男子高校の生物部員はコスプレイヤーの夢を見るのか?はい、見ます!

高城剣

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馬鹿恋人悪化編

第8話 敵か味方か?謎のロリ巨乳

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あたしのコスネーム、ムリョウは無料とよく勘違いされるけど、元のネタは仏教用語の無量光《むりょうこう》、永久無限の恵みをもたらす光、から来てる。単なる中二心で付けただけなんだけど、漢字だと無料と紛《まぎ》らわしいからカタカナにした。
以前から後輩女子にはモテたし、そういうタイプなんだと自覚もあったので、可愛い後輩みんなの光になろう!とこっそり考えた結果でもある。もちろん、こっぱずかしいので口外はしていない。
望《のぞみ》は見抜いたけど。
そんなあたしが男子から想いを寄せられることになろうとは。
ナンパという欲望の発露に晒《さらさ》されることは度々あったけど、いかにも青春的な、恋愛的な経験は初めてだった。
だからこそ、自分の気持ちがよく判らなかった。
ケンチに関しては、友達タイプだなっていう確信があったし、麻琴《まこと》のこともあったので、きっぱり言うことが出来たけど、和尚はなぁ…
ケンチに言われてから改めて考えた。
頼りないようで、頼りになる?相談とかしたことないから、わからないけど、イジられキャラなのに頭の回転は速くて、気遣いは出来る。なんかついつい……無理言いたくなる。甘え?なのかな.
Sっ気をそそられるのかもしれない。なんだかんだで、言うこと聞いてくれるし。
相手が惚れちゃうようなことしてた自覚はある。
それは、あたしが惚れてたから?というところがわからない。
麻琴に、よりによって麻琴に、
「相手がいなくなったら、自分が離れることになったら、それがイヤだなって思うなら、好きでいいんじゃない?」
なんてアドバイスをもらってしまった。そもそもケンチとキスまでしたらしいし、完全に先越されてる。
先越されて悔しいから焦るわけじゃないし、それやっちゃダメなのはわかってる。
あの生物部5人衆全員、一緒にいるのはイヤじゃないんだよね。あの変な連中。
まさか自分が気に入る男子が、現れるなんて。一生、百合の園にいなきゃいけないと思ったこともある自分に。
こんな自分と波長の合う男子がいるなんて。
なんか悔しい。
悔しいなぁ。
望やケンチにもカッコつけた手前、余計悔しい。
和尚…和尚め。
そうだ、はっきり言わせよう。
アイツがハッキリ告白してくれれば、あたしの心も決まる、はず。
よし、会おう。二人で会おうって誘ってみよう。
和尚……あ、崇《たかし》くんだ。本名忘れやすいよね、あいつ。

面倒くさいし、そもそも面倒に巻き込みたくないから、私は常々、恋愛沙汰を避けてきた。
だって、面倒な家に生まれちゃったんだもの。そうもなるよね。
もちろん、ナンパやらで声をかけられることはしょっちゅうだけど、そもそも相手にしない。私自身、異性から見て、容姿が気を惹くものであるという自覚はしてるし、自信もある。
中学以降、女子校だったこともあって、同年代男子との接点がほとんどなく、今回みたいな事態は初めて。
自分自身、相手をあしらうだけで拒否しないのが不思議でもある。
運命の出会いってやつなのかな?そういうの嫌なんだけど。
宝珠《ほうじゅ》というコスネームも、自分自身を取り巻く環境への反逆めいた意味合いで付けた。
「災難を祓《はら》い、水を清め、願いを叶える存在」、それが宝珠。
自分の願いを叶えられる存在に、私はなりたい。逃げるのではなく変えたい。
そんな自分の中二っぷりに笑うしかないのだけれど、それが望という名の自分の望みなのだ。
ただ、彼らと出会って気づいた。
宝珠は手にした者の願いを叶えるのであって、宝珠自身の願いを叶えるものではないということに。
だから、彼らが、私の持っている望みを、私に叶えるように祈ってもらわなくちゃいけない。突き詰めれば、私の幸せを願う人が必要。そりゃ、未来《みき》だって麻琴だって、私の不幸なんて望みはしない。そう信じてる。
でも、友情を超えたその先の力が、願いが、私には必要なんだろう。そんな気がするから、彼らを拒否しない。希望を持っている。
だからこそ、ホントは怖い。
私の出す条件を受け入れてなお、幸福まで願ってくれる人なんだろうか?と。
今あるルールを破ることなんて、造作もない。だけど、その先に幸福はない。
未来たちやケンチにはカッコつけたけど、私は臆病。
拒否すること容易いけど、拒否されることは、物凄く怖い。
それでも、私に必要な答えを得るために、私は答えを出さなければいけない。
さぁ、逡巡《しゅんじゅん》は止めて、部長とキョウジに連絡しよう。
とっても重い想いのデート、してあげるんだ。

