1 / 1
第1話
しおりを挟む
私は旅をしている旅人だ。
別に使命感に燃えたり、目的があったりするわけじゃない。
のんびりと気ままな旅をするのが好きなだけ。
そんな旅先でふと見かけた珈琲店があった。
何となくピンと来た。私は自分の勘と興味を引いた物には立ち寄ることにしている。
雰囲気も良さそうな店なので入ってみることにした。
カランコロン。軽快な音を聞きながら店に入る。
普通なら『いらっしゃいませー』と気分良く迎えられるところだろうが。
「ああん? てめえ、何をしに来た?」
なぜか店員と思しき男に睨まれた。長身でかっこよくて店の雰囲気にあったお洒落と思える男子だが、なぜ睨まれないといけないのか。
回れ右して帰っても良かったが、私は客であるのだし、びびって逃げたと思われても癪に障る。
正直に答えることにした。
「コーヒーを飲みに来たんですけど」
「そうかよ。だったらさっさと座れよ」
何という横柄な態度だろう。店員は客を案内しようともしない。
私が不満を持って彼を睨み付けていると、逆に睨み返されてしまった。
「お前、俺が選んでやらないと自分の座る席も決められないのか?」
「選べますよ!」
わたしはずんずんと店内を進むと、あえて彼のすぐ傍の正面の席に陣取った。
今になって気づいたが、店内には良い音楽が流れていた。
「良い曲ですね」
私は耳に心地のいい音楽に気分をよくして言うのだが、彼はムッとしたままだった。
「お前に音楽のセンスが分かるのかよ」
「分かりますよ!」
「お前は偉い音楽の先生か何かなのかよ」
「偉い音楽の先生じゃなくても曲の良さは分かるでしょう?」
「フッ、ちがいねえ」
あ、ちょっと笑った。
何だ、可愛いところもあるんじゃないか。
私が少し気分をよくして彼を見ていると、彼は何かを差し出してきた。
メニュー表だ。
「選べよ。コーヒー飲みに来たんだろ?」
「ほい来た」
私はメニューに目を通し、選んだ。
「じゃあ、カプチーノでお願いします」
「お前、珈琲店まで来てカプチーノなんて飲むのかよ」
「悪い?」
「別に悪かねえよ。ちょっと待ってろ」
待てと言われたので、しばらく待つ。
彼がカプチーノを持って、テーブルに置いた。
「ごゆっくり」
せっかくなのでゆっくりしてやることにする。
カプチーノは美味しかった。
冷めるのももったいないのでちょっと急ぐことにした。
静かな店だ。あまり流行ってないのだろうか。
ゆっくり飲んでいたのに、飲み終わってしまった。
私は伝票を持って立ちあがった。
彼がレジを打って、私はお釣りを受け取った。
良い手をしていると思った。
「また来いよ」
「はい」
自然と言葉が口に出ていた。
私はまた来ても良いと思えるぐらいにはこの店を気に入ったようだ。
少し寂しいと思いながら旅を続けることにした。
吐いた息はカプチーノの甘い香りがした。
別に使命感に燃えたり、目的があったりするわけじゃない。
のんびりと気ままな旅をするのが好きなだけ。
そんな旅先でふと見かけた珈琲店があった。
何となくピンと来た。私は自分の勘と興味を引いた物には立ち寄ることにしている。
雰囲気も良さそうな店なので入ってみることにした。
カランコロン。軽快な音を聞きながら店に入る。
普通なら『いらっしゃいませー』と気分良く迎えられるところだろうが。
「ああん? てめえ、何をしに来た?」
なぜか店員と思しき男に睨まれた。長身でかっこよくて店の雰囲気にあったお洒落と思える男子だが、なぜ睨まれないといけないのか。
回れ右して帰っても良かったが、私は客であるのだし、びびって逃げたと思われても癪に障る。
正直に答えることにした。
「コーヒーを飲みに来たんですけど」
「そうかよ。だったらさっさと座れよ」
何という横柄な態度だろう。店員は客を案内しようともしない。
私が不満を持って彼を睨み付けていると、逆に睨み返されてしまった。
「お前、俺が選んでやらないと自分の座る席も決められないのか?」
「選べますよ!」
わたしはずんずんと店内を進むと、あえて彼のすぐ傍の正面の席に陣取った。
今になって気づいたが、店内には良い音楽が流れていた。
「良い曲ですね」
私は耳に心地のいい音楽に気分をよくして言うのだが、彼はムッとしたままだった。
「お前に音楽のセンスが分かるのかよ」
「分かりますよ!」
「お前は偉い音楽の先生か何かなのかよ」
「偉い音楽の先生じゃなくても曲の良さは分かるでしょう?」
「フッ、ちがいねえ」
あ、ちょっと笑った。
何だ、可愛いところもあるんじゃないか。
私が少し気分をよくして彼を見ていると、彼は何かを差し出してきた。
メニュー表だ。
「選べよ。コーヒー飲みに来たんだろ?」
「ほい来た」
私はメニューに目を通し、選んだ。
