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第1話
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「ああ、腹が減った飯にするか」
俺はそう言って、冷蔵庫を開けて驚いた。なんと冷蔵庫の中がダンジョンになっていたのだ。
「なっ! なんだこれは! 俺の昼飯はどこへ行ったんだ!」
「どうしたの? タケルお兄ちゃん」
俺の騒ぎを聞きつけたのか妹のミチルもやってきた。俺は信じられない事だがと前置きした上で状況の説明を試みる。
「いや……この冷蔵庫の中がダンジョンになっているんだ」
「えっ!? ダンジョンになっているってどういうこと?」
横から覗き込むミチル。その顔も驚きへと変わった。
「わ、わたしのプリンはどこへ行ったの!?」
「わからないけど、とりあえず入ってみよう」
「危ないって。警察に連絡した方がいいって」
「そうはいかんだろう。あれの賞味期限は今日までだからな。お前だってプリンを食われたら困るだろう?」
「そうね。空になる前に取り戻さなくちゃ」
俺達は恐る恐る冷蔵庫に入っていく。そこは確かにダンジョンだった。冷蔵庫の中なのにまるでダンジョンに迷い込んでしまったとしか思えない。
「どうして冷蔵庫の中がダンジョンになっちゃったのかしら」
「さあな。もしかしたらこれは夢なのかもしれないな」
「夢かあ。うへへ」
「おい、目を覚ませよ、ミチル。これは確かに現実だぞ」
「そうね。目が覚めたらいつも通りだといいんだけど……」
そうして、進んでいくとやがて通路の真ん中に何かが置かれているのが見えた。
その特徴的な四角い箱の形は疑うべきもない。
「おぉ! 宝箱だぞ!」
「ほんとだ! でもダンジョンにあるなんて罠かもしれないよ?」
「そんなもんスルーする理由にはならんよ。よし、開けるぞ……」
パカッ
「……」
「……」
「何も起きないな」
「うん。よかった」
安心する俺たちだが、次の瞬間、宝箱が爆発した。
「うぎゃぁあああ!! 爆発した!!」
「大丈夫? お兄ちゃん」
「ああ、なんとか後ろへ跳んで衝撃を減らしたからな。受け身を取れなかったらやばかった」
「だから、罠かもしれないって言ったのに」
「スルーしてずっとあの宝箱の中身はなんだったんだろうと気にしながら進むのも危険だろ? 後顧の憂いは断たなければ。しかし、何が入っていたんだろうな?」
俺達は宝箱の中身を覗き込んでみた。
そこには指輪が置いてあった。
「なんだこれ?」
「あっそれ私知ってる! 確か『鑑定』っていうスキルが付与されてるアイテムでしょ?」
「ほぅ。よく知っているな。確かにこれは『鑑定』というスキルが付与されている指輪みたいだ」
「本で読んだんだよ。なんかゲームみたいね」
「まあ、ダンジョンというものからしてゲームみたいなもんだしな」
「じゃあ、ここはゲームの世界なのかしら」
「それは分からないが、昼飯とプリンを取り戻すまでは帰るわけにはいかないぜ」
「そうよね。がんばろう!」
俺達は再び歩き出す。すると曲がり角の向こうからガサゴソ音が聞こえてきた。
「ミチル隠れろ!」
「えっ!? なんで?」
「いいから早くしろ!」
「わ、わかった」
ミチルと共に近くの部屋に隠れるとしばらくしてそいつらはやってきた。
現れたのは緑色の肌をした醜悪な小人のような生き物だった。数は3体ほどだろうか。
俺には緑色の小人?としか認識できないその正体をミチルはまた知っているようだった。
「いや、私が知ってるんじゃなくてこの鑑定の指輪のスキル効果みたい」
「お、そうなのか」