未来さんからオレに直電など、知り合ってから初めてのことだったし、しかもそれが、二人で会おうなんて、実質デート。うん、デートそのものじゃないか!
最初は、どんな無理難題を申しつけられるのかと思ったんだけど、まさかデートのお誘いとはな。
ついてない青春にもピリオドの時間か?
いや、ちょっと待てよ。
これもあいつらの仕掛けたドッキリという可能性もゼロじゃない。いやしかし、そこまでヒドいことはしないやつらだ。それは確信がある。
そもそもデートだとして、未来さんはオレのこと、好きだったのか?本名を教えてくれたのは嬉しかったし、やたらと絡まれてる自覚はあるが。
そして、オレは未来さんが好きなのか?
ちょっぴり意地悪な、美人のお姉さん。
彼女にされる意地悪無理難題は、苦じゃない。嫌じゃないとは言わないけど。
携帯の中にある未来さんの写真を改めて見る。
やっぱり美人だ。ボーイッシュなれど、綺麗なお姉さん。
宝珠さんから感じる、危険な香りが未来さんにはない。
真理愛《まりあ》さんは謙一のだから問題外。
うん、わかった。
オレは未来さんの事、好きだ。
よし!よしよしよし!
さて、デートの準備を始めよう。

宝珠さんから連絡が来た。恭《きょう》を含め、三人で会いたいとのことだ。
まだまだ先の話と踏んでいたが、決着は早いに越したことはない。
確かに、新入部員は来ないわ、謙一《けんいち》や幸次《こうじ》とは、微妙に溝がある感じになってしまったし、恭とも上手く話せない。
こういう状況を一番不安に思うのが謙一だということは、容易に想像がつく。なので、宝珠さんに謙一が動いたのか?と尋ねた。
「当たり前じゃない。ケンチのエゴでもあるんだけど、嫌な役目させちゃったんだから、そこは応えてあげようと思った次第、よ」
さすがだな。口は悪いけど、根は慈悲深いんだよ、彼女。
はてさて、どんな話になるのやら。我が事ながら、楽しくなってきた。

宝珠さんからデートのお誘い。と思ったら、
イクミンも含めて三人で会いたいって…
なんだか、答えというか話したいことがあるってさ。
おれちゃんとしては、イクミンに負ける気はさらさら無いんだけど、振られちゃったら、それまでなわけで。
まあ、付き合って別れたとかじゃないから、居心地悪さとかはないだろうけど。
これっきりのチャンスってこともないだろうし、この世の女子は宝珠さんだけじゃないんだし。
おっと、なんだか負け思考。良くない良くない。

