私、飼い猫のムーンと申しますが、転生したら野良の魔じん族になりました。

むーん

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全てのはじまり編

入学候補者選抜試験!

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「では、魔法の実技試験を始める。順番に的をめがけて得意な魔法を打て。」

校長に会ってから一週間が経ち、今日は入学候補者選抜の試験日。

「よし、絶対合格するぞ…。」

五メートルくらい先の的には次々と魔法が当てられていった。
的には傷一つなく、みんなは基礎魔法を使っていた。

「かなり力を抑えなきゃいけないのかな…。」

アールドは、みんなが力を抑えていると勘違いしていた。

「では最後はアールドだ。お前の中で最大の魔法を放ってみろ。」

(最大の魔法でいいのか。…よし。ムーンちゃんに教えてもらった魔法を…。)

アールドは今日までの二週間の間、ムーンに魔法の特訓をしてもらっていた。

***

「アールド!二週間後の試験に向けて、特訓しよ!」

ムーンは今までにないくらい、真剣な顔つきでアールドに言った。

「けど、普段からムーンちゃんに特訓してもらってるから、大丈夫じゃないかな?」

「いや!特訓しないと、私の方が緊張してくるんだから!」

少し青い顔をさせながら、ムーンはアールドに緊張を訴えた。

「分かったよ…。じゃあ、お願いしよっかな。」

アールドはムーンの不安そうな顔を見て、特訓してもらうことにした。
正直のところ、アールドはムーンに特訓してもらえることに喜びと安心感を覚えた。

「じゃあ、二週間しかないから、少し詰め込むよ?」

「よろしく!」

「まずは、魔力制御の特訓だよ。僅かに出てるオーラを少しも出さないようにしてみて!」

「オーラ?」

アールドはオーラの存在について、まだ知らなかった。

「しっかりと魔力制御ができてないと、オーラが外に漏れちゃって、討伐部隊とかにバレたりするからね。」

「そうなんだー。」

早速、アールドは魔力の制御を始めた。

「もう少し、集中した方がいいよ。」

「集中…。」

魔力制御には想像もできないほどの集中力を必要とし、並の魔法使いでは、一時間も持たないほどとされている。
それをアールドは二週間のうちに、習得しようとしている。

「…。」

「おお?いいんじゃない!?」

二、三時間経った頃、アールドからは全くオーラが感じられなくなっていて、魔力制御に成功していた。

「じゃあ、その状態で魔力弾を打ってみて?」

「わかった。」

そういうと、アールドは手のひらに意識を集中させ、体内の魔力を注ぎ込むようなイメージをした。

――バッキューン!!

鼓膜が破れそうなほどの轟音と共に魔力弾は放たれ、数キロ先まで飛んでいった。
魔力弾の通った跡には、抉られた地面と折れた木々が広がっていて、とても森とはいえない状況になっていた。

「おぉー!アールドすごーい!かっこいい!これなら、試験も合格だね!」

アールドは二週間どころか、一日で魔力制御を覚え、魔力弾の威力を大幅に上げた。

「あとは、アールド得意な剣術と体術をもっと訓練するだけだね!」

「魔法はもう大丈夫なの?」

「大丈夫だけど、試験日まで私が指導して悪い癖とか無駄な動きを削っていくよ。」

「分かった。ありがとう。」

***

(ムーンちゃんに二週間も見てもらったんだ。恥ずかしい魔法は見せられない…。)

――<魔力大星破(ノヴァ・インパクト)!!>

アールドが放った技は、世界一を誇る頑丈さを持っているはずの、この試験会場を粉砕してしまった。
幸い、試験官が多重シールドを張ったのと、瓦礫や爆風の被害がアールドのいる方は最小限で、怪我人は出なかった。

「なんだよあれ…。」

「絶対、あいつが特待生だろ。」

周りの受験者からは痛いほどの視線を感じた。
そして、しばらくしてから試験官が我に返った。

「…もういい。アールドは体術の試験場へ向かえ。」

「…すみません。」

アールドは申し訳なさを感じながら、体術の試験場へ向かった。

――体術の試験場。

「君がアールドくんだね。話は聞いているよ。」

体術の試験官は、少し渋めで白髪のおじさんだった。
しかし、堅苦しいスーツの内側にはとてつもない肉体が隠れているのが分かる。

「では、私と組手をしよう。本気でかかって来なさい。」

「はい!」

アールドが殴りかかると、試験官もアールドの拳を捌き、反撃をしてきた。
そこにアールドもタイミングを合わせ、攻撃を繰り出した。

「はぁ!」

試験官のパンチを左手で受け止め、そのまま右の拳を繰り出し、顔の目の前で止めた。

「うん。アールドくんの実力はよく分かった。私と渡り合えるのはすごい事だ。見たことがない。」

「ありがとうございます。」

「だが、不思議な構えと戦い方だったな。」

「ムーンって分かりますか?俺はその人に教わったんです。ジークンドーってやつです。」

「へえ。聞いた事のない武術だな。」

試験官は見た事のない戦い方にとても興味を持っている様子だった。

「そうかもしれないですね。」

「まぁ、とりあえず。この試験は終了だ。合否は後日出る。次は剣術の試験会場に向かってくれ。」

「分かりました!」

(次は剣か…。頑張ろう!)

――剣術の試験会場。

「ここかな…?こんちわー。」

「おぉ、坊ちゃん。お久しぶりです。」

「ん…え!?ギートラスさん!?」

ギートラスは、昔からお世話になっていたアールドの元執事で、アールドはギートラスを気に入っていた。

「ギートラスさんは変わりないようでよかったです!」

「坊ちゃんは背が伸びているようで、成長しましたなぁ。」

「ギートラスさんが剣術の試験官?」

「えぇ。といっても、坊ちゃんの剣術の腕前は十分に把握してますがね。では、始めましょうか。」

「はい!」

そして木刀での模擬戦が行われた。

「はぁ!」

――スパンッ!!

アールドは突き技やギートラスの攻撃に対する素早い防御など、巧みな剣術を見せつけた。
そして、お互いの木刀がぶつかった所で模擬戦は終了した。

「やはり坊ちゃんはお強いですなぁ。あの頃よりさらに剣が上達していましたよ。」

「ありがとう!」

「ゴホンッ…。では、今日の試験は全て終わったようですね。このまま、帰ってしまって大丈夫ですよ。合否は後日、校門前にある掲示板に張り出されますので。」

「分かりました!じゃあ!」

アールドは全ての入学候補者選抜試験の内容を終わらせ、帰路に就いた。
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