当たり前の幸せ

ヒイロ

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7.煇

家に送り届けた。コアラのようにしがみつく拓を見て家族が爆笑した。

「煇くんだったよね?拓からいつも聞いてるんだ。本当にありがとう。拓が笑ってくれるようになったのは君のおかげだよ。本当にありがとう。」

この人が拓を産んでくれたオメガでお母さんだ。
家族全員頭を下げている。

「これ誕生日プレゼントです。」

3つ?って言われて

「3年分のプレゼントなんで。」

誕生日会に参加しないかと言われたけどお断りした。告白をして返事をまだもらってないし起きて俺がいたら拓も気まずいだろう。帰りますって言うとケーキを渡された。手作りらしい。

「あの…。」

お母さんに声をかける。

「拓を産んでくれてありがとうございます。」

「また改めて挨拶に伺います。ケーキありがとうございました。」

お母さんが顔を覆ってお父さんに抱き締められてるのが見えた。頭を下げて振り返らず歩きだす。
次に来るときは付き合うのを認めてもらうために。


その後も拓の前では普段通りに何もなかったように振る舞った。拓は最初は顔を真っ赤にしたりどもったりしていたが嫌がってる感じではない。

そして二人とも大学に合格した。途中拓はヒートがあったりして痩せてしまったり体調を崩したりしていたがお互いに励まし合い何とか乗り切った。

同じ大学ではなかったが俺は拓の大学の近くにアパートを借りた。自分の大学に通うのはちょっと不便だが拓の近くにいたかった。拓は家から通うと言っていた。明日入学式なのだが珍しく拓から呼び出された。あの公園に。

「あっ、拓~。」

公園の前に立っている拓を見つけると眉間に皺がよってた。

「拓どうした?可愛い顔が台無しだぞぉ~」

と、眉間をぐりぐりする。その手をいきなり掴まれた。えっ?と思ってるとぐいぐいと引っ張られあの三本木の石に座らされる。

「相野煇さん。」

拓の真剣な顔にあの時の返事だと気づいた。心臓がバクバクとしてきた。痛いっ。

「はい。」

「相野煇さん。」

「はい。」

拓が何度も深呼吸をしている。

「すっ…好きです。お付き合いしたいでふっ。」

あっ噛んだ。みるみる拓の顔が赤くなる。なんで肝心な時に~って涙目だ。

心臓痛っ。ドクドクと音がする。今拓好きって言ったよね。好きって。

「よっしゃ~!!」

ガッツポーズで喜んでると。涙目の拓が

「よっしゃーって何?OKってこと?」

拓を抱き締める。

「はい。拓が大好きです。」

にっこり拓が笑った。返事遅くなってごめんねって言うからキスをした。

びっくりしていたが唇を触りながらファーストキスだって言うからちょっぴり罪悪感があったけど。

今日両親がいるのか聞いたら二人ともいると言うので家に行きたいと言った。

「ねぇ煇家に何しに行くの?」

「挨拶。お付き合いと同棲の許可もらう。」

えっえっ??と戸惑ってる拓の手を取りタクシー乗り場に向かう。

拓がタクシーから今から俺が行くとメールを送ってくれて家に着くとリビングに通された。ソファーに両親と向かい合わせで座る。

「相野煇です。拓さんと番になるのを前提にお付き合いをさせていただきたいと思っています。お願いいたします。」

頭を下げる。

「頭を上げなさい。こちらこそお願いいたします。」

拓の両親が俺に頭を下げてくれた。

「お父さんお母さんいいの?」

「良いも悪いも拓は煇くんがいいんでしょ。」

頷く。

「拓が笑えるようになったのは煇くんのおかげだと僕は思ってるんだけど。違う?」

頷く。

「煇がオメガの僕が好きって。僕がいいって。」

お母さんの春人さんが微笑む。よかったねって。

「それで拓さんの大学の近くにアパートを借りました。同棲したいと思っています。セキュリティもしっかりした場所です。俺は拓さんを近くで守りたいと思っています。お願いします。許してもらえないでしょうか。」

再度頭を下げる。

ふぅーとため息が聞こえお父さんの真幸さんが

「仕方ないね。君はアルファだ。僕もその気持ちは分かるしね。」

「ありがとうございます!!」

拓と春人さんはびっくりしている。

「えっ、早くない?大学も4年もあるんだよ。もう少し後でもよくない?拓卒業したばかりだし。」

「諦めろ。」

「拓はいいの?まだ早いよね?ね?」

拓の意思を聞いてなかったから焦ったが

「煇と暮らしたい。一緒にいたい。お願いします。」

と両親を真っ直ぐ見て頭を下げる。俺も下げた。

「諦めろ。」

だって~。春人さんは頬を膨らましていたが真幸さんが手を取り宥めていた。急に決まった話だったので後日引っ越しの準備をすることを決めとりあえず拓の部屋で寛ぐ。

「はぁ~緊張した~。」

「そうは見えなかったけどぉ。煇ひどいよね何の相談もなしにポンポン話進めるんだもん。僕びっくりしたよ。」

恋人になれたのに離れて暮らせるはずもない。アルファという性を拓はわかっていない。自分の物にしなければ狂ってしまうそういう生き物だ。はっきり言って外にも出さず誰にも見せたくないくらいなのだ。

「拓好きだよ。これからもよろしく。」

「こちらこそ。お願いいたします。」

俺が一番好きな笑顔だ。

「あっ、煇の両親にも挨拶しないと。」

「落ち着いたらでいいよ。すでに話してあるし。」

拓と同棲するに当たって自分の両親には一緒に住む予定でアパートを借りたいと言ってお金を出してもらった。自分で働くようになったら返す予定だ。

「僕もバイトとかして生活費とか入れるから。」

「それは駄目だ。学生の間は働かなくていいよ。」

「それは嫌だよ。」

「卒業したらでいいよ。拓は可愛いんだ。襲われたりしたらどうするの。拓を守るって両親に誓ったんだ。大人しく学業に励むように。それより家のことをしてくれると助かるんだけどなぁ~。」

そう言うと頑張るって納得してくれた。危ない危ない拓がバイトなんかしたら俺が心配で大学なんか行ってられない。

「あと真剣に聞いてほしい。」

真面目なトーンで話すと「はい」と。拓は正座してこちらを向く。

「次の発情期の時に抱きたい。」

一瞬何を言われたのか分かってないようだった。

「拓。これから発情期はいつも一緒にいたい。」

だめか?って言うとみるみる顔が赤くなる。あっうっと言葉が出てこないみたいだ。

「だめか?無理なら待つから。拓がいいって言うまで待つから。」

うつ向いてしまった。まだ早いとは思った。まだオメガという性が拓の中では消化されてないとは思っている。今日告白されて同棲を認めてもらいかなり浮かれていたのだ。欲張ってしまった。

「ごめんね拓。今日色々あったのに。悩ましちゃったね。そうだ引っ越しの準備いつにする?」

「…ぃい。」

?よく聞こえなくて顔を覗き込む。

「たく~?ごめんね~また話そ。」

「だからいいって。」

理解ができなかった。いいって?どういう意味?

うつ向いてた拓がすごい勢いて抱き付いてきた。支えきれなくて後ろにひっくり返る。ヤバいこの体勢。

「発情期一緒にいて下さい。」

拓を抱き締める。

「ありがとう拓。俺を受け入れてくれて。」

春人さんが呼びに来るまでずっと抱き締めていた。

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