「よ、和尚。待った?」
待ち合わせ場所に未来さんが来た。
うん、本名呼んでと言い出せない自分。
「30分ね」
「男が女を待つ時間でそれくらいは誤差の範囲でしょ?」
「一日の48分の1は誤差の範囲外だ」
「へぇ」
「なに?」
「マジで感心しちゃった、今の返し」
「感心よりも、謝罪を要求したい」
「ふうん、なるほどなるほど」
「納得したなら謝罪しろ」
未来さんはひとしきり笑った後に、爆弾をぶち込んできた。
「やっぱ、楽しいわ、和尚。いえ、崇くん、あたしたち、付き合ってみようか?」
「え?」
「ん?あれ?あたし…あたしから?あれ?」
言うだけ言って小首を傾げ、何やら悩み始める未来さん。その可愛さにドッキドキさ。
「いや、展開早いというか、ムードというか」
「女にムード作らせないでよ。それは男の役目」
お付き合い経験のない高校生に高望みするなぁ。でも言うことは一つだ。
「…オレも未来さんと付き合いたい」
「顔真っ赤だよ」
「気づいてないのか。未来さんも真っ赤だ」
「おっと、しまったな」
照れ隠しか、顔を伏せて頭を?く仕草も可愛く感じる。
「未来さん、今後ともよろしく」
「うん、和尚」
「…やっぱりな」
本名呼びがレアになるカップル?
「予想内?それでも、もっとリアクション取ってほしいな」
「断る」
「お?男らしいね。惚れなおすぞ」
お互い赤面しながらの下らない応酬が楽しいんだな。
「惚れなおしていただけるのは光栄なんだけど、この急展開って」
「ケンチに愚痴られた」
「はい?」
「居心地が悪いってさ。とんでもない我儘《わがまま》小僧だよね、あいつ」
確かに羨ましかったけど…うん、態度に出したかもな。
「あいつはさ、先頭切ったり、中心にいたり、殿《しんがり》つとめたり、ちょろちょろしながら俺たちを繋ぎとめてるから」
「牧羊犬だね」
「確かに」
「結局、あのワンコ小僧の望むように動かされてるのは、ちょっと癪《しゃく》だけど」
「あいつはね、みんなが幸せでいる場所が、自分も幸せでいられる場所って思ってる乙女思考だから」
「あんたらと知り合ったのが、運の尽きなのか、運の開きなのか、頼むよ、崇」
「ここで和尚呼びじゃないのが破壊力高いよね」
そしてオレは、無言でニッコリ微笑む未来さんに更にやられるのであった。