「あれはゴブリンよ」
「ごぶりん?」
「ゲームとかに出てくるモンスターだよ」
「なるほど。つまり敵ってことだな」
俺はポケットに入っていたシャーペンを手に取る。武器としては心許ないが仕方がない。
「グゲゲッ」
一体のゴブリンがこちらに気付いたようだ。
「ギャッギャッ!」
他の二体も仲間の呼び声を聞いてこちらにやって来た。
「どうするの?」
「戦うしかないだろうな」
「戦えるの!?」
「安心しろって。俺だってゲームの体験版をやってたからな」
「体験版……」
俺は駆け出し、最初に来た一匹の脳天にシャーペンを突き刺す。そしてそのまま力任せに横に振り回した。
「必殺旋風飛燕斬!」
「ギェー」
仲間が殺されたことに怒り狂うゴブリンたち。その矛先は俺へと向けられた。
「くらえっ!」
ミチルは手に持っていた石を投げた。
石は見事に命中し、ゴブリンの額が割れる。
「うげぇ」
その光景を見て思わず喝采をあげる俺。
「やるなあ、ミチル」
「ゴブリンぐらい私だってゲームで何回も倒してきたよ。ほら、お兄ちゃんまだ来るよ」
「わかっている」
俺は再びシャーペンを振り回す。今度は避けようとするゴブリンだったが、無駄なことだ。
シャーペンの先からは毒々しい色の液体が吹き出している。
「この液に触れればお前らは死ぬことになるぞ」
「グゲゲ」
そう言われてゴブリンたちは後退りをする。
「逃すかよ」
俺は素早くシャーペンを投げた。それは見事にゴブリンの喉に突き刺さる。
「グエっ」
「よし、あとはそいつだけだ」
「グゲッ」
残り一匹になったゴブリンは逃げ出そうとした。しかし、その前にミチルが立ち塞がった。
「私のプリンを食べるなんて絶対に許さない!」
ミチルの拾った棍棒が振るわれる。その一撃でゴブリンの頭は砕け散った。
「やったね、お兄ちゃん」
「ああ、よくやったぞ、ミチル」
こうして俺達はゴブリンを倒したのだった。
俺はそう言って、冷蔵庫を開けて驚いた。なんと冷蔵庫の中がダンジョンになっていたのだ。
「なっ! なんだこれは! 俺の昼飯はどこへ行ったんだ!」
「どうしたの? タケルお兄ちゃん」
俺の騒ぎを聞きつけたのか妹のミチルもやってきた。俺は信じられない事だがと前置きした上で状況の説明を試みる。
「いや……この冷蔵庫の中がダンジョンになっているんだ」
「えっ!? ダンジョンになっているってどういうこと?」
横から覗き込むミチル。その顔も驚きへと変わった。
「わ、わたしのプリンはどこへ行ったの!?」
「わからないけど、とりあえず入ってみよう」
「危ないって。警察に連絡した方がいいって」
「そうはいかんだろう。あれの賞味期限は今日までだからな。お前だってプリンを食われたら困るだろう?」
「そうね。空になる前に取り戻さなくちゃ」
俺達は恐る恐る冷蔵庫に入っていく。そこは確かにダンジョンだった。冷蔵庫の中なのにまるでダンジョンに迷い込んでしまったとしか思えない。
「どうして冷蔵庫の中がダンジョンになっちゃったのかしら」
「さあな。もしかしたらこれは夢なのかもしれないな」
「夢かあ。うへへ」
「おい、目を覚ませよ、ミチル。これは確かに現実だぞ」
「そうね。目が覚めたらいつも通りだといいんだけど……」
そうして、進んでいくとやがて通路の真ん中に何かが置かれているのが見えた。
その特徴的な四角い箱の形は疑うべきもない。
「おぉ! 宝箱だぞ!」
「ほんとだ! でもダンジョンにあるなんて罠かもしれないよ?」
「そんなもんスルーする理由にはならんよ。よし、開けるぞ……」
パカッ
「……」
「……」
「何も起きないな」
「うん。よかった」
安心する俺たちだが、次の瞬間、宝箱が爆発した。
