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婚約破棄
婚約破棄
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「お前にはなずーっとずーーーっと言いたいことがあったんだ!いつも俺の事を見下しやがって!お前なんか、お前なんか!!今日で婚約破棄してやる!!ふぅふぅ…」
鼻息を荒くしながら、ドスドスとこちらに近づいてくる。そんな顔で怒っていたら折角顔だけは整っているのに勿体ないですよ。
それにしてもまさか、ずっと待っていた言葉をこんな大勢の前で言ってくれるなんて思ってもいなかった。
神様!!ありがとうございます!!!
「婚約破棄ですか…。それは国王陛下もご存知ですか?」
「ふん!なぜ言う必要がある!俺の嫁はな、キャロット以外有り得ないんだ!!いつもいつもいつもキャロットを虐めて。俺が何も知らないとでも思っていたのか?」
まぁ、そうですよね!もし言っていたらあの国王陛下が許すわけないですもの。
「はい…あなたは何も知らないと思いますよ。」
この国の財政がもう危ない状況であるということも。
他国がこの国を吸収しようとしているということも…
国民が王族を見放しているということも…
私たちオデール家が影で動いているということも…
なぁーにも知らないと思いますわ!
「シャァァァァ!!そうやって人の事をバカにするのもいい加減にしろよ!いいか?父上がなんと言おうとお前とは今日この時を持って婚約破棄をする。そして俺はキャロット・アレオン嬢と婚約を結ぶ。ここに居る皆が承認である。」
エピナール王太子殿下は猫のようにしっぽを広げで怒っている。
雄猫と、雌兎…とてもいい組み合わせだ。
それに何もしていなくてもこの場にいる全員を証人として婚約破棄だけでなく次の婚約者まで発表するとはさすがである。
私は心を躍らせながら、顔をエピナール王太子殿下にグイッと近づけ、最後にもう一度確認した。
「承知いたしました。本当によろしいんですね?」
嫌いな元婚約者に顔を近づけられるのは嫌だろう。
しかしここで先に頭を後ろに引いた方が負けだ。
「あ、あぁ…構わん。お前なんかとっととこの場から立ち去れ!!」
「本当にいいんですね?」
「クドイ!!良いと言っているだろうが!さっさと出て行け!!」
これだけ聞き返していれば、見ていない聞いていないなんて発言が出来るわけないだろう。
エピナール王太子殿下から言質をとったあと、私は婚約破棄証明書をエピナール王太子殿下に突きつけた。
今までずーっと表情を出すな。影にいろと言われ続けて仮面を被ってきたがやっと外せると思うと、くつくつと笑いがこみ上げてきた。
「いやぁぁ!わっかりましたぁ!!いままで本っ当に辛かったんですよね。笑っちゃダメ、皆の見本でいなさい。いつも女は男の1歩後ろを歩きなさいとか…王太子妃になるんだから我慢しなさいとかとか…?本当いつの時代の話してるのか…。でもぉ、やぁーっとこれで王太子妃教育も終わりですねぇー。いやぁぁ。あなたの相手も大変でした。だってぇ…バカなんですもん。何も覚えられないし?何も出来ないし…国王陛下も何もしないしぃ…お父様たちや領民のことがなければ、ずっと前にこちらから婚約破棄したかったくらいです。よく耐えたと思いますわ!私!!すごい!!それじゃあ、お元気で。あ、あとはこちらにサインをお願いしまぁーす。ねっ?エピナール王太子殿下?」
私がこんなに話すとは思っていなかったのだろう。少し呆気にとられながら、目の前の書類を確認もせずにサインを書いていくエピナール王太子殿下。
「」
私は書類を受け取ると綺麗にカーテシーをしてからこの場を去った。
10年前はおぼついていた足も今ではおぼつくことは無い。
「もう一生帰ってくるな!この仮面女!!!」
遠くからエピナール王太子殿下の言葉が聞こえたが、その言葉に振り向くことは無い。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
リュシアン視点。
リディアーヌ嬢が居なくなってから、バタバタと国王陛下がやってきた。
どうやら騒ぎを聞き付けてやってきたらしい。
見るからに欲深そうな顔をしている。
「お、お前…何をしたか分かっているのか…?」
フルフルと声を震わせながら、絶望的な顔をするセリエール国王陛下。
「はい?父上。俺はキャロットと一緒にいたいと言っただけです。あんな人を虐めるような仮面令嬢、もう必要ありません!!」
あれだけ絶望的な顔をしているし、他国の重鎮達は何となく事の重大さが分かっているのだろう。
「リシャール。帰るぞ…」
俺とサミュエル様が2人で立っていると、後ろから父上に声をかけられた。
「はい。父上…」
人集りを掻き分けるように離れていく。どうやらここを出ていこうとしているのはこの国の貴族ではなく、平和協定会議に来ていた他国の重鎮達のようだ。
「全く、ここまで来てあんなものを見せられるとはな…」
「あぁ…これから荒れるぞ。」
俺達の前を歩く父上とセリエール国王陛下が、2人でこそこと話している。
今起きたのはたった一人の婚約破棄だが…
これから荒れるというのは一体何が起こるのだろうか。
「俺達もなるべく早く動こう。それ次第ではこの平和協定もなくなる可能性がある…」
俺とサミュエル王太子殿下は2人で顔を見合せて首を傾げた。
鼻息を荒くしながら、ドスドスとこちらに近づいてくる。そんな顔で怒っていたら折角顔だけは整っているのに勿体ないですよ。
それにしてもまさか、ずっと待っていた言葉をこんな大勢の前で言ってくれるなんて思ってもいなかった。
神様!!ありがとうございます!!!
