いつか貴方が誰かを愛するまで

aqua

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いつか貴方が誰か愛するまで

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まだまだ、春には程遠い寒さの中、
しばらく彼と会えない日々が続いていた。



その日、仕事が終わり家に帰ると玄関には私の靴ではないものが置いてあった。

リビングに行くとソファに座ってくつろぐ彼の姿があった。


『ただいま』
「あ、おかえり
おじゃましてます」
『うん
ご飯食べた?』
「まだ」
『連絡くれたら帰りに買ってきたのに
今、何もないんだよね
出前でも取ろっか』
「いや、俺はお腹空いてないから大丈夫」
『え、いいの?』
「うん
それよりこっち来てよ」


そう言って彼は手を広げた。
優しく微笑みながら。

「疲れてるんでしょ?
おいで」


自分だって疲れてるはずなのに。

私も、してもらうばっかりじゃダメってわかってるのに。

いつも彼に甘えてしまう。


『うん』


彼に抱きつく。
彼は優しく私を包み込んでくれる。



貴方が大好きだから。
愛してるから。

だけど、長く続かないことは分かってるの。
いつかは別れがくるでしょう。


でも、今はまだ
私の彼だから。

せめて、
いつか貴方が誰かを愛する、
その時までは、

あなたの隣で笑っていたい。
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