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第1話
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「ファミレス行きませんか」
閉店作業が粗方終わったところでテシから突然そんな誘いを受けた。テシは二週間前からうちのバーで働いてて、先日歓迎会はしたけど特に親しくなったわけじゃない。
テシという呼び方だって勅使河原じゃ長いからそう呼んでるだけで、愛称よりは略称と言える。俺達はその程度の関係性だから、きっと仕事のことで何か話があるんだろうと思った。
「別にいいけど」
「ありがとうございます」
どうしてファミレスなのかは疑問だったけど、テシと俺の唯一の共通点がバーテンダーなのに下戸ということだからそんな店選びになったのかもしれない、くらいに考えてた。
「で、なんか相談でもあんの?」
ファミレスで席に着いて、ひとまず用件を確認してみると、テシは机の隅のポップを指差しながら即答した。
「苺のパフェが食べたかったんです」
その答えを聞いた俺は呆れて物も言えなかった。連れてこられた意味がさっぱりわからない。
「えーっと……俺、要らなくない?」
「一人で食べたって寂しいじゃないですか」
自己中心的としか言いようがない理由を述べるテシに悪びれた様子は微塵もなかった。
「勝手だな」
「はははっ」
能天気に笑われて批判する気も失せたその時、店員が注文を取りに来た。とりあえずパフェとフライドポテトとドリンクバーを注文したところでテシが席を立った。
「飲み物取って来ましょうか」
「ああ、適当に頼むわ」
自己中のくせに気が利くな、なんて思ったけど、よく考えたら店長と従業員としてはわりかし普通の流れだ。別に上下関係なんて気にしてないけど。
「お待たせ致しました」
ドリンクバーから戻ってきたテシはいかがわしい黄緑色の飲み物を二杯持ってた。
「ありがとう」
まずはお礼を言って、それから確実に何かしらドリンクを混ぜ合わせてる件について問い質す。
「お前の適当ってこれ?」
「なんちゃってメロンボールですよ」
この短時間で悪びれてない面をもう一度見ることになるとは思ってなかった。ネーミングから推測するに、恐らくメロンソーダとオレンジジュースを混ぜたんだろう。
いつだったか、うちの兄貴が「お任せって言われたら、いい意味で期待を裏切るのが一流のバーテンダーなんだよ」と熱っぽく語ってたから、兄貴からすればテシはバーテンダーの鑑なのかもしれない。
とはいえ、ご丁寧にストローまで差してくれたテシは抜け殻になった袋を無駄に細かくちぎってるから完全に何も考えてなさそうに見える。
「なんで混ぜようと思ったの?」
「今日は浮かない顔してらっしゃる気がしたもんですから」
念のため理由を聞いてみたら返って来たのは予想外の答えだった。俺は感情があまり表に出ないタイプだから、そんなことを言われたのは初めてだ。
「お前のせいだろ」
「いやいや、終日ですよ」
確かに今日は出勤前にプライベートで面倒なことが起こって、思うところはあった。バーテンダーって職業柄、やっぱり人を見る目は肥えてるらしい。
「まあ、要は励まそうとしてくれてるってこと?」
「何かしらの問題の夜明けを願ってのオレンジジュースと今宵は弾けましょうよってな意味のメロンソーダです」
日本中探したってきっと、ファミレスのドリンクバーでジュース一杯にメッセージをこめるのはテシぐらいだと思う。
「気持ちわりぃな、お前」
「それはありがとうって意味ですね」
「百歩譲ってキモありがたい」
我ながらくだらねぇこと言ったなと反省しつつ、なんちゃってメロンボールを口にした。意外と悪くなかった。
「無駄な抵抗はやめるに越したことないですよ」
「これでも相当歩み寄った方だよ」
「そうですか。残念です」
テシはにこにこ笑いながら自分のグラスにもストローを差す。そしてまた、その袋をちぎる作業を始めた。
テシは具体的なことまで聞こうとは思ってなさそうだし、俺だって私情を話すつもりなんてまるでない。だけど、なんの相談もしてないのに不思議と少し気持ちが軽くなった気がする。