「じゃあ、カプチーノでお願いします」
「お前、珈琲店まで来てカプチーノなんて飲むのかよ」
「悪い?」
「別に悪かねえよ。ちょっと待ってろ」
待てと言われたので、しばらく待つ。
彼がカプチーノを持って、テーブルに置いた。
「ごゆっくり」
せっかくなのでゆっくりしてやることにする。
カプチーノは美味しかった。
冷めるのももったいないのでちょっと急ぐことにした。
静かな店だ。あまり流行ってないのだろうか。
ゆっくり飲んでいたのに、飲み終わってしまった。
私は伝票を持って立ちあがった。
彼がレジを打って、私はお釣りを受け取った。
良い手をしていると思った。
「また来いよ」
「はい」
自然と言葉が口に出ていた。
私はまた来ても良いと思えるぐらいにはこの店を気に入ったようだ。
少し寂しいと思いながら旅を続けることにした。
吐いた息はカプチーノの甘い香りがした。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。
ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。
彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。
婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。
そして迎えた学園卒業パーティー。
ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。
ガッツポーズを決めるリリアンヌ。
そのままアレックスに飛び込むかと思いきや――
彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。
友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった
海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····?
友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))
夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども
神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」
と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。
大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。
文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行「婚約破棄ですか? それなら昨日成立しましたよ、ご存知ありませんでしたか?」完結
まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。
コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。
「アリシア・フィルタ貴様との婚約を破棄する!」
イエーガー公爵家の令息レイモンド様が言い放った。レイモンド様の腕には男爵家の令嬢ミランダ様がいた。ミランダ様はピンクのふわふわした髪に赤い大きな瞳、小柄な体躯で庇護欲をそそる美少女。
対する私は銀色の髪に紫の瞳、表情が表に出にくく能面姫と呼ばれています。
レイモンド様がミランダ様に惹かれても仕方ありませんね……ですが。
「貴様は俺が心優しく美しいミランダに好意を抱いたことに嫉妬し、ミランダの教科書を破いたり、階段から突き落とすなどの狼藉を……」
「あの、ちょっとよろしいですか?」
「なんだ!」
レイモンド様が眉間にしわを寄せ私を睨む。
「婚約破棄ですか? 婚約破棄なら昨日成立しましたが、ご存知ありませんでしたか?」
私の言葉にレイモンド様とミランダ様は顔を見合わせ絶句した。
全31話、約43,000文字、完結済み。
他サイトにもアップしています。
小説家になろう、日間ランキング異世界恋愛2位!総合2位!
pixivウィークリーランキング2位に入った作品です。
アルファポリス、恋愛2位、総合2位、HOTランキング2位に入った作品です。
2021/10/23アルファポリス完結ランキング4位に入ってました。ありがとうございます。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる