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四話 一年一学期四
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嗚呼さんによる、【ファーストタッチ強奪事件】を見事解決した俺は、探偵部を創る事が出来、数週間が経った頃、俺は放課後の教室で一人悩んでいた。
探偵部。
創るには創ったが、依頼がない・・
そう、この学校は今の所平和だ。
平和であれば事件もない。事件もないと言うことは依頼もないと言う事だ。
「事件・・起きねえかな」
自分でも物騒な事を言っているとは思っているが、何か起きて欲しい。
ぼーっと空を眺めていると、ガラガラと教室の扉が開く音がした。
ー依頼か!?
俺は扉の方を見るとそこには、目つきと口が悪い、よく知った女が立っていた。
「まだいたの?」
「依頼こないかなーって」
「バカじゃない」
「おいおい、灰村よ、今は放課後。部活の時間だ。部活の時間に依頼を待って何が悪い」
他の部活は活動してるぞ。今も校庭の方から野球部の威勢のいい声が聞こえているではないか。
「部活として活動しているのは結構。私はそれ以外の事であんたにバカじゃないって言ったのよ」
「単純に俺がバカだって言いたのか?」
「それも、あるけど。まず、探偵部って出来たばかりよね?宣伝とか、部員募集とかしたわけ?」
宣伝に部員募集・・確かにしていない。そう言えば、磯川先生にそんな事言われた気がする。部が創れた喜びで全然話聞いてなかったな。
「現在の部員数は?」
「俺と・・灰村さんです・・」
「そうね。部長さん。しっかりして欲しいものね」
「す、すみません」
探偵部を創り部員は今の所俺と灰村の二名のみ。灰村は最初嫌がったが、無理矢理入れた。入った当初は毎日グチグチとうるさかったが今では諦めたのか大人しくなった。灰村の口撃は一言一言が会心の一撃だから、学校が終わり帰宅した後は非常に疲れていた。
灰村の情報力は非常にありがたい。
だからどうしても灰村を入部させたかった。
「宣伝はポスターでも作るからいいとして、肝心なのは依頼をどこで受けるか、よね」
「どこで受けるか?ここじゃダメなの」
「あんた、本当に探偵が好きなの?犯人を名指しするだけじゃないのよ」
探偵が好きかだと?そんなの当たり前じゃないか!
「依頼人がいたとして、それを人がたくさんいるかもしれない教室でするとでも思ってんの?人に知られたくない事とかだってあるでしょ。私が言いたいのは部室を確保しろって事よ」
「部室か・・」
俺はすぐに教室を出て、探偵部の顧問である磯川先生の元へ行く事にした。
職員室。何人かの先生達は部活などでいないのか、職員室には磯川先生の他に数名の先生がいる程度だ。
「先生!」
「おお、間宮か。どおした」
「部室を下さい」
「部室?ああ、探偵部のか・・」
俺の後をついて来たのか後ろから灰村も磯川先生に声をかける。
「このバカな部長に依頼を教室でするのは少し勇気がいると思います。隣の校舎の三階のいちばん奥の教室。元音楽準備室、あそこ空いてますよね?防音室だし、依頼者がいても声は漏れないし、隣も倉庫で静か、探偵部にピッタリの所だと思いますが」
灰村、お前、すでにそこまで調べていたのか。なんてありがたいんだ灰村さん。
「あそこかぁ・・」
ポリポリと顎をかきながら俺達をみる磯川先生、空いてる部屋がある。それならそこを使用してもいいではないか。
「先生、なに渋ってんですか?俺はそこでも構いませんよ」
「いや、しかしなぁ・・」
「あそこは、元ラ部の部室だからですか」
ラ部とは、以前にこの学校であった部活で恋人を作る為に研究をする事を主に活動していたが、部内で付き合った二人がそこで、いかがわしい行為をしている事を発見され、廃部になった部活だ。
そうか、そこがラ部の部室だったのか。
「廃部になっただけでそこが使用禁止になったわけではないはずですが?」
「灰村、お前はその事をよく知ってるな」
先生は灰村の情報力に改めて驚いていた。
「まぁ。確かにあそこは使用禁止になっているわけじゃない。もちろん使ってもいいが、その前に質問だ。お前ら付き合ってんのか?」
──はい?
なに言ってんだ。付き合う?付き合うって交際って事ですか?俺と灰村が?
「どうなんだ」
磯川先生は俺を見る。なぜ俺だけ?
「どうなのよ?」
なぜか灰村まで俺に聞いてくる。
「いや、灰村とは中学が同じだけでそんな関係じゃないですよ」
「先生。私と間宮くんは付き合ってないです」
「そうか、ならいいが・・」
先生は完全には信用していないな・・
確かに俺は灰村とよく行動をしている。そのせいか『付き合ってんの?』ってたまに聞かれる。もちろん否定はする。俺が聞かれるってことは灰村も聞かれてるんだろうか?
