最強勇者と他二名は再び異世界に飛ばされる~この世界は望まぬ御都合主義で廻ってる~

滓神 紙折

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第1章 再来の勇者

第4旅 元勇者、教育係を早々に脅す

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side karuna

さて、応接室に連れ込んだは良いけど、ここからどうしよっか。

なにせ、新人の教育係なんて久しぶりだ。

それに、どうやら警戒されてるみたいだし、ここはこちらから話を振って警戒心を解いてあげよう。

「まずは、自己紹介かな。私の名前はカルナ=イレイシス。これから君がDランクに上がるまでは、君の教育係を務めさせてもらうよ。こう見えても冒険者ランクはAAだからね。何でも頼ってくれていいよ。」

よし。

先輩として、最初の自己紹介は上手くいったかな。こういうのは最初が肝心っていうしね。

「AA....?」

んー。私の事も知らないみたいだし、田舎の小国出身で、最近セレギオスに着いたばかりって所かな?

「ん?信じられないかい?こう見えても私、結構強いよ?」
「...いや、そこは信じる。イレイシスさん、アンタは強い。」

おや、意外に素直な子かな?

「あはは。ありがと。あと、私の事は呼び捨てでいいよ。」

そう言って目の前の少年の頭に手を置く。

「そうか。じゃあ、カルナ。なんでAAのアンタが新人の教育係なんてやってんだ?別に見た所、人材不足ってわけでも無いだろ?あと、俺は15だ。子供扱いするな。」

おっと、意外に鋭い。
っていうか、まさかホントに初対面で呼び捨てしてくるとは思わなかったな。
不覚にも、思わずドキッときた。
うん。年下に呼び捨てにされるって何か良いね。

「おい。聞いてるのか?」
「ん?あーうん。それは私が君に、というか君のクラスを聞いて興味を持ったからだよ。だからどんな子かな~って思って立候補したんだ。」

他にも候補がいて無理やり押し通した事はここでは伏せておこう。

「クラス?魔法剣士の事か?別に珍しく無いだろ。あと、いい加減俺の頭から手を退けて正面に座れ。話しづらい。」
「あはは。いやいや、珍しいよ。魔法剣士のクラスに就いてる子なんてここ何年も見てないよ。」
「.....何故?」
「何故って、そりゃあ、魔術師なら身体鍛える時間あったら魔法を極めるし、剣士だって、戦ってる間に詠唱なんて出来ないでしょ?それに、魔法なんて無くたってスキルで十分補える。要するに魔法剣士は欲張り過ぎて中途半端になっちゃうのさ。」
「........」
「あはは。納得いかないかい?確かに君みたいにそれでもどうにかなるって思ってるレアケースもいるけど....普通は」
「アンタみたいにか?」
「......ん?」
「いや、レアケースってアンタの事だろ?.....魔法剣士。というより『使剣士』って感じか?」

…!!
「............あ、はは。何の事かな....?」
「隠さなくていい。そんな指輪付けてりゃ誰だって気付く。....攻撃した相手に麻痺や毒などの状態異常を引き起こすデバフ系の指輪が三つ。自身の身体能力や耐性を一時的に上げる類のバフ系の指輪が四つ。全部で七つ。他人の目に映らない類の魔法が封じ込められた指輪型魔導具だろ?」

見抜かれた!?こんな短時間で!?

「それなら戦闘中でも、詠唱破棄さえ出来れば呪文を唱えず指輪に封じられた魔法を誰でも簡単に使えるようになる。これを使いたいと念じるだけで、あとは勝手に指輪が魔法を発動してくれるんだから。」

この子、思ってたよりずっと頭の回転が速い。
取り敢えず一度席を立って....

「おい、どこ行くんだ?まだ話は終わってないだろ?」
「......ちょっと喉渇いちゃって」
「嘘だな。...そう、警戒するなよ。始めにアンタが俺に言った事だぜ?」
「.........」

「さて、この魔法剣士を成り立たせる為に、最も重要な指輪型魔導具。ここに来るまでに立ち寄った魔導具店で見た魔導具の構造は全て、内部に貯めてある魔力を使うという物だった。....だが、それじゃあ自分が魔力を出す訳じゃないから詠唱破棄を使う事が出来ない。」

「なら」
「なら、全く違う構造。内部の魔力を使うのでは無く、使用者の魔力を注ぎ込んで魔法を発動させられる魔導具を作ってしまえば良い。」

「そんな事出来るわけが」
「出来るはずだ。アンタの『力』なら。」
「...!!何で私のスキルの事を.....君、一体何処まで知って......」

目の前でにやりと口元を歪め、深い隈のある眼を鋭くする少年。
その眼は全てを見通しているようで.....

「AAランカー、カルナ=イレイシス。アンタ程の冒険者が自分の能力が他人に知られる危険性を理解出来ないわけがないよな?」
「..........」
「知ってるか?噂ってのは思いの外すぐに広まるんだぜ?有名人の噂は特にな.....あ、ところで、話は変わるんだが、アンタに一つお願いがあるんだ。」
「......それは脅迫として受け取ってもいいのかな....?」

背中を伝う冷たい汗を感じながら、私は腰に挿してある愛剣の柄に手を掛ける。

「お願いって言ったろ?新人冒険者が教育係であるアンタに対して頼みがあるだけだ。別に脅してるわけじゃないさ。......で、聞いてくれるか?」

私が無言で頷くと、少年は一層笑みを強くしてこう言った。

「契約成立だな。」
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