                  ※

「ちなみに、ムリョウは和尚と付きあうっぽいから、私の次はムリョウ、とかは無理だからね」
待ち合わせて、軽く挨拶して、3人で喫茶店に移動しての開口一番がコレ。
要は本日答え出しますってことなのか。
やっぱり変わった人だな。
俺と恭は黙ってうなづいた。ここで和尚がどうこう弄る空気じゃないし。
「私もこんなに早く、この話をするつもりは無かったけど、間接的にそう追い込んだのは、あなたたちなんで、覚悟してね」
「え?どんだけ深刻なわけ?」
「謙一悩ませて、結果的に真理愛さんも悩ませた挙句だよ。わかれよ」
「うっさいな。空気重くしたの、主にイクミンと崇じゃん」
「その程度なら、降りろよ、この話」
「なんでそうなるかな、別だろ」
「喧嘩すんなら、私帰るけど」
「「しません」」
と二人声が揃った。
「重ね重ね言うけど、本来なら、あなたたちが自分で言わなきゃいけないことをケンチに言わせて、結局、私がこうして困ることになってるのは、きちんと自覚して」
「謙ちゃんの行動力って…」
「そういうやつだろ、あん畜生めは」
「ケンチの行動理念は自分の居場所を楽しくしたいって、ただそれだけ。しかも根っこが病んでるんで、気持ちの爆発のタイミングが少しおかしい」
「ひどくね?いくらなんでも」
「宝珠さん、俺たち、あいつのことが好きだから一緒にいるんで、何言ってもOKなわけじゃないよ」
「そこまで言うなら、ケンチを不安にさせなきゃいい。きちんと居場所で居続けなよ」
「なぁ、今日はあいつのことで喧嘩するために呼んだんじゃないんだろ?」
「おっと、ごめんなさいね。私もまだまだ若輩者《じゃくはいもの》なんで」
「どういう話なんだよ」
「ケンチに言われたのが、色々ね、うん、仕切りなおそう」
パチン!
宝珠さん、両頬を自分で叩いた。
「よし、と。まず確認。あなたたちは私と恋人になりたい、のよね?」
「もちろん」
「ストレートだな。でもその通り」
「OK。私と付き合うには守るべきルール、条件があるの」
「大抵のことはおれちゃんOK」
「重そうだな」
「私が20歳になるまで、SEX禁止」
「え?」
「とことんストレートだな」
「そのルールを破れば、私もろとも命の保証はない」
「い、命って」
「そういう家、なんだな?」
「そ、厳しい、特殊な家。その代わり、20歳過ぎたら、ほぼ自由」
あと4年近く、清い交際を続けろってことか?
「宝珠さんの気持ち自体はどうなんだ?その条件、こちらが呑《の》めば万事解決レベルで、俺たちのことが好きなのか?」
「何一つ好意が無かったら、最初のキョウジの誘い自体、バックレてたと思う。それが次のイベントでもつるんで、そしてこうしてこんな場まで設けた。だから、私はあなたたちを嫌いじゃない…んだと思う」
「なんだ、そりゃ?よくわかんないの?」
「ろくでもないのから、性的な欲求を向けられる事は多いけど、こういう青春的な好意を向けられたことないし、女子校生活長いから、自分から異性に好意を持ったって経験が、ね」
「お、お子ちゃま」
「あ?」
怖い怖い。何か攻撃的なオーラを感じる。
「アハハハハ、んじゃ、おれちゃんはパス」
あまりの軽い回答に、俺も宝珠さんも固まった。
「エッチなこと抜きにしても、おれちゃんと彼氏彼女としての波長が合わない、ってやつ?ごめん、友達でいよっ!」
「…なんで私が振られたような流れになるのよ?」
「何かビジョンあったの?」
「ビジョン?」
「もし、おれちゃんが我慢するから付き合おう!って答え出した後の、さ」
「それは、だから…」
宝珠さんが言葉に詰まるなんて初めて見た。
「好きだから、一緒にいて楽しいから、これから二人でいろいろやってみたいことあるから、なんてビジョンなかったでしょ?あえて言うよ。あんまり男の気持ち、軽く考えるなって」
宝珠さん、うつむいて黙ってる。
「おれちゃん、本日は退場するね。レプタイルズプラネットで楽しく一緒に回れること、願うよ。おれちゃん、宝珠さんのこと、嫌いにはなれないからさ。んじゃね」
それから10分くらい沈黙が続いた。
「部長も帰っていいよ。ごめんね。今日は」
うつむいたまま、ぼそぼそと喋る宝珠さん。らしくないな。うん。らしくない。
「俺はアイツほど馬鹿で諦め早いわけじゃないんでね。まだ引く気はないよ」
宝珠さんが黙って顔を上げて、俺の目を見つめてくる。
「俺は宝珠さんとやりたいビジョンあるよ。乗馬なんてどう?スキーも行ってみたいし、生物部の強化合宿にも参加してほしい。とりあえず、マネージャー的な感じで。うん」
宝珠さんの表情が緩《ゆる》んだ。
「楽しそうだね。最後の強化合宿の意味が分かんないけど」
「部員の能力強化は部活の命題でしょ?それはともかくさ、俺はさっきの条件をのむ。だから俺とデートしてほしい。それで、きちんと好きになれるか、対象外になっちゃうのか、答えを出してほしい」
「お試し期間、長くなるかもだし、それでもダメかもしれないよ?」
「いいよ、それで。今と違うなら、それで」
「ん」
宝珠さんが右手を差し出してきた。
「え?」
「握手は禁止事項じゃないから」
「なるほど」
「宝珠、本名は松本望《まつもとのぞみ》。よろしく」
俺も右手を差し出し握手…女子と握手か。何年ぶりだろう。
「部長。黒沢幾美《くろさわいくよし》。よろしく」

                  ※

おれちゃんとしては、あの場でああ言うしかないじゃないか。もっと簡単に楽しくお付き合いが出来ればよかったのにさ。
振るしかないじゃない。
振られるなんて、おれちゃんのプライドが許さないし。
でも、あんだけの美人、そうそういないよ。
あんな条件あろうと行くだろうな、イクミンは。
おれちゃんは、そこまで苦労したくないから。
敢えて降りる。んで、他の娘探すんだ。

                  ※

おかしい。完全におかしい。
あたしから告白してるよね。
させるはずが、させられちゃってるよね。
これが御仏《みほとけ》の為《な》せる業《わざ》…じゃなくて。
この幸福感に付随する敗北感が恨めしい。
そうだ、おごらせよう。たかろう。困らせてみよう。
あれ?あたしって嫌な女?ガキな女?
惚れた方が負け。惚れさせた方が勝ち。
いやいやいや、そんなんじゃなくて…どうしよう。あたし、混乱してる。