「間宮くんが私を襲ってきたら防音の壁を突き破る程の悲鳴を上げるので大丈夫ですよ」
「まぁ、灰村がそういうなら大丈夫なんだろ。鍵はそこに・・あれ?」
磯川先生が各教室の鍵が飾ってあるコルクボードを見るとそこには元音楽準備室の鍵が無くなっていた。
先生は他の先生に話を聞きに行き、俺達の元へ戻ってくると、
「お前らが来る数分前に他の部活がそれを持って行っちまったらしい」
「なんだとぉ!」
どうやら鍵は取られたか、仕方ない。他に空いてる教室がないか聞こうとした時、灰村が職員室から出て行った。
俺は磯川先生に挨拶してから、灰村を追いかけ事情を聞くことにした。
「おい、灰村どうしたよ。他に部室がないか聞かなくていいのか?」
「後は、私達の学習校舎の最上階、階段近くの狭い倉庫しか無いわよ。そんな所、ごめんだわ」
「だからってどうすんだ」
「奪うのよ。鍵を持っていった人達からね」
鍵を奪うだと?犯罪じゃん・・
「待て待て!それはいいのか?」
「部室の権利書さえ貰えばいいのよ。犯罪じゃない」
灰村は走りながら俺に説明した。
相手は一年生。俺と同じく条件を見事にクリアし、部活を創った人達らしい。
てか、廊下は走るなよ。
俺達は元音楽準備室に到着すると、灰村は勢いよく扉を開けた。
「おや?新入部員かな?」
「違うわよ」
メガネをクイっと上げたイケすかない男がこちらを見ている。他にも部員がいる様で、数えたら四人はいる。羨ましい。
「では、我々、ミス研になにか依頼かな?」
「ここの部室は私達が貰うわ」
灰村の発言に少し驚いた後、全員が笑いだす。
「おいおい、貰うだって。ずいぶんじゃないか」
「権利書はまだ提出してないわよね。それを賭けて勝負しましょ。負けたら私達が入部してあげるわ」
「おい、灰村。なにを勝手な」
男はメガネをクイってあげ、メガネを光らせた後、
「灰村。そうか君が灰村ね。そうか君が入るなら。その勝負受けてあげるよ」
相手はミス研。ミステリー研究会。
活動内容は学校で起こった不思議を解いていくものらしい。この学校で、かつて存在していた部活だ。
灰村は俺の意見など聞かず話を進めていく。
主人公俺なんだけど・・
そして、部室を賭けて勝負が始まる。
探偵部。
創るには創ったが、依頼がない・・
そう、この学校は今の所平和だ。
平和であれば事件もない。事件もないと言うことは依頼もないと言う事だ。
「事件・・起きねえかな」
自分でも物騒な事を言っているとは思っているが、何か起きて欲しい。
ぼーっと空を眺めていると、ガラガラと教室の扉が開く音がした。
ー依頼か!?
俺は扉の方を見るとそこには、目つきと口が悪い、よく知った女が立っていた。
「まだいたの?」
「依頼こないかなーって」
「バカじゃない」
「おいおい、灰村よ、今は放課後。部活の時間だ。部活の時間に依頼を待って何が悪い」
他の部活は活動してるぞ。今も校庭の方から野球部の威勢のいい声が聞こえているではないか。
「部活として活動しているのは結構。私はそれ以外の事であんたにバカじゃないって言ったのよ」
「単純に俺がバカだって言いたのか?」
「それも、あるけど。まず、探偵部って出来たばかりよね?宣伝とか、部員募集とかしたわけ?」
宣伝に部員募集・・確かにしていない。そう言えば、磯川先生にそんな事言われた気がする。部が創れた喜びで全然話聞いてなかったな。
「現在の部員数は?」
「俺と・・灰村さんです・・」
「そうね。部長さん。しっかりして欲しいものね」
「す、すみません」
探偵部を創り部員は今の所俺と灰村の二名のみ。灰村は最初嫌がったが、無理矢理入れた。入った当初は毎日グチグチとうるさかったが今では諦めたのか大人しくなった。灰村の口撃は一言一言が会心の一撃だから、学校が終わり帰宅した後は非常に疲れていた。
灰村の情報力は非常にありがたい。
だからどうしても灰村を入部させたかった。
「宣伝はポスターでも作るからいいとして、肝心なのは依頼をどこで受けるか、よね」
「どこで受けるか?ここじゃダメなの」
「あんた、本当に探偵が好きなの?犯人を名指しするだけじゃないのよ」
探偵が好きかだと?そんなの当たり前じゃないか!