「婚約破棄ですか…。それは国王陛下もご存知ですか?」
「ふん!なぜ言う必要がある!俺の嫁はな、キャロット以外有り得ないんだ!!いつもいつもいつもキャロットを虐めて。俺が何も知らないとでも思っていたのか?」
まぁ、そうですよね!もし言っていたらあの国王陛下が許すわけないですもの。
「はい…あなたは何も知らないと思いますよ。」
この国の財政がもう危ない状況であるということも。
他国がこの国を吸収しようとしているということも…
国民が王族を見放しているということも…
私たちオデール家が影で動いているということも…
なぁーにも知らないと思いますわ!
「シャァァァァ!!そうやって人の事をバカにするのもいい加減にしろよ!いいか?父上がなんと言おうとお前とは今日この時を持って婚約破棄をする。そして俺はキャロット・アレオン嬢と婚約を結ぶ。ここに居る皆が承認である。」
エピナール王太子殿下は猫のようにしっぽを広げで怒っている。
雄猫と、雌兎…とてもいい組み合わせだ。
それに何もしていなくてもこの場にいる全員を証人として婚約破棄だけでなく次の婚約者まで発表するとはさすがである。
私は心を躍らせながら、顔をエピナール王太子殿下にグイッと近づけ、最後にもう一度確認した。
「承知いたしました。本当によろしいんですね?」
嫌いな元婚約者に顔を近づけられるのは嫌だろう。
しかしここで先に頭を後ろに引いた方が負けだ。
「あ、あぁ…構わん。お前なんかとっととこの場から立ち去れ!!」
「本当にいいんですね?」
「クドイ!!良いと言っているだろうが!さっさと出て行け!!」
これだけ聞き返していれば、見ていない聞いていないなんて発言が出来るわけないだろう。
エピナール王太子殿下から言質をとったあと、私は婚約破棄証明書をエピナール王太子殿下に突きつけた。
今までずーっと表情を出すな。影にいろと言われ続けて仮面を被ってきたがやっと外せると思うと、くつくつと笑いがこみ上げてきた。
「いやぁぁ!わっかりましたぁ!!いままで本っ当に辛かったんですよね。笑っちゃダメ、皆の見本でいなさい。いつも女は男の1歩後ろを歩きなさいとか…王太子妃になるんだから我慢しなさいとかとか…?本当いつの時代の話してるのか…。でもぉ、やぁーっとこれで王太子妃教育も終わりですねぇー。いやぁぁ。あなたの相手も大変でした。だってぇ…バカなんですもん。何も覚えられないし?何も出来ないし…国王陛下も何もしないしぃ…お父様たちや領民のことがなければ、ずっと前にこちらから婚約破棄したかったくらいです。よく耐えたと思いますわ!私!!すごい!!それじゃあ、お元気で。あ、あとはこちらにサインをお願いしまぁーす。ねっ?エピナール王太子殿下?」
私がこんなに話すとは思っていなかったのだろう。少し呆気にとられながら、目の前の書類を確認もせずにサインを書いていくエピナール王太子殿下。
「」
私は書類を受け取ると綺麗にカーテシーをしてからこの場を去った。
10年前はおぼついていた足も今ではおぼつくことは無い。
「もう一生帰ってくるな!この仮面女!!!」
遠くからエピナール王太子殿下の言葉が聞こえたが、その言葉に振り向くことは無い。
⟡.·*.··············································⟡.·*.
リュシアン視点。
リディアーヌ嬢が居なくなってから、バタバタと国王陛下がやってきた。
どうやら騒ぎを聞き付けてやってきたらしい。
見るからに欲深そうな顔をしている。
「お、お前…何をしたか分かっているのか…?」
フルフルと声を震わせながら、絶望的な顔をするセリエール国王陛下。
「はい?父上。俺はキャロットと一緒にいたいと言っただけです。あんな人を虐めるような仮面令嬢、もう必要ありません!!」
あれだけ絶望的な顔をしているし、他国の重鎮達は何となく事の重大さが分かっているのだろう。
「リシャール。帰るぞ…」
俺とサミュエル様が2人で立っていると、後ろから父上に声をかけられた。
「はい。父上…」
人集りを掻き分けるように離れていく。どうやらここを出ていこうとしているのはこの国の貴族ではなく、平和協定会議に来ていた他国の重鎮達のようだ。
「全く、ここまで来てあんなものを見せられるとはな…」
「あぁ…これから荒れるぞ。」
俺達の前を歩く父上とセリエール国王陛下が、2人でこそこと話している。
今起きたのはたった一人の婚約破棄だが…
これから荒れるというのは一体何が起こるのだろうか。
「俺達もなるべく早く動こう。それ次第ではこの平和協定もなくなる可能性がある…」
俺とサミュエル王太子殿下は2人で顔を見合せて首を傾げた。
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