「お待たせ致しました。苺のパフェをご注文のお客様」
「はい」
「ごゆっくりどうぞ」
パフェが運ばれてきてもテシは手を付けなかったから、一応は目上の人間として認識されてるらしいということがわかった。
「ポテト来るまで待ってくれるつもり?」
「待てと言われれば待ちます」
「ふーん。じゃあ、待て」
犬に命令するみたいに手をかざすと驚いた顔をされた。本当に待てと言われるとは思ってなかったみたいだ。
そのまま待たせてみたらテシは物欲しそうな目でパフェを見てたけど、しばらくしたら窺うように俺の方に視線を向けた。その表情が実家で飼ってる大型犬と重なって思わず笑ってしまった。
「よし」
「いただきます」
ようやくパフェにありついたテシは心底幸せそうだった。手持ち無沙汰なこともあって、なんとなく邪魔したい気分になった。
「ちょっとちょうだい」
「いいですよ」
俺はスプーンを借りるつもりで頼んだのに、テシはパフェをすくってスプーンの先端をこっちに差し出す。
「はい、あーん」
こいつ完全に俺のことナメてるな。そう思ったけど、ツッコミを入れる気すら起きなくて黙って食べた。苺は美味いけどクリームが甘ったるくて邪魔に思えたから、俺はきっとパフェを食うべき人間じゃないんだろう。
テシはずっと何か言いたそうな顔でこっちを見てた。しょうもないことを言い出しそうな空気をひしひしと感じる。
「これって間接キ」
「つまんねぇ」
その言葉を言い終わらないうちに一刀両断してやると、テシはなぜか満足気に笑いやがった。
「じゃあ楽しい話しましょうか」
「お、自分でハードル上げたね」
テシが本当にそんな話できるかなんて疑わしいけど、パフェを食うのを黙って見てるよりは退屈じゃないかもしれない。
「初めて作ったカクテルってなんでした?」
テシ曰くの楽しい話は俺にとっては楽しくなさそうな話だった。この仕事に対する思い入れの違いというか、温度差を感じる時はよくある。
俺なんて親父がオーナーじゃなかったら今頃どんな職に就いてたかわからないくらいだ。高一の夏にバイトしたいって言ったのに猛反対されて店の手伝いをさせられた時から親の敷いたレールの上を時々脱線しそうになりながらも進んできた。
ぶっちゃけ最初は嫌々やってたし、初めて作ったカクテルの印象なんてオブラート並みに薄い。ただ、ここで「覚えてない」なんて言ったらテシに面倒くさいテンションで絡まれそうな予感がした。
「キューバリブレだっけかな」
「俺はコーヒー牛乳でしたよ」
おざなりに答えてはみたけど、どうやら引っ掛け問題的なものだったらしい。
テシ風に言うなら「二種類以上の材料を混ぜ合わせてるんですからコーヒー牛乳だってカクテルじゃないですか」ってとこか。そう考えると、ここのドリンクバーでも星の数ほどノンアルコールカクテルが生まれてることになる。
そんな余計なことにまで思いを巡らせた末、俺は特に意味もなくテシの左頬を軽くビンタした。
「それで言ったら多分ミルクセーキだよ」
「ノスタルジックですね。俺としても思い出深い一品ですよ。卵黄が余った日に師匠が作ってくれたもんですから」
おしぼりで手を拭きつつ話を再開すると、テシも何事もなかったかのように同調してくる。心なしかさっきより早口だけど。
テシの師匠は世界大会にも出場するレベルのフレアバーテンダーだと親父から聞いたことがある。世界進出のために店を畳んで、今はフレアの本場のラスベガスにいるらしい。
彼女と親父は古くからの知り合いだからテシのことを託されたらしいけど、ベテランバーテンダーの藤村さんの引退に備えて求人をかけようとしてたところだったから、うちとしても渡りに船だった。
「そういや、テシは師匠について行こうとは思わなかったの?」
そういう選択肢もあったんじゃないかと思って聞いてみたら、パフェを食べてたテシの手がピタッと止まった。変な間があった後、テシはようやく口を開く。
「俺はフレアの方はからっきしでしたからね」
ぎこちないその笑顔を見て、明らかに他に何か事情があることは察した。だけど、今日のところはなんちゃってメロンボールに免じて聞かないでおくことにした。