さっきから隣を歩く未来さんの様子がおかしい。無言で何か悩んでいるようにも怒っているようにも喜んでいるようにも見える。
どうしたらいいんだ?
なので、謙一にLIMEで聞いてみた。
速攻で
謙一【一筆啓上《いっぴつけいじょう》 火の用心 ムリョウ泣かすな 僕肥やせ】
という返事が帰ってきた。
うん、そういう奴だよな。この状況、おちょくるしかないよな。しかも最後の一言は奢《おご》れっていう意味だろう。
役に立たなすぎる!
ん?もう一通、謙一から返信が。
謙一【おすすめ映画 熱い門番の伝説 行け】
タイトルから考えてデートに向いてるようには思えないが、それなりにあいつは優しいので、その言葉を信じてみよう。
「未来さん、これから映画行かない?」

                  ※

私が今まで家から課され、自分に課してきた掟、ルール。
そこにあるのはマルかバツかの二極思考、だった。
でも、自分の、友人の居場所を守るためなら、そこに中庸な考えが存在しても構わない。恥ずかしながら、今日理解した。
まだまだ恋愛というものを心底理解はしていないが、向かい合い、知ろうとする努力をすることは心に決めた。
こんな見てくれだけの面倒な女の何がいいんだか。苦労の果ての失望も厭《いと》わないという彼の気持ちに、私は向き合います。
「で、今日は何かデートプランはあるの?い・く・よ・し・くん」
「もちろん、企んでるさ。密教の世界展、興味あるよね?」
私は微笑みを浮かべ、うなづくしかない。

                  ※

「恭ちゃんから振ってやったぜというメールが」
「また見栄張って。宝珠さんを傷つけてなきゃいいけど」
「どう思う?麻琴」
「どうだろ。振ってばかりで振られた経験なさそうなのが心配」
「幾美がフォローすんだろ」
「あいつ、そういうとこ、どうなのか不明すぎるよね」
「そりゃ、おれたちに女っ気なかったんだから、個々の対処方法なんて誰も知らんでしょ」
「ふーん、若さだね~。羨ましいね~」
「そんな言うほど離れてないから」
「5歳差って女にとっては結構なもんなのよ。とくにこの年だと…ま、後悔はしてないけど」
と、僕と麻琴、幸次と成美さんの4人で紹介兼遊びの集いを、しかもコスプレイベントに参加しつつしているという状況下。
僕がランディで麻琴がバショク、幸次がレッドクラッシュ私服で成美さんは…
「急にコスプレとか言うから、家にあるのこれしかなくて」
と、メイドさんのコスを。胸が大きいだけに破壊力がすごいのだけど、そこに気を惹かれると麻琴も幸次も怒る。しょうがないじゃん。
成美さんは笑って「見るよね、男子なら」とか言ってたし。
「成美さん、別にコスしなくても参加できるのに」
「え?しないと参加できないって…」
なんて、麻琴の真実指摘により、幸次は成美さんに回し蹴りを食らっていた。
うん、メイドさんの恰好で回し蹴りとか、ほら、見ちゃう…ね?あ、麻琴の目が怖い。

コスイベの参加予定も、そもそも今日あることも知らなかったんだけど、幸次が情報拾ってきて、共に今日の成り行きを見守ろうとか言って誘ってきて、成美さんも紹介したいとか言うから…と、ぐだぐだ理由があるので参加しました。
今いる場所は、コミエの会場でもある東京海浜メガサイト近くのプロムナード
いわゆる広場の遊歩道。点在する商業施設をつなぐ道。そこを好きにコスして歩いたり撮影していいよってのが、本日のイベント、コスロードってやつ。

