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手に入れた新たな力

第十五話

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出勤してすぐは色々準備したり、片付けたり、お掃除したり、消毒したりと簡単な事が多い。けれど、診療所だから綺麗にしておく事が衛生的に必要だからとことん綺麗にする。

そうこうしているうちに患者さん達がやってくる。ほとんどがケガそれも出血しているようなものだ。
患部をお水でキレイに洗い、先生が薬草をすり潰した薬を塗って包帯を巻いていく。

「よし、出来た!!次は転ばないように気をつけてね!!」と優しく笑顔でいうと、おじいさんも「あーあー、わかっとるよー。足が最近うまくあがらなくてなぁ。本当やんなるよなぁ。年はとりたくないね。それはそうと、若い助手の子入ったねー。一人で先生大変だったからよかったんじゃないかー!!」
「本当ですよねー。長く勤めてもらいたいなぁと思ってます。」なぁんて会話してるもんだから恥ずかしくなってきちゃって「あはは~がんばりますね~」なんて笑うしかないよね~。

そして二人目、お熱がでてしまった小さな子。伝染病とか重篤なものでは無さそうだけど、顔も真っ赤で辛そうだ。
「解熱効果のある薬草出すから、煎じての冷ましてから飲ませてあげてね」
「わかりました!!先生ありがとうございます。」といってお母さんは子供を連れて帰っていった。

そしてのんびりとした時間になり、そろそろお昼ご飯にしようか~なんて先生と話してたら突然・・・一人の女性が入ってきた。

「先生!!大変!!ギュリターさんが森で魔物に襲われたって!!どうにか逃げてきたみたいだけど、なんだか血だらけで大変なんだよ!!」

「大変だ!すぐつれてきて!迎えに行こう。」と、先生は急いで出て行った。

私は怪我のひどい人がくる準備をする。
ベッドに汚れても大丈夫なシーツをひく。
消毒や器具を用意する。
包帯やガーゼも沢山用意して、傷を洗うキレイなお水をたっぷりと。
ゴミを入れるもの、後は着てる服もしかしたら切らないとかもだからナイフもいるわね。
そんな準備が終わった頃、患者さんのギュンターさんを連れて先生が帰ってきた。

「マキさん準備ありがとう。急いで処置するから手伝ってくれるか!!」
「わかりました。」
私は返事をしてから、ギュンターさんを先生と処置用ベッドにのせる。

洋服は血だらけの為、やはりナイフで切って行く。
その後傷をキレイに洗い、消毒していく。
所々縫合が必要な場所もある為、麻酔薬がわりの薬草を使う。
針や糸も用意して、いよいよ縫合が必要な場所を縫っていく。
先生が縫合している間にほかに酷い傷はないか探して行く。おでこも裂傷も中々酷い。ひょっとするとおでこも縫わなければかもしれない。そう思いもう一セット針などを用意する。脇腹を縫い終わった所で先生に伝える。
「先生麻酔薬切れないうちにおでこも縫った方がいいかもしれませんね。見てもらってもいいですか?」そう伝えると先生も「わかりました、ありがとう。」と確認して、「あ~本当だ!これも縫わないとだ。血が止まらないな」そういって、針の確認して、「準備までしててくれてありがとう。助かるよ。」そういってくれてとても嬉しかった。
キレイに縫い終わり、消毒して各傷の部分に薬を塗りガーゼと包帯でとめる。
そして飲み薬の準備をして、一度飲ませる。麻酔薬が覚めて様子を見るって事で治療は終了。
後は出血が意外と多かったから貧血など大丈夫か、数日様子をみなければなので今日は病院に入院してもらい大丈夫なら明日自宅療養って事になった。
その際は往診するみたい。
初めての出勤に、ちょっとハードな患者さんだったが、もともと仕事が看護師だった為、酷い傷や血はなんともない。なれれば役に立つもんだなぁなんて思いながらギュンターさんの回復を願っていた。

「マキちゃんお昼遅くなっちゃってごめんね。とりあえず帰ってご飯食べておいで。マキちゃん帰ってきたら僕と代わって少しギュンターさんの様子みててもらえるかな。」

「わかりました。じゃあ、お先に食事いってきます。早めに戻りますね」

「ありがとう。いってらっしゃい!!
気をつけてね。」など見送られ、私は足早に子供達の待つ家に帰って行った。
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