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第1話 超能力者花子さん
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花子さんは超能力者だ。
生まれた時から空を飛んだり、別の場所にワープしたり、見えない電波と交信したり、手を触れずに物を浮かべたりすることができた。
ある日、ひょんなことから花子さんが超能力者だということがばれてしまった。
その日は雨上がりの日で花子さんは水たまりを観察するのに忙しかったんだけど、あまりみんながうるさく言うものだからしかたなくテレビ局に行ってやることにした。
テレビ局に行くとカメラを向けられた。
「はーい、笑ってくださーい」
なんて言うものだから仕方なく笑ってやった。笑いに弾けるようにテレビカメラが爆発した。
「わたしの笑顔は100億ボルトなんです」
騒がれるのも面倒なのでアメンボウでも理解出来るように花子さんは簡潔な説明を試みた。相手はもう笑ってくださいとは言わなかった。花子さんは人間とはあまり会話をしたことは無かったんだけど、その日のことで人間はアメンボウよりも融通が効く生き物だということが理解できた。
「花子さんは超能力を使えるそうですね。それじゃあ、ちょっと見せてくれますか」
「あれ」
司会者の人にマイクを向けられ、花子さんは仏張面で爆発炎上して消火作業に追われているテレビカメラを指さした。
「まあ、あれも超能力の一つですね。それじゃあ、今度はこのスプーンを曲げてくれるかな」
花子さんの前にわざわざ豪勢な台車に乗せられて一本のスプーンが運ばれてきた。花子さんはそれを普通に手に取り、指を当てて曲げた。
「曲がりました」
花子さんはそれをお茶の間の人達にもよく見えるように向けてやった。
「違うんだよ、花子さん。僕たちは花子さんが超能力でスプーンを曲げるところを見たいんだよ」
「やってみます」
司会者の人に新しいスプーンを手渡され、花子さんは超能力でそれを曲げようと念をこめた。
客席の一番後ろの人の首がクイッと曲がった。狙いを外したらしい。スプーンは細いし光ってるから狙いがつけにくい。
6回ばかり失敗したが、7回目でなんとかスプーンを曲げることに成功した。客席からパチパチと拍手が上がった。
花子さんはあまり人前に出たことは無かったけど、ほめられると妙にこそばゆかった。
「いやあ、凄いなあ花子さんは。それじゃあ、次はこれを持ち上げてくれるかな。超能力でね」
「はい、頑張ります」
花子さんの前に一つの石が置かれた。花子さんはそれを持ち上げようと念を送った。さっきの今で照れ臭くてつい張り切って力を入れ過ぎてしまう。
地球が動いてしまった。太陽から遠ざかるように結構な距離を移動した。環境に適応出来ない人間はあっと言う間に滅びてしまった。
花子さんは最近では氷雨の日に出来る固まりを見ながら毎日を過ごしている。
氷の星となった地球では今は誰もいない。
それでも花子さんは今日も誰かに声をかけられるのを待っている。
生まれた時から空を飛んだり、別の場所にワープしたり、見えない電波と交信したり、手を触れずに物を浮かべたりすることができた。
ある日、ひょんなことから花子さんが超能力者だということがばれてしまった。
その日は雨上がりの日で花子さんは水たまりを観察するのに忙しかったんだけど、あまりみんながうるさく言うものだからしかたなくテレビ局に行ってやることにした。
テレビ局に行くとカメラを向けられた。
「はーい、笑ってくださーい」
なんて言うものだから仕方なく笑ってやった。笑いに弾けるようにテレビカメラが爆発した。
「わたしの笑顔は100億ボルトなんです」
騒がれるのも面倒なのでアメンボウでも理解出来るように花子さんは簡潔な説明を試みた。相手はもう笑ってくださいとは言わなかった。花子さんは人間とはあまり会話をしたことは無かったんだけど、その日のことで人間はアメンボウよりも融通が効く生き物だということが理解できた。
「花子さんは超能力を使えるそうですね。それじゃあ、ちょっと見せてくれますか」
「あれ」
司会者の人にマイクを向けられ、花子さんは仏張面で爆発炎上して消火作業に追われているテレビカメラを指さした。
「まあ、あれも超能力の一つですね。それじゃあ、今度はこのスプーンを曲げてくれるかな」
花子さんの前にわざわざ豪勢な台車に乗せられて一本のスプーンが運ばれてきた。花子さんはそれを普通に手に取り、指を当てて曲げた。
「曲がりました」
花子さんはそれをお茶の間の人達にもよく見えるように向けてやった。
「違うんだよ、花子さん。僕たちは花子さんが超能力でスプーンを曲げるところを見たいんだよ」
「やってみます」
司会者の人に新しいスプーンを手渡され、花子さんは超能力でそれを曲げようと念をこめた。
客席の一番後ろの人の首がクイッと曲がった。狙いを外したらしい。スプーンは細いし光ってるから狙いがつけにくい。
6回ばかり失敗したが、7回目でなんとかスプーンを曲げることに成功した。客席からパチパチと拍手が上がった。
花子さんはあまり人前に出たことは無かったけど、ほめられると妙にこそばゆかった。
「いやあ、凄いなあ花子さんは。それじゃあ、次はこれを持ち上げてくれるかな。超能力でね」
「はい、頑張ります」
花子さんの前に一つの石が置かれた。花子さんはそれを持ち上げようと念を送った。さっきの今で照れ臭くてつい張り切って力を入れ過ぎてしまう。
地球が動いてしまった。太陽から遠ざかるように結構な距離を移動した。環境に適応出来ない人間はあっと言う間に滅びてしまった。
花子さんは最近では氷雨の日に出来る固まりを見ながら毎日を過ごしている。
氷の星となった地球では今は誰もいない。
それでも花子さんは今日も誰かに声をかけられるのを待っている。
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