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第19話 再び冒険へ
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前に冒険を中断したツギノ村の村長の家の前にあたし達は降臨した。
あたしは勇者を導く精霊にして魔法使いであるルミナとして、高嶺ちゃんは僧侶のタカネとして降臨する。
天界から村へと降り立ったあたしは早速コウの姿を探すことにした。
「さて、コウはどこにいるのかな」
あたしを待っているはずだからそう遠くへは行っていないはずだけど。
また近くでレベル上げをしているのかな。
「ここが異世界の村ですのね。へえ」
高嶺ちゃんは物珍しそうにしている。あたしは彼女に釘を刺しておくことにした。現実世界では高嶺ちゃんが委員長で偉いんだけど、このファンタジアワールドではあたしの方が先輩で人を導く精霊なんだからね。
「高嶺ちゃん、珍しいからときょろきょろして、はぐれないでよ」
「分かっていますわ。わたくしはあなたのやる事を拝見しに来たのですからね。もしはぐれたらスマホで連絡を取り合いましょう」
お互いにスマホを出して番号を交わし合うあたし達。ここって圏外ってわけじゃないのか。これも神様の権限によるチートのパワーなのかな。
あんまりファンタジーの世界で現代の道具は使いたくないんだけど。
それは彼女も同じ思いのようで、番号の交換を済ませたらすぐに自分のスマホをしまっていた。
「あまり異世界の文化に影響を与えるべきではありませんからね」
そういうことらしい。あたしは自分の都合と気分の事しか考えていなかったが、高嶺ちゃんはあたしより良い頭を持っていた。そんな頭の良い彼女にあたしはもう一つ忠告しないといけないことがあった。
「この世界の事は現実世界のみんなには内緒でお願いします」
「もちろんですわ。異世界の事が他人に知られては大変ですからね」
あたしはやけに物分かりがいいなと思って再度訊ねた。念を押すように。細かいことを気にしてしまうのはあたしの悪い性格だろうか。
「本当に内緒にしてくれるの?」
「ええ、異世界が実在する噂が世間に広まれば調査にやる気になる機関が増えることになるでしょうから。そうなればわたくし達にとっても痛手ですからね。あなたこそ黙っていてくださいよ。この世界があることを」
「うん、それはもちろん。約束だよ」
あたし達は約束を交わし合う。
あたしは自分の都合の事だけを考えていたけど、高嶺ちゃんはもっと大きい事を考えているようだった。
まあ、普通の一般人に過ぎないあたしに頭の良いお嬢様の考えることなんて分かるわけがない。
今はそんなことよりもコウを探そう。ちょっとスタートで時間を取ってしまった。
この村の事ならあたしの方が高嶺ちゃんより詳しい。あたしが先導して歩くことにする。
高嶺ちゃんは最初からあたしのやる事を見るためにここへ来たので、あたしがリーダーとして先導する事に反対する事はしなかった。
コウはどこにいるのだろう。分からなければ村の人に聞こうかと思ったがその必要はなくすぐに見つかった。
コウは村の人達の畑仕事を手伝っていた。気が付いたコウが手を振ってきた。
「ルミナーーー!」
「コウ! 村の人の手伝いをしていたの?」
「ああ、手伝って欲しいって頼まれたんだ」
コウは戦いのセンスだけでなく、人としてもたくましく成長しているようだった。
ただ戦うだけでなく、村の人の手伝いが出来るようになっていた。勇者も成長したもんだ。
村の人に感謝され、あたし達は合流した。さて、冒険の続きを始めよう。その前に新しく入った人を紹介だ。
高嶺ちゃんはこうした挨拶に慣れているんだろう、すぐに礼儀正しく挨拶した。さすがお嬢様と思える優雅な動作だった。
「初めまして、ルミナさんの友達で僧侶のタカネと申します。今日は旅をご一緒させてもらうことになりました。よろしくお願いします」
「こっちこそよろしくお願いします。俺、コウです」
高嶺ちゃんはニッコリ。コウは照れ照れ。何かこういうの面白くないな。あたしはすぐに冒険の続きを促すことにした。
「コウ、何か村の人達から次の目的地の情報は聞けた?」
「それなら……」
コウの話によると村の北に隣のオオキナ大陸に渡れる海底トンネルがあるらしい。
このツギノ村があるのはチイサナ島と言って、タビダチ王国とツギノ村以外に人の集まっている集落は無いようだ。
ツギノ村はタビダチ王国との中継点にある村としてそのオオキナ大陸にあるサード王国の商人とも交易を行っていたのだが、最近の地震で岩が崩れて通行不能になってしまったという。
村の人達は何とか通れる手立てをと考えているとの事だが……あたしはゲーム的に閃いた。
「盗賊を倒して村の問題を解決したから先に進めるフラグが立ったかもしれないわね。村長さんの家に行ってみましょう」
そうして、あたし達は村長さんの家に向かうことにした。
昨日来たばかりの大きな家。
村長さんの家に入ると村長さんは何か悩んでいるようだった。昨日料理が並んでいたテーブルに大きな箱を置いて、その前で何やら唸っていた。
「何かあったんですか?」
あたしが訊ねると村長さんは難しそうな顔を見せながら答えてくれた。
「うむ、旅の商人に岩を砕くならこの爆弾を使えばいいと譲ってもらったのじゃがな。どうもわしには使い方が分からないのじゃ」
「どれどれ」
あたしは箱の中にある爆弾を見せてもらう。コウも隣から覗いてきた。
高嶺ちゃんは爆弾に近づいて大丈夫? って顔をしていたが、あたし達が平気な顔をして見ていたので自分も近づいて見に来た。
なんてことは無い普通の爆弾だ。あたしにはすぐに使い方が分かった。
導火線に火を付けて少し待つだけだ。爆弾は数秒後に爆発する。
こうした爆弾はゲームで何回も使ってきたし、あたしは魔法使いで火が使えるので火打石を買う必要も無かった。
そんなに難しくないと思うんだけど、村長には難しかったのかな。
あたし達は村長からその爆弾を譲ってもらうと村で旅立ちの用意を済ませ、すぐに海底トンネルに向かうことにした。
さあ、いよいよこのチイサナ島を出てオオキナ大陸へ進出するよ。
あたしは勇者を導く精霊にして魔法使いであるルミナとして、高嶺ちゃんは僧侶のタカネとして降臨する。
天界から村へと降り立ったあたしは早速コウの姿を探すことにした。
「さて、コウはどこにいるのかな」
あたしを待っているはずだからそう遠くへは行っていないはずだけど。
また近くでレベル上げをしているのかな。
「ここが異世界の村ですのね。へえ」
高嶺ちゃんは物珍しそうにしている。あたしは彼女に釘を刺しておくことにした。現実世界では高嶺ちゃんが委員長で偉いんだけど、このファンタジアワールドではあたしの方が先輩で人を導く精霊なんだからね。
「高嶺ちゃん、珍しいからときょろきょろして、はぐれないでよ」
「分かっていますわ。わたくしはあなたのやる事を拝見しに来たのですからね。もしはぐれたらスマホで連絡を取り合いましょう」
お互いにスマホを出して番号を交わし合うあたし達。ここって圏外ってわけじゃないのか。これも神様の権限によるチートのパワーなのかな。
あんまりファンタジーの世界で現代の道具は使いたくないんだけど。
それは彼女も同じ思いのようで、番号の交換を済ませたらすぐに自分のスマホをしまっていた。
「あまり異世界の文化に影響を与えるべきではありませんからね」
そういうことらしい。あたしは自分の都合と気分の事しか考えていなかったが、高嶺ちゃんはあたしより良い頭を持っていた。そんな頭の良い彼女にあたしはもう一つ忠告しないといけないことがあった。
「この世界の事は現実世界のみんなには内緒でお願いします」
「もちろんですわ。異世界の事が他人に知られては大変ですからね」
あたしはやけに物分かりがいいなと思って再度訊ねた。念を押すように。細かいことを気にしてしまうのはあたしの悪い性格だろうか。
「本当に内緒にしてくれるの?」