「うぎゃぁあああ!! 爆発した!!」
「大丈夫? お兄ちゃん」
「ああ、なんとか後ろへ跳んで衝撃を減らしたからな。受け身を取れなかったらやばかった」
「だから、罠かもしれないって言ったのに」
「スルーしてずっとあの宝箱の中身はなんだったんだろうと気にしながら進むのも危険だろ? 後顧の憂いは断たなければ。しかし、何が入っていたんだろうな?」
俺達は宝箱の中身を覗き込んでみた。
そこには指輪が置いてあった。
「なんだこれ?」
「あっそれ私知ってる! 確か『鑑定』っていうスキルが付与されてるアイテムでしょ?」
「ほぅ。よく知っているな。確かにこれは『鑑定』というスキルが付与されている指輪みたいだ」
「本で読んだんだよ。なんかゲームみたいね」
「まあ、ダンジョンというものからしてゲームみたいなもんだしな」
「じゃあ、ここはゲームの世界なのかしら」
「それは分からないが、昼飯とプリンを取り戻すまでは帰るわけにはいかないぜ」
「そうよね。がんばろう!」
俺達は再び歩き出す。すると曲がり角の向こうからガサゴソ音が聞こえてきた。
「ミチル隠れろ!」
「えっ!? なんで?」
「いいから早くしろ!」
「わ、わかった」
ミチルと共に近くの部屋に隠れるとしばらくしてそいつらはやってきた。
現れたのは緑色の肌をした醜悪な小人のような生き物だった。数は3体ほどだろうか。
俺には緑色の小人?としか認識できないその正体をミチルはまた知っているようだった。
「いや、私が知ってるんじゃなくてこの鑑定の指輪のスキル効果みたい」
「お、そうなのか」
「あれはゴブリンよ」
「ごぶりん?」
「ゲームとかに出てくるモンスターだよ」
「なるほど。つまり敵ってことだな」
俺はポケットに入っていたシャーペンを手に取る。武器としては心許ないが仕方がない。
「グゲゲッ」
一体のゴブリンがこちらに気付いたようだ。
「ギャッギャッ!」
他の二体も仲間の呼び声を聞いてこちらにやって来た。
「どうするの?」
「戦うしかないだろうな」
「戦えるの!?」
「安心しろって。俺だってゲームの体験版をやってたからな」
「体験版……」
俺は駆け出し、最初に来た一匹の脳天にシャーペンを突き刺す。そしてそのまま力任せに横に振り回した。
「必殺旋風飛燕斬!」
「ギェー」
仲間が殺されたことに怒り狂うゴブリンたち。その矛先は俺へと向けられた。
「くらえっ!」
ミチルは手に持っていた石を投げた。
石は見事に命中し、ゴブリンの額が割れる。
「うげぇ」
その光景を見て思わず喝采をあげる俺。
「やるなあ、ミチル」
「ゴブリンぐらい私だってゲームで何回も倒してきたよ。ほら、お兄ちゃんまだ来るよ」
「わかっている」
俺は再びシャーペンを振り回す。今度は避けようとするゴブリンだったが、無駄なことだ。
シャーペンの先からは毒々しい色の液体が吹き出している。
「この液に触れればお前らは死ぬことになるぞ」
「グゲゲ」
そう言われてゴブリンたちは後退りをする。
「逃すかよ」
俺は素早くシャーペンを投げた。それは見事にゴブリンの喉に突き刺さる。
「グエっ」
「よし、あとはそいつだけだ」
「グゲッ」
残り一匹になったゴブリンは逃げ出そうとした。しかし、その前にミチルが立ち塞がった。
「私のプリンを食べるなんて絶対に許さない!」
ミチルの拾った棍棒が振るわれる。その一撃でゴブリンの頭は砕け散った。
「やったね、お兄ちゃん」
「ああ、よくやったぞ、ミチル」
こうして俺達はゴブリンを倒したのだった。
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