There is darkness place

けろよん

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日曜日は魔界へ行く

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 そして、郁子が竜を追いかけに魔界へ行くと決めた日曜日がやってきた。
 光輝はリティシアとゼネルを連れて魔界へと来ていた。
 希美は置いてきた。魔界では何が待っているか分からないし、力の無い妹を連れてきても邪魔になるだけだろうから。素直に言う事を聞いてくれたのは助かった。
 郁子は今日という日が待ち遠しいと修業をしすぎたあげく寝不足で体調を崩して寝込んでしまったらしい。そう連絡してきた。遠足前の子供だろうか。
 戦力として、また旅の仲間として一緒に来て欲しかったが、しょうがなかった。
 今日のところは偵察ぐらいで済ませて、本格的な戦いはまた彼女のいる時にしようと思った。
 光輝の手にはシャドウレクイエムがある。竜や悪魔もこれで退けてきた。自分のことはあまり心配していなかった。
 考えを振り切り、光輝は荒野を見渡す。自分がここの王だったと言われても思い出せる物はない。知らない土地だった。
 だが、どこか懐かしい空気を感じた。
 これからどこへ向かうのだろうか。ゼネルとリティシアに訊こうと思ったが、その前に不意に背後から声を掛けられて、光輝はびっくりしてその場を飛びあがって振り向いた。

「道に迷っているようだな、少年よ」
「うわっ、びっくりしたー」

 そこにいたのは黒いローブを身に纏い、水晶玉を持った謎の人物だった。首には髑髏のペンダントを下げている。
 フードを目深に被っているので顔は見えなかった。
 ゼネルとリティシアの知り合いかと思ったが、二人は知らないと首を横に振った。
 怪しく見える人物だが、そこから聞こえたのは少女のような声だった。

「良ければ、わたしがお前を占ってやるぞ。闇の王よ」
「お兄ちゃんが闇の王だと知っている!?」
「このような者は知りませんが」

 リティシアとゼネルが困惑に顔を寄せ合う中で、光輝だけが冷静になっていた。
 居住まいを正して相手に向かって言った。

「じゃあ、せっかくだから占ってもらおうかな」
「お兄ちゃん、せっかくだから占ってもらうんけ」
「ああ、せっかくだからな」
「では、せっかくなのでお金はわしが払いましょう」

 ゼネルが財布を出そうとする。それをそっと手を出して占い師が静止させた。

「お代は結構。その代り、今度の休みは妹を遊園地に連れていってたっぷりサービスしてあげなさい」
「ほえー、遊園地行くんけー」

 リティシアは遊園地を夢に描いているようだ。まだ魔界に来たばかりだと言うのに。

「また今度ね」

 光輝はもうすっかりそっちに行く気分になっている妹に一言断りを入れて本題に向き合った。
 占い師が占いを始めた。

「では、占いますぞ。ウヌヌ!」

 水晶玉をかざして念を送っているようだ。
 光輝達は見守った。
 三人の観衆達が見守る前で占い師は占いを進めていく。

「闇の星ダークネススターよ、今ここにお兄ちゃんの運命を映し出せ! ほにゃあああ! ………………出たよ」
「占いはなんと?」

 ゼネルが興味津々で訊ねる。リティシアも興奮して見ている。光輝は冷静だ。占い師は堂々と頷いて答えた。

「うむ、今すぐ家に帰れと出ました。妹に詫びを入れ、お菓子もたくさんやって、一緒に連れてくるように。きっと妹は役に立つので感謝せよと。これが占いの示した運命の結果です」
「なんと、連れてきた方が良かったのですか」
「危険やと置いてきたのはお兄ちゃんの判断やけど」
「その判断は間違っていたのです。何と愚かなお兄ちゃん」

 ゼネルとリティシアがひそひそと話し合う。
 光輝は冷めた口調で占い師に向かって言った。

「それでもう気は済んだか? 希美」

 希美と呼ばれた占い師はビクッと反応して後ずさった。

「ななな、何を言っているのか分からないな、お兄ちゃん! あたしはただの謎の助っ人占い師だよ!」
「ずっと一緒に暮らしてきたんだぞ。誤魔化そうとしても無駄だ!」
「ひゃう!」

 光輝は手を伸ばし、彼女のフードを取ってしまった。現れたのは案の定、希美の顔だった。
 彼女はびっくりしていたが、すぐにその頬を不満そうに膨らませた。

「だって、お兄ちゃん。あたしを置いていくから」
「危険かもしれないだろ」
「リティシアちゃんは一緒なのに?」
「リティシアはこの国のお姫様じゃないか」
「お姫様……」

 リティシアはぽっと頬を赤らめていた。視野に入れず、光輝は希美の顔だけを見て話を続けた。

「まったく、そんな怪しい道具まで持ってきて!」
「怪しくないよ! ただの私物だよ!」

 黒いローブに髑髏のペンダントに水晶玉に……こんな物を持っている妹がどこにいると言うのだろう。
 ここ以外にいたら教えて欲しい。
 光輝はため息を吐くが、ゼネルとリティシアは感心しているようだった。

「ほう、希美殿は魔術をたしなむのですな」
「何か凄いなあ」

 悪魔を使役したり魔術を使える人達から見ても、魔術を使えると自称する人間は凄いのだろうか。
 面倒なことを確かめるつもりは光輝には無かった。希美の趣味を調子づかせてしまうことは避けたい。もう遅いかもしれないが。

「そうよ。凄いでしょー」

 希美は元気に自分の道具を見せびらかすようにくるくる回っている。
 結局、希美に帰る気は無かったので一緒に連れていくことになったのだった。
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