閉店作業が粗方終わったところでテシから突然そんな誘いを受けた。テシは二週間前からうちのバーで働いてて、先日歓迎会はしたけど特に親しくなったわけじゃない。
テシという呼び方だって勅使河原じゃ長いからそう呼んでるだけで、愛称よりは略称と言える。俺達はその程度の関係性だから、きっと仕事のことで何か話があるんだろうと思った。
「別にいいけど」
「ありがとうございます」
どうしてファミレスなのかは疑問だったけど、テシと俺の唯一の共通点がバーテンダーなのに下戸ということだからそんな店選びになったのかもしれない、くらいに考えてた。
「で、なんか相談でもあんの?」
ファミレスで席に着いて、ひとまず用件を確認してみると、テシは机の隅のポップを指差しながら即答した。
「苺のパフェが食べたかったんです」
その答えを聞いた俺は呆れて物も言えなかった。連れてこられた意味がさっぱりわからない。
「えーっと……俺、要らなくない?」
「一人で食べたって寂しいじゃないですか」
自己中心的としか言いようがない理由を述べるテシに悪びれた様子は微塵もなかった。
「勝手だな」
「はははっ」
能天気に笑われて批判する気も失せたその時、店員が注文を取りに来た。とりあえずパフェとフライドポテトとドリンクバーを注文したところでテシが席を立った。
「飲み物取って来ましょうか」
「ああ、適当に頼むわ」
自己中のくせに気が利くな、なんて思ったけど、よく考えたら店長と従業員としてはわりかし普通の流れだ。別に上下関係なんて気にしてないけど。
「お待たせ致しました」
ドリンクバーから戻ってきたテシはいかがわしい黄緑色の飲み物を二杯持ってた。
「ありがとう」
まずはお礼を言って、それから確実に何かしらドリンクを混ぜ合わせてる件について問い質す。
「お前の適当ってこれ?」
「なんちゃってメロンボールですよ」
この短時間で悪びれてない面をもう一度見ることになるとは思ってなかった。ネーミングから推測するに、恐らくメロンソーダとオレンジジュースを混ぜたんだろう。
いつだったか、うちの兄貴が「お任せって言われたら、いい意味で期待を裏切るのが一流のバーテンダーなんだよ」と熱っぽく語ってたから、兄貴からすればテシはバーテンダーの鑑なのかもしれない。
とはいえ、ご丁寧にストローまで差してくれたテシは抜け殻になった袋を無駄に細かくちぎってるから完全に何も考えてなさそうに見える。
「なんで混ぜようと思ったの?」
「今日は浮かない顔してらっしゃる気がしたもんですから」
念のため理由を聞いてみたら返って来たのは予想外の答えだった。俺は感情があまり表に出ないタイプだから、そんなことを言われたのは初めてだ。
「お前のせいだろ」
「いやいや、終日ですよ」
確かに今日は出勤前にプライベートで面倒なことが起こって、思うところはあった。バーテンダーって職業柄、やっぱり人を見る目は肥えてるらしい。
「まあ、要は励まそうとしてくれてるってこと?」
「何かしらの問題の夜明けを願ってのオレンジジュースと今宵は弾けましょうよってな意味のメロンソーダです」
日本中探したってきっと、ファミレスのドリンクバーでジュース一杯にメッセージをこめるのはテシぐらいだと思う。
「気持ちわりぃな、お前」
「それはありがとうって意味ですね」
「百歩譲ってキモありがたい」
我ながらくだらねぇこと言ったなと反省しつつ、なんちゃってメロンボールを口にした。意外と悪くなかった。
「無駄な抵抗はやめるに越したことないですよ」
「これでも相当歩み寄った方だよ」
「そうですか。残念です」
テシはにこにこ笑いながら自分のグラスにもストローを差す。そしてまた、その袋をちぎる作業を始めた。
テシは具体的なことまで聞こうとは思ってなさそうだし、俺だって私情を話すつもりなんてまるでない。だけど、なんの相談もしてないのに不思議と少し気持ちが軽くなった気がする。
「お待たせ致しました。苺のパフェをご注文のお客様」
「はい」
「ごゆっくりどうぞ」