「ええ、異世界が実在する噂が世間に広まれば調査にやる気になる機関が増えることになるでしょうから。そうなればわたくし達にとっても痛手ですからね。あなたこそ黙っていてくださいよ。この世界があることを」
「うん、それはもちろん。約束だよ」
あたし達は約束を交わし合う。
あたしは自分の都合の事だけを考えていたけど、高嶺ちゃんはもっと大きい事を考えているようだった。
まあ、普通の一般人に過ぎないあたしに頭の良いお嬢様の考えることなんて分かるわけがない。
今はそんなことよりもコウを探そう。ちょっとスタートで時間を取ってしまった。
この村の事ならあたしの方が高嶺ちゃんより詳しい。あたしが先導して歩くことにする。
高嶺ちゃんは最初からあたしのやる事を見るためにここへ来たので、あたしがリーダーとして先導する事に反対する事はしなかった。
コウはどこにいるのだろう。分からなければ村の人に聞こうかと思ったがその必要はなくすぐに見つかった。
コウは村の人達の畑仕事を手伝っていた。気が付いたコウが手を振ってきた。
「ルミナーーー!」
「コウ! 村の人の手伝いをしていたの?」
「ああ、手伝って欲しいって頼まれたんだ」
コウは戦いのセンスだけでなく、人としてもたくましく成長しているようだった。
ただ戦うだけでなく、村の人の手伝いが出来るようになっていた。勇者も成長したもんだ。
村の人に感謝され、あたし達は合流した。さて、冒険の続きを始めよう。その前に新しく入った人を紹介だ。
高嶺ちゃんはこうした挨拶に慣れているんだろう、すぐに礼儀正しく挨拶した。さすがお嬢様と思える優雅な動作だった。
「初めまして、ルミナさんの友達で僧侶のタカネと申します。今日は旅をご一緒させてもらうことになりました。よろしくお願いします」
「こっちこそよろしくお願いします。俺、コウです」
高嶺ちゃんはニッコリ。コウは照れ照れ。何かこういうの面白くないな。あたしはすぐに冒険の続きを促すことにした。
「コウ、何か村の人達から次の目的地の情報は聞けた?」
「それなら……」
コウの話によると村の北に隣のオオキナ大陸に渡れる海底トンネルがあるらしい。
このツギノ村があるのはチイサナ島と言って、タビダチ王国とツギノ村以外に人の集まっている集落は無いようだ。
ツギノ村はタビダチ王国との中継点にある村としてそのオオキナ大陸にあるサード王国の商人とも交易を行っていたのだが、最近の地震で岩が崩れて通行不能になってしまったという。
村の人達は何とか通れる手立てをと考えているとの事だが……あたしはゲーム的に閃いた。
「盗賊を倒して村の問題を解決したから先に進めるフラグが立ったかもしれないわね。村長さんの家に行ってみましょう」
そうして、あたし達は村長さんの家に向かうことにした。
昨日来たばかりの大きな家。
村長さんの家に入ると村長さんは何か悩んでいるようだった。昨日料理が並んでいたテーブルに大きな箱を置いて、その前で何やら唸っていた。
「何かあったんですか?」
あたしが訊ねると村長さんは難しそうな顔を見せながら答えてくれた。
「うむ、旅の商人に岩を砕くならこの爆弾を使えばいいと譲ってもらったのじゃがな。どうもわしには使い方が分からないのじゃ」
「どれどれ」
あたしは箱の中にある爆弾を見せてもらう。コウも隣から覗いてきた。
高嶺ちゃんは爆弾に近づいて大丈夫? って顔をしていたが、あたし達が平気な顔をして見ていたので自分も近づいて見に来た。
なんてことは無い普通の爆弾だ。あたしにはすぐに使い方が分かった。
導火線に火を付けて少し待つだけだ。爆弾は数秒後に爆発する。
こうした爆弾はゲームで何回も使ってきたし、あたしは魔法使いで火が使えるので火打石を買う必要も無かった。
そんなに難しくないと思うんだけど、村長には難しかったのかな。
あたし達は村長からその爆弾を譲ってもらうと村で旅立ちの用意を済ませ、すぐに海底トンネルに向かうことにした。
さあ、いよいよこのチイサナ島を出てオオキナ大陸へ進出するよ。
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