成美さんは年上ながら、親しみやすく、イイ人だ。そもそも中学生くらいの見た目だし。それでも、所作のところどころに大人を感じさせる。同じ年上でも、ムリョウさんとは、やっぱり違う。この短期間でタイプの違う女性複数と知り合い、そのうち一人と付き合いだすなんて、誰が予測できようか。
と、幸次が自分の携帯の画面を見せてきた。
ん?幾美からLIME?
幾美【我勝てり】
アホか…
「何言ってんだ部長の分際で。恭に勝ったって言いたいのか?」
部長より副部長が上なのか、幸次の中では。
そっか、幾美ってば、宝珠の例の条件、呑んだんだ。案外淡白…だったら、そもそも争奪戦参戦しないだろうから、凄いなアイツ。
僕は麻琴を見つめた。
「ん?なに?」
「いや、幾美は凄いなって思って」
「なぜ、それでわたしを見つめるかな」
「んー、宝珠の許可があれば話すよ
「ふーん、宝珠と秘密を共有するんだ?ふーん」
しまった。このままでは、拗《す》ねさせてしまう!
咄嗟に僕は麻琴の手を引いて、幸次たちから離れた。
「にゃ、にゃんですか」
「僕から聞いたこと、秘密にしてくれる?」
「ふぇ?う、うん」
で、宝珠の事情を麻琴に耳打ち…してるときに、くすぐったそうに身をよじる姿が、また、あれだ。人目もはばからず抱きしめたくなるのをセーブ。
「わかった」
「うん、そっか、そういうのなんだね、宝珠は」
「そういうこと」
「でも宝珠なら、謙一からわたしに伝わるの、承知の上で話したと思うな」
そうかも、しんない。
「あ?」
「なに?」
「劇中でカップルのキャラのコスを二人でやれば、この場で抱きしめても平気なんだ」
「いや、平気じゃないよ。わたし恥ずかしいよ。急に謙エッチになられると困るんです」
「あれ?」
「あれ?じゃなくて、宝珠の話してたのに、なぜそういう方向に思考が曲がったのかな?」
「うーん、幸次たちへの対抗心?」
「謙一がバグってる」
「変なこと言うな」
「変なこと言ってるのは謙一だから、ね」
「耳打ちされてくすぐったがるのが可愛くて」
「そこ?そこでねじ曲がったの?」
麻琴、顔真っ赤になった。
「あれ?麻琴ちゃん痴話げんか?それとも彼氏にセクハラされた?」
成美さんが楽し気に絡んできた。
「セクハラされた」
うん、僕を売らないでください。
「仕置く?仕留める?始末する?」
やばい、必ず殺《や》られるやつだ。
崇がここにいれば、いくらでも生贄として捧げられるんだが、仕方ない。
「かかってこいや!」
「りょ」
ニコッと敬礼したと思ったら、あっという間に距離詰められて、右腕を後ろに捻り上げられましたとさ。
「ギブギブギブ」
解放してくれた。
「ボクに勝とうなんて5年早い」
「微妙に短いけど、縮まらなさそうな時間を」
「伊達にアクション、やってないんで」
「アクションって格闘技じゃないよね?」
「あ、システマもやってるよ、成美は」
ロシアの軍隊格闘術やないかい!
「無駄ともいえる様式美で動くアクションと、無駄を排した実戦形式で動くシステマの両極端を学ぶことによって、何かあるかな?って」
「何があるんですか?」
「いや、今んとこは別に」
こういう適当な人に殺人術を教えちゃいけないと思う。
そして僕は、一連の流れを見て固まってしまった麻琴を再起動させるべく、頭を撫でた。撫でたかったから。

                  ※

謙一に薦められた映画は、まさかの青春ラブコメだった。遅刻を繰り返す主人公と、それを取り締まる風紀委員の女生徒の恋愛模様が、無駄に凄いアクションをしつつ展開され、最後はハッピーエンド。明らかにタイトルをつけ間違ってるが、間違ってなくもないと思わせる。
それはともかく
「未来さん、どうだった?」
「最高の映画だったね。さすがのケンチセレクトと思ったよ。あたしもあんな熱い恋愛したいなぁ……」
「オレと戦いたいのか、そんなに」
「戦いの果てに分かり合えるもんでしょ、人って」
「何のアニメの影響か、なんとなくわかるけど、現実に持ち込むな。しかも恋愛に」
「唇の端から血を垂らしながら身構える、男の美学ってそういうもんじゃない」
「異性に対する知識が極端!」
「ちょっと殴るから、血を垂らして」
「なんなの?ドSなの?病んでるの?」
「冗談冗談。惚れた男に、んなことしないって…裏切らない限り」
「ヤンデレってやつ?ねぇ」
「よし、ご飯行こ。おなかすいちゃった」
未来さんが急に腕を絡めてきながら、そう言った。
む、胸も当たってる。
ん?ニヤニヤしてこっちを見てるってことは、わざとやってやがるな。
「ふふふ、彼氏は役得を満喫せい。それに、宝珠たちといるとお姉さんやってるけど、あたしだって女の子なんだよ」
「破壊力強えええ」
「さぁ、どんどん惚れていいんだよ」
「妙な安売り感やめ。あぁ、もう、食事行きたいんでしょ?何食べたいの?」
「え?精進料理以外に選択肢、あるの?」
「あるわい!」