パフェが運ばれてきてもテシは手を付けなかったから、一応は目上の人間として認識されてるらしいということがわかった。
「ポテト来るまで待ってくれるつもり?」
「待てと言われれば待ちます」
「ふーん。じゃあ、待て」
犬に命令するみたいに手をかざすと驚いた顔をされた。本当に待てと言われるとは思ってなかったみたいだ。
そのまま待たせてみたらテシは物欲しそうな目でパフェを見てたけど、しばらくしたら窺うように俺の方に視線を向けた。その表情が実家で飼ってる大型犬と重なって思わず笑ってしまった。
「よし」
「いただきます」
ようやくパフェにありついたテシは心底幸せそうだった。手持ち無沙汰なこともあって、なんとなく邪魔したい気分になった。
「ちょっとちょうだい」
「いいですよ」
俺はスプーンを借りるつもりで頼んだのに、テシはパフェをすくってスプーンの先端をこっちに差し出す。
「はい、あーん」
こいつ完全に俺のことナメてるな。そう思ったけど、ツッコミを入れる気すら起きなくて黙って食べた。苺は美味いけどクリームが甘ったるくて邪魔に思えたから、俺はきっとパフェを食うべき人間じゃないんだろう。
テシはずっと何か言いたそうな顔でこっちを見てた。しょうもないことを言い出しそうな空気をひしひしと感じる。
「これって間接キ」
「つまんねぇ」
その言葉を言い終わらないうちに一刀両断してやると、テシはなぜか満足気に笑いやがった。
「じゃあ楽しい話しましょうか」
「お、自分でハードル上げたね」
テシが本当にそんな話できるかなんて疑わしいけど、パフェを食うのを黙って見てるよりは退屈じゃないかもしれない。
「初めて作ったカクテルってなんでした?」
テシ曰くの楽しい話は俺にとっては楽しくなさそうな話だった。この仕事に対する思い入れの違いというか、温度差を感じる時はよくある。
俺なんて親父がオーナーじゃなかったら今頃どんな職に就いてたかわからないくらいだ。高一の夏にバイトしたいって言ったのに猛反対されて店の手伝いをさせられた時から親の敷いたレールの上を時々脱線しそうになりながらも進んできた。
ぶっちゃけ最初は嫌々やってたし、初めて作ったカクテルの印象なんてオブラート並みに薄い。ただ、ここで「覚えてない」なんて言ったらテシに面倒くさいテンションで絡まれそうな予感がした。
「キューバリブレだっけかな」
「俺はコーヒー牛乳でしたよ」
おざなりに答えてはみたけど、どうやら引っ掛け問題的なものだったらしい。
テシ風に言うなら「二種類以上の材料を混ぜ合わせてるんですからコーヒー牛乳だってカクテルじゃないですか」ってとこか。そう考えると、ここのドリンクバーでも星の数ほどノンアルコールカクテルが生まれてることになる。
そんな余計なことにまで思いを巡らせた末、俺は特に意味もなくテシの左頬を軽くビンタした。
「それで言ったら多分ミルクセーキだよ」
「ノスタルジックですね。俺としても思い出深い一品ですよ。卵黄が余った日に師匠が作ってくれたもんですから」
おしぼりで手を拭きつつ話を再開すると、テシも何事もなかったかのように同調してくる。心なしかさっきより早口だけど。
テシの師匠は世界大会にも出場するレベルのフレアバーテンダーだと親父から聞いたことがある。世界進出のために店を畳んで、今はフレアの本場のラスベガスにいるらしい。
彼女と親父は古くからの知り合いだからテシのことを託されたらしいけど、ベテランバーテンダーの藤村さんの引退に備えて求人をかけようとしてたところだったから、うちとしても渡りに船だった。
「そういや、テシは師匠について行こうとは思わなかったの?」
そういう選択肢もあったんじゃないかと思って聞いてみたら、パフェを食べてたテシの手がピタッと止まった。変な間があった後、テシはようやく口を開く。
「俺はフレアの方はからっきしでしたからね」
ぎこちないその笑顔を見て、明らかに他に何か事情があることは察した。だけど、今日のところはなんちゃってメロンボールに免じて聞かないでおくことにした。
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