主人公は逆転しかけてもそこそこで引いてあげそうです。読んでいただきありがとうございました┏○))ペコ
いやー、二人の純愛が可愛くて、エロもなかなかに初心だけど求めてる感じがよくて、色々ちょうどいい!
もう少しで完結らしいですが、子供とか生まれるまで番外見たいくらい好ましいです!
コメントありがとうございます。
子供番外編!そんなに気に入ったと言っていただけて嬉しいです\♡︎/
さら〜っとですが最終話までたどり着いたので、最後まで読んでいただけると幸いです┏○))ペコ