                  ※

謙一【タナー・ボッターって呼んでいい?】
幾美【もちろん、却下だ】
謙一からの下らないLIMEだが、スルーすると承認したみたいに受け取りやがるので、否定はしておかないといけない。
確かに恭が降りたから勝ち得たことではあるが、それだけが理由みたいな扱いは愉快じゃない。
「また、嬉しそうにメールしてるのね」
「嬉しそう?俺が?確かに望さんとお付き合いできるのは嬉しいが、謙一のクソメールを却下していただけだぞ」
「そういうやり取りが楽しいくせに」
「見透かさないでほしいんだが」
「女の感を舐めちゃダメ」
「望さん、その感の先を行使してるよね?」
「はてさて、イイ女は謎が多いのよ」
「確かに、自分でイイ女と言っても違和感ないよね、望さんは」
「そ、そう」
あ、顔赤くなった。
なるほど、可愛らしい面もある、と。
「可愛いものを見る目で見ないで」
「弱点は攻めたい」
「私は攻守なら攻めでいたい」
「いいよ。俺の攻撃力を上げるよう頑張るから」
「戦争好き?」
「相手の可愛い面を見れるような戦なら」
「私の周りにはいなかったタイプだわ」
「前代未聞で居続けたいね」
「ふーん、それはこれからも期待していいのかな?」
「そうあることを努力するよ」
気障っぽいかもしれないが、こういう言葉のやり取りが楽しい。謙一たちとの応酬も楽しいが、また別の楽しさがある。
「私の今日の選択が間違っていないこと、証明してね」
「証明ね。難問だなぁ」

                  ※

おれちゃんはノンストップ!
立ち止まることなく先に進む。
駅のロッカーから大きめのバッグを取り出す。
万が一のためのバックアップ手段。準備しておいてよかった。
さすがのおれちゃん、負けっぱなしじゃ終われない。

                  ※

成美という強烈キャラに敗れ去り、真理愛さんこと麻琴さん(今日、本名を教え合った)を撫でまわすという奇行に走っている謙一は、とりあえず放置することにして、稀少なコスプレデートを楽しむことにした。
普段、アクションショーのバイトだと、絶対同じ現場にしてもらえなくなったし…。
「あの二人、愉快だよねぇ」
「システマ使いには言われたくないと思うけど」
「声帯潰して、そんなこと言えないようにしちゃうぞ」
物騒なことをぶりぶりなポーズを決めて言うメイド。まるでマンガだ。
「成美に愛を囁けなくなっちゃうぞ」
「なら、目で語れや」
おれは彼女に愛されているのでしょうか?
おや、麻琴さん復活したようだ。
「な、成美さん、謙一のこと、あんまりイジメないであげて。やるなら幸次さんにして」
「あははは、わかったわかった」
と、自分より背の高い麻琴さんを撫でる成美。何気に物騒なこと言うな、あの娘も。それを受け入れる彼女も。
「小さいものが小さいものを愛でるのは萌えだね」
謙一がおれの脇に腕組みをして立ち、そう言い放った。
「ま、まさか、この状況が見たくて今までの流れを!」
「ん?…ははは、そうだとも。僕の深謀遠慮《しんぼうえんりょ》に恐怖するがいい」
「おのれぇ!小さいの萌えめぇ!」
「あんまり小さい小さい言うと、折っちゃうぞ」
おれと謙一の腕を掴む、その迫力と握力に、恐怖した。
「僕の心を折ることは出来ない。この萌えの心を」
「心じゃなく骨」
「「申し訳ありませんでした!」」
おれと謙一の声が揃った。