「依頼人がいたとして、それを人がたくさんいるかもしれない教室でするとでも思ってんの?人に知られたくない事とかだってあるでしょ。私が言いたいのは部室を確保しろって事よ」
「部室か・・」
俺はすぐに教室を出て、探偵部の顧問である磯川先生の元へ行く事にした。
職員室。何人かの先生達は部活などでいないのか、職員室には磯川先生の他に数名の先生がいる程度だ。
「先生!」
「おお、間宮か。どおした」
「部室を下さい」
「部室?ああ、探偵部のか・・」
俺の後をついて来たのか後ろから灰村も磯川先生に声をかける。
「このバカな部長に依頼を教室でするのは少し勇気がいると思います。隣の校舎の三階のいちばん奥の教室。元音楽準備室、あそこ空いてますよね?防音室だし、依頼者がいても声は漏れないし、隣も倉庫で静か、探偵部にピッタリの所だと思いますが」
灰村、お前、すでにそこまで調べていたのか。なんてありがたいんだ灰村さん。
「あそこかぁ・・」
ポリポリと顎をかきながら俺達をみる磯川先生、空いてる部屋がある。それならそこを使用してもいいではないか。
「先生、なに渋ってんですか?俺はそこでも構いませんよ」
「いや、しかしなぁ・・」
「あそこは、元ラ部の部室だからですか」
ラ部とは、以前にこの学校であった部活で恋人を作る為に研究をする事を主に活動していたが、部内で付き合った二人がそこで、いかがわしい行為をしている事を発見され、廃部になった部活だ。
そうか、そこがラ部の部室だったのか。
「廃部になっただけでそこが使用禁止になったわけではないはずですが?」
「灰村、お前はその事をよく知ってるな」
先生は灰村の情報力に改めて驚いていた。
「まぁ。確かにあそこは使用禁止になっているわけじゃない。もちろん使ってもいいが、その前に質問だ。お前ら付き合ってんのか?」
──はい?
なに言ってんだ。付き合う?付き合うって交際って事ですか?俺と灰村が?
「どうなんだ」
磯川先生は俺を見る。なぜ俺だけ?
「どうなのよ?」
なぜか灰村まで俺に聞いてくる。
「いや、灰村とは中学が同じだけでそんな関係じゃないですよ」
「先生。私と間宮くんは付き合ってないです」
「そうか、ならいいが・・」
先生は完全には信用していないな・・
確かに俺は灰村とよく行動をしている。そのせいか『付き合ってんの?』ってたまに聞かれる。もちろん否定はする。俺が聞かれるってことは灰村も聞かれてるんだろうか?
「間宮くんが私を襲ってきたら防音の壁を突き破る程の悲鳴を上げるので大丈夫ですよ」
「まぁ、灰村がそういうなら大丈夫なんだろ。鍵はそこに・・あれ?」
磯川先生が各教室の鍵が飾ってあるコルクボードを見るとそこには元音楽準備室の鍵が無くなっていた。
先生は他の先生に話を聞きに行き、俺達の元へ戻ってくると、
「お前らが来る数分前に他の部活がそれを持って行っちまったらしい」
「なんだとぉ!」
どうやら鍵は取られたか、仕方ない。他に空いてる教室がないか聞こうとした時、灰村が職員室から出て行った。
俺は磯川先生に挨拶してから、灰村を追いかけ事情を聞くことにした。
「おい、灰村どうしたよ。他に部室がないか聞かなくていいのか?」
「後は、私達の学習校舎の最上階、階段近くの狭い倉庫しか無いわよ。そんな所、ごめんだわ」
「だからってどうすんだ」
「奪うのよ。鍵を持っていった人達からね」
鍵を奪うだと?犯罪じゃん・・
「待て待て!それはいいのか?」
「部室の権利書さえ貰えばいいのよ。犯罪じゃない」
灰村は走りながら俺に説明した。
相手は一年生。俺と同じく条件を見事にクリアし、部活を創った人達らしい。
てか、廊下は走るなよ。
俺達は元音楽準備室に到着すると、灰村は勢いよく扉を開けた。
「おや?新入部員かな?」
「違うわよ」
メガネをクイっと上げたイケすかない男がこちらを見ている。他にも部員がいる様で、数えたら四人はいる。羨ましい。
「では、我々、ミス研になにか依頼かな?」
「ここの部室は私達が貰うわ」
灰村の発言に少し驚いた後、全員が笑いだす。
「おいおい、貰うだって。ずいぶんじゃないか」
「権利書はまだ提出してないわよね。それを賭けて勝負しましょ。負けたら私達が入部してあげるわ」
「おい、灰村。なにを勝手な」
男はメガネをクイってあげ、メガネを光らせた後、
「灰村。そうか君が灰村ね。そうか君が入るなら。その勝負受けてあげるよ」
相手はミス研。ミステリー研究会。
活動内容は学校で起こった不思議を解いていくものらしい。この学校で、かつて存在していた部活だ。
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