なんか謙一を取られた気がするし、イジメてる気がするので成美さんに注意喚起を実行したら、撫でられた。
悪くない気分だったが、結局は謙一も骨折させられそうだし、油断してはいけない。
もしかすると、わたし以上のビーストテイマー能力で、手なずけようとしているのかも。
「きみの彼氏は無暗にノリがいいから、つい乗っちゃうの。ごめんね」
身構えるわたしに成美さんは言った。
見透かされてるし。謙一のああいうところも好きだから、仕方ないか。
わたしは謙一の元に走り寄り、手を握った。
「ん?」
「ハグはハズいから、手を繋ぎます」
嬉しそうに照れ臭そうに笑う謙一を見て、わたしも多分同じ顔してるんだろうなと思った。

可愛いの見本、権化なんだろうか、あの麻琴ちゃんという娘は。
あのショーでのサプライズ拉致の時は、舞台裏から見てるだけで絡めなかったし。
ボクからすると、6つ下か。妹として常備したい存在。
ボクは一人っ子だから、ああいう庇護欲を掻き立てる存在が身近にいなかった。
そもそも自分の背が低いので、庇護したがる連中ばかりだったし。
彼氏の謙一くんも、ショーに出したいノリの良さだ。後で誘おう。
幸次のこちら側の仲間の様子を見たり聞いたりする限り、ほんっと、若者の青春してるって強く感じる。ボクが高校生の時ってこんなんじゃなかったと思うけど、もしかすると、傍から見るとこうだったのかな?と思ったり思わなかったり。
さて、ボクも幸次と手を繋いじゃおうかな。

麻琴と手を繋いで歩いていると、信じられないものが目に飛び込んできた。
「え?」
「謙一、あれって…」
撮影列が出来てるその先に、イオタ少佐コスの恭がいた。
「宝珠を振ったその足で、ここに来てナンパ?最初からコス準備してたの?ちょっと信じらんないよ。謙一、成美さんに全身の骨を折るように頼んで」
ある意味目を疑う光景だが、恭らしいっちゃ、らしいし。それよりも仕置きの依頼を第三者を通してやらせるなんて、麻琴はプロフェッショナルだなぁ。
「なぜ、あいつがここにいるかな」
幸次がやや憤慨《ふんがい》した様子で僕の横に来た。
「転んでもただじゃ起きない子、だろ?」
「見習いたいとは思わないけどな」
「恭ちゃんも焦ってるんだと思うよ。振ったって言っても、実質振られる前に逃げたようなもんだと思うし」
「優しいね、謙一は」
「いや、行動単純だからわかるだけ」
「冷たいね、謙一は」
「どうせえっての?」
「お仕置き?成美出動?」
「お前まで、自分の彼女を最終兵器投入みたいに扱うな」
「お前まで?」
さっと僕の背中に隠れる麻琴。
「あははは。まぁいいけど。で、謙一はどうする気?」
「あえて話しかけないで、彼女とデートしてる様子を遠目に見せるだけ」
「焦《あせ》らせ、妬《や》かせるのか」
「来週レプタイルズプラネットだからね。動くなら今日しかないわけだし。恭ちゃんの気持ちもわかるから、責めはしない。嫌がらせに留める」
「ねえねえ」
麻琴が袖を引っ張る。
「なに?」
「謙一って、和尚の時と言い、精神攻撃が絶妙だよね」
「誉めてる?」
「誉めては…いないよ」
「そ、そうですか」
何かちょっと麻琴が真面目な顔で否定してくるので、それ以上の追及はしない。
幸次が何だかカメコの撮影列が出来ていた成美さんを、無理矢理引っ張ってきた。
「いいの?撮影途中で切り上げちゃって?」
「ん?レイヤー側の都合優先だから」
「その都合を説明してほしいんだけど」
「あの撮影列の先にレイヤーがいるだろ?」
「あの詰襟軍服みたいな?」
「そう。あいつに向かって嫌がらせをするんで、おれと腕を組んでてほしい」
「何言ってんの?」
今の話で通じる第三者はいないよな。
「成美さん。あいつがさっき話に出てた、身勝手振り男」
と説明をした。
「折る?」
この人、肉体言語でしかコミュニケーション取れないのか?
「いいよ」
「はいはい、麻琴も承認しないで」
で、結局何をしたかというと、
麻琴が僕の、成美さんが幸次の腕に自分の腕に絡める→僕と幸次が恭に手を振る→恭が気づいたら親指で自分を指さし、余裕の笑みを浮かべて無言で背中を向けて去る。
っていう流れを実行。
僕たちは背中に殺気を感じつつ、その場